公開版【ジュビ論】偶然にあらず。水戸戦”衝撃の5ゴール”のメカニズムを紐解く(1)1点目:ドゥドゥ
1点目:ドゥドゥ
右からのクロスに最後はドゥドゥが、左サイドから飛び込んで合わせる形でした。昨シーズンは特にクロスからの得点が少なかったので、横内監督が取り組んでいる成果が出たと言えます。
相手のロングボールを鈴木海音が競り合いで潰したところからスタートしました。水戸はハードなプレッシングが売りのチームなので、当然ながら即時奪回に来ますが、そこで遠藤保仁がボールをワンタッチで右の鈴木雄斗に流します。
ここで安永と杉浦が二人で来ますが、鈴木雄斗は落ち着いて前方の上原力也にパス。そこから上原がボランチの前田椋介を引き付けて、右前の松本昌也に送ります。
松本昌也が右でボールをキープする間に、大津祐樹、山田大記、ドゥドゥと3人が前線にいる構図になりました。
しかし、またボックス内には多かったため、松本昌也は左サイドバックの松田隼風を背負った状態で、慌てず手前でフリーの鈴木雄斗にバックパス。この間に、上原がニアにのぞいて松本昌也と鈴木雄斗とのトライアングルを作ります。
一度叩いて、上原から再びボールを受けた松本昌也が右足でクロスを送るのですが、この時のゴール前でのポジション関係がキーになりました。
大津と山田が縦の関係になることで、水戸の守備に段差をつけて、右サイドからカバーに来た武田 英寿と二人のセンターバックが中央に引き付けられます。
ファーサイドはドゥドゥと右サイドバックの後藤田亘輝がマッチアップする状態でしたが、ハイボールを山田とセンターバックのタビナスが競り合う後ろに落ちてきたので、ドゥドゥがいち早く反応して、右足で押し込みました。
やはり水戸のようなハイプレスを強みとする相手はクリアボールのセカンドを拾われると即時奪回に来ますが、ここでジュビロが落ち着いてボールを繋ぐことで、相手のディフェンスに間延びが出て、前向きボールを持つことができます。
こうした状況で、サイドにトライアングルを作って、かつゴール前で3人がフィニッシュに絡めるという形は横内監督が日本代表のトレーニングでもやってきたことで、そのままジュビロに落とし込んでいます。ただ、やはり代表よりトレーニングの時間が長いので、継続的に取り組んでいることが、こうした試合で成功体験になったことで、ますますイメージアップにつながりそうです。