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10連勝 止まらない三菱重工浦和レッズレディース 見えない圧力でやるべきサッカーを見失ったサンフレッチェ広島レジーナ #女子サカマガ WEリーグ ピックアップ(無料記事) 

前半で勝負をつけた三菱重工浦和レッズレディース 

2024年4月27日に浦和駒場スタジアムで行われた2023−24 WEリーグ 第17節は2−0で三菱重工浦和レッズレディースが勝利。10連勝となり首位を固めました。 

バックスタンドにまで三菱重工浦和レッズレディースのファン・サポーターが数多く足を運び、熱戦を盛り立てました。対するサンフレッチェ広島レジーナのサポータースタンド(通称・出島)には3/4を覆うビッグフラッグが出現し、ファン・サポーターがこの一戦に賭ける意気込みを伝えました。 

アクシデントにも動じず強さを見せつける三菱重工浦和レッズレディース 

主審を務める杉野杏紗さんの衝撃的な声が届き、メインスタンドは凍り付きました。 

「肩が抜けている。」 

素晴らしいプレーを披露していたセンターバックの後藤若葉選手がアクシデントでピッチを退くことになりました。37分にピッチに入ったのは岡村來佳選手でした。 

後半に入るとサンフレッチェ広島レジーナが、この若い18歳の選手を狙い猛反撃に出ます。しかし、三菱重工浦和レッズレディースが凌いで逃げ切り2−0で完封勝利。突然の選手交代ながら、三菱重工浦和レッズレディースの最終ラインが破綻することはありませんでした。 

首位のチームのセンターバックに相応しいプレーを見せた岡村來佳選手(浦和) 写真提供:WEリーグ TOP写真も

この日の準備に活用されたさいたまダービー 

この勝利は、準備周到な楠瀬直木監督のチームづくりによる勝利ということもできます。なぜなら、ピッチ上での経験が必要なルーキーの岡村選手を9日前の4月18日(第15節)に起用していたからです。大宮アルディージャVENTUSを相手に24分までに4−0とリードすると、楠瀬監督は36分に石川璃音選手をベンチに下げ、岡村選手を起用する采配を見せました。岡村選手は54分間の経験を積むことができました。その4日前の4月14日(第14節)にも18分間の出場。岡村選手は、2つの試合を無失点で終えており、3試合目の出場となったサンフレッチェ広島レジーナ戦は自信を胸にプレーできたはずです。 

悔やまれるサンフレッチェ広島レジーナ前半の守備対応 

センターバックの市瀬千里選手は、三菱重工浦和レッズレディースの強さを認めつつも、自分たちで試合を難しくしてしまったことを反省しています。 

「後半はハイプレスを心がけ、フォワードがセンターバックにプレッシャーをかけることができました。前半は引いて守ってしまいました。これは監督からの指示ではないですが、自分たちで、そのような形に持っていってしまいました。それが一番の問題でした。レジーナらしくアグレッシブに前から行くところを崩さなければ、後半のような戦い方をできたはずです。修正したいです。」 

大きなサイドチェンジが脅威だった市瀬千里選手(S広島R) 写真提供:WEリーグ

ポッカリと空いたサイドを見逃さなかった栗島朱里選手 

右サイドバックの島袋奈美恵選手は悔しさを滲ませながら話しました。 

「前半からしっかり自分たちのサッカーができていれば失点しなかったと思うので悔しいです。」 

三菱重工浦和レッズレディースの得点は14分と25分。いずれもボランチの栗島朱里選手がサイドのスペースに張り出し入れたクロスからでした。前半のサンフレッチェ広島レジーナは最終ラインが中央に絞りゴール前を固めました。しかし、そのために生まれたサイドのスペースを三菱重工浦和レッズレディースに使われるプレーが目立ちました。島袋選手は、その原因を話してくれました。 

「レッズのフォワードが強いので、センターバックのカバーに行くことを考え『中ではやらせない』という気持ちで中にポジションをとってしまいました。後半は、センターバックやインサイドハーフとのコミュニケーションで立て直し、私も外に行ける回数が増えました。最初からできていればよかったと思います。」 

難しい対応を迫られた島袋奈美恵選手(S広島R)  写真提供:WEリーグ

連続得点は止まるも清家貴子選手の脅威が試合の鍵に 

見逃してはならないのは、清家貴子選手のポジショニングです。スタートポジションは右サイドですが、トップのはずの島田芽依よりも前の中央に立つこともありました。この日は決定機も少なく連続試合得点記録はストップしました。しかし、中へ外へのポジションチェンジが圧力となって、前半のサンフレッチェ広島レジーナは混乱しました。 

三菱重工浦和レッズレディース 強すぎるくらい強い 前半途中から主力温存の圧勝 #女子サカマガ WEリーグ ピックアップ(無料記事) 

また一歩、連覇に向けて大きく前進 

楠瀬監督は試合後の監督会見で選手を称えました。 

「チャンピオンにふさわしい、自分たちで判断できるチームに近づいてきたと思います。」 

圧勝を見守った2千670人のファン・サポーターも三菱重工浦和レッズレディースの強さを実感したことでしょう。楠瀬監督の言葉の意味は、続きの記事でご紹介します。 

(2024年4月27日 石井和裕)

優勝に向け「自分たちで判断できるチーム」になってきた レッズは安藤梢選手を引退させない  猶本光選手と清家貴子選手がかけた言葉 

 

 

 

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