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監督交代 マイナビ仙台レディースが李誠雅選手(サンフレッチェ広島レジーナ)のデビュー弾に沈む  #女子サカマガ WEリーグ ピックアップ(無料記事) 

両サイドの攻防で双方が決定機を生み出す出入りの激しい試合 

2024年4月14日に行われた2023−24 WEリーグ 第14節は、サンフレッチェ広島レジーナが2−1でマイナビ仙台レディースを下し、順位を7位に上げました。 

マイナビ関係者がメインスタンドに詰めかけ熱気あふれる雰囲気に 

この試合はマイナビ仙台レディースのホームゲームながら、試合会場は味の素フィールド西が丘。メインスタンドは主にマイナビ関係者でかなり埋まりました。ゴール裏で声を出すサポーターの数はサンフレッチェ広島レジーナ側がマイナビ仙台レディース側の倍近い人数でしたが、試合が進むにつれてメインスタンドから大きな歓声やどよめきが起こり、マイナビ仙台レディースのホームゲームの雰囲気を創っていきました。ゴール裏からのシンプルなコールにメインスタンドの子どもたちが合わせて絶叫し応援を増幅していきます。 

決勝点を蹴り込みベンチに向かって一直線に走る李誠雅(リ・ソンア)選手(S広島R) 写真提供:WEリーグ TOP写真も

気迫溢れる走り込みから生まれた高平選手の同点ゴール 

その歓声が最高潮に達したのは前半終了前のラストプレー。高平美憂選手のヘディングシュートがゴールネットを揺らした瞬間でした。高平選手は左サイドバックのポジションからゴール前に斜めに走り込みディフェンダーの死角から飛び込みました。試合後に聞いてみると公式戦でのヘディングによる得点は記憶にないそうです。 

「(廣澤)真穂が絶対クロスを上げてくれと信じていました。センターバックの選手が(中の選手に)行ってくれたので、自分がフリーになるかもしれないと思い走り込みました。 

スタンドがドット沸いた高平美憂選手(マイ仙台)の同点ゴール 写真提供:WEリーグ

マイナビ仙台レディースにはアナリストが加わり収穫もあった敗戦 

マイナビ仙台レディースは須藤茂光監督が辞任し、新監督にゴールキーパーコーチだった須永純さんが就任。この試合は初陣でした。高平選手は、監督交代よりも尾崎剛士さんのコーチ兼アナリスト就任が大きな変化だと言います。 

「プレーするのは自分たちなので『監督交代にとらわれず』。分析の方(尾崎コーチ)がベンチに入り、細かく声をかけてくださるので、選手は『今はこうなんだ』と状況がわかるようになりました。すごく前向きな試合と考えています。」 

マイナビ仙台レディースの「公式応援アイドル」Tan.San.Sui. 左から齋藤優華さん、高橋きこさん、彗夢にこさん、彩星夏海さん 試合中はゴール裏スタンドから全力応援、太鼓も叩いた

狙い通りの2得点で勝ち切ったサンフレッチェ広島レジーナ  

マイナビ仙台レディースはオケケ選手がナイジェリア女子代表に招集された影響で不在。いつもよりも、ややディフェンスラインの上げ下げに不十分なところがあり、サンフレッチェ広島レジーナは、オフサイドラインのギリギリを狙ってきました。 

先制点は2分。サンフレッチェ広島レジーナにとって初めてのチャンスでした。ディフェンスラインのギャップを突いて左サイドを突破した中嶋選手が、余裕を持って逆サイドにまで届くクロス。これを右サイドから走り込んだ立花葉選手がボレーでゴールに突き刺しました。 

鮮やかな先制点を奪った立花葉選手(S広島R) 写真提供:WEリーグ

両サイドのウィングで得点を奪う狙った通りの得点です。立花選手は明かしてくれました。 

「(中嶋)淑乃と『クロスはファーまで飛ばそう』と話していたので絶対にここまでボールが来ると分かっていました。本当に合わせるだけでしたね。」 

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中村伸監督は「ウイングtoウイング」で得点を奪う準備をしてきました。 

「良くなくなった前半の後半を除いて、トレーニングしてきたカタチを数多く出してくれたと思います。選手は今までと違う攻撃のつながりを示してくれました。」 

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ついにWEリーグに登場、嬉しさを隠しきれなかった李誠雅選手 

途中出場の選手もトレーニングのカタチを表現することができました。大きなインパクトを残したのは李誠雅(リ・ソンア)選手です。前線でボールを収める、前から守備のプレッシャーをかける……WEリーグ初出場で初ゴール。決勝点を奪いました。 

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李誠雅選手のシュートは左サイドからのクロスのこぼれ球を蹴り込んだものですが、クロスからのカタチはトレーニングを積んできたものだそうです。 

「今までずっと試合を見ていて、悔しい思いもしてきたけれど、練習でやったことを公式戦のピッチで示すしかありません。常に自分自身に矢印を向けて準備してきた結果だと思います。 

ここがゴールだと思ってリハビリしてきてはいないです。(日本体育)大学時代は、もっと高みを目指してきました。通過点だと思っていたので……。」 

と話したところで少し言葉が詰まりました。そして、少しだけ表情を緩めて話しました。 

「でも、嬉しいです!率直に嬉しいです、今まで根を伸ばしてきました。これからは花を咲かせていけるように覚醒するだけ。もう十分、殻に篭ったと思うので、どんどんどんと出していきたいです。」 

李誠雅選手は、日体大SMG横浜でプレーしていた2021年に右膝の前十字靭帯断裂及び半月板損傷の大怪我。オファーしていたサンフレッチェ広島レジーナは、怪我の完治を待ち続けました。懸命なリハビリを終えた2023年8月に日体大SMG横浜へ再加入。そして、2024年に待望のサンフレッチェ広島レジーナ入り。この試合が初のベンチ入り、そしてデビュー戦となりました。 

怪我から復帰の李誠雅選手も監督交代のマイナビ仙台レディースもリスタート。ここから前に進みます。 

(2024年4月14日 石井和裕) 

マイナビ仙台レディースオリジナルパッケージ「萩の月」も販売

宮城県観光PRブースで宮城県の特産品やお土産品を販売

東京に本社があるマイナビの関係者が多く来場しスタンドは大きく盛り上がった

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