逃げ切った三菱重工浦和レッズレディース あと1点が遠かったジェフユナイテッド市原・千葉レディース #女子サカマガ WEリーグ ピックアップ(無料記事)
高い強度で競り合いを繰り返すエキサイティングな一戦を勝利したのは三菱重工浦和レッズレディース
2024年3月24日にフクダ電子アリーナで行われた2023−24 WEリーグ 第12節は 三菱重工浦和レッズレディースが1−2でジェフユナイテッド市原・千葉レディースを下しました。首位のINAC神戸レオネッサを勝ち点差1で追撃しています。フォワード起用の髙橋はな選手が弾丸弾ゴール、そして、清家貴子選手は5試合連続得点。2点リードで前半を折り返しますが、後半はジェフユナイテッド市原・千葉レディースが1点を返し、その後はオープンな展開となり白熱しました。

ジェフユナイテッド市原・千葉レディースの前に立ちはだかった石川璃音選手(浦和) 写真提供:WEリーグ TOP写真も
トレーニングの成果を表現できるようになってきたジェフユナイテッド市原・千葉レディース
ジェフユナイテッド市原・千葉レディースは素早く大きなパスワークも披露し、着実にチームとして成長していることを感じさせたものの反撃は1点まで。赤い壁を完全に崩すまでには至りませんでした。
美しいパスワークからの得点
右から縦に仕掛けるパスワークで反撃の狼煙をあげる得点をした鴨川実歩選手は、そのプロセスにチームの進歩を感じています。
「得点までのビルドアップでは、今までにない連動性や人数かけてできました。そこまで綺麗なパターンは、今までのジェフになかったと思います。しっかりと決めることができて良かったですし、こういうシーンを増やしていきたいと思っています。」
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立ち上がりから遠藤優選手と激しいバトルを繰り返した山口千尋選手は試合内容に一定の手応えを感じているだけに、より一層の悔しさがあるようです。
「負けてしまったことは良くないですが、やりたいことはやれていたし、前半戦に比べたら戦って身体を張っているシーンが増えてきました。本来の「走る・闘う」というジェフのコンセプトを表現したサッカーが徐々にできてきた……取り戻してきたと言った方が良いかもしれません。」
決め切る力がある三菱重工浦和レッズレディース
高い位置で奪ったボールをジェフユナイテッド市原・千葉レディースのゴールマウスに打ち込んだ髙橋はな選手は「とにかくシュートしか考えなかった」と話します。ボールを奪って即シュート。見事な先制点でした。
「個人的に今シーズンの初ゴールだったので、ちょっと遅すぎたと思います。さすがにそろそろ決めなきゃなと思っていた。」
明るく笑顔で語ります。まるで、ずっとストライカーとしてプレーしている選手のようなコメントに頼もしさを感じます。
2点目は清家選手がPKを獲得し自ら決めました。
「最初はボールに追いつかないかなと思っていたのですが、相手のディフェンダーとゴールキーパーがどちらもOKと言っていて、多分ばたつくと思ったのでボールを狙いに行きました。(PK は)相手のゴールキーパーと仲が良いので、気合を入れて止めてくるだろうと思ったので真ん中に蹴りました。」
極めて冷静にプレーできるのが清家選手の人並外れたところです。得点王争いのトップを独走します。

浦和レッドダイヤモンズ・レディースで一緒にプレーした清水栞選手(千葉L)と清家貴子選手(浦和) 写真提供:WEリーグ
終盤は1点をめぐる激しい攻防に
後半は両チーム合わせて13の反則(+2つのオフサイド)。ファールの少ないWEリーグにしては、主審の笛でプレーが止まることが多い終盤となりました。そして、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースがオープンな展開になるリスクを選択して攻撃にパワーをかけたことで、三菱重工浦和レッズレディースから余裕を感じにくくなりました。そのことについて三菱重工浦和レッズレディースの楠瀬直木監督は「何事も相手がいるものでファールはお互い様」と前置きした上で、このように話しました。
「一瞬、エキサイトしたような素振りはしますけれど、冷静に対応していかなければいけないです。ジェフさんは『只者ではない』ので、当たったら、こちらも倒れてしまいます。失点してしまいましたが、ジェフさんを失点1に抑えたことを僕は評価しています。」
厳しいスケジュールで戦い、怪我人やコンディションの整わない選手が多数いる状況です。無理なく90分間を戦い抜く試合運びは重要です。しかし、ロングボールとサイドチェンジを交えながらボールを大きく動かすジェフユナイテッド市原・千葉レディースの攻勢に振り回されたところもありました。
「イケイケで攻めたときは良いのですが、しっかり相手を受け止めるマネージメントはまだまだ発展途上。そういう中で頑張ってくれたと思っています。」
とはいえ、国際試合で、数々の痺れる試合展開を経験している清家選手は、やはり百戦錬磨です。コメントが一味違います。記者席から取材者が見た光景がサッカーの全てではないと考えさせられます。
「時間の(上手い)使い方でや、出方を見て相手をヒートアップさせていくような、しっかりとしたゲームコントロールをできるようになりたいですね。」
どちらのチームも成長し続けている
国際経験を積んだ石川璃音選手は、多くの同年代の選手と視線や責任感が違ってきました。主軸のベテラン選手を欠いても、このチームの成長は止まりません。力強くはつらつと、次戦への抱負を語りました。次の試合は中2日でやってきます。
「連戦できついところもあったのですが、チームに貢献するために自分の良さを出さなければいけないと感じていました。フォワードに一対一でしっかり寄せて、相手の良さを消せたところは良かったと思います。
1試合1試合、目の前にある試合を勝って、怪我なく戦いたいです。個人が意見を出すこともすごく大事だと思います。上手くいかない時間に、いかに自分が発信できるかも、しっかりと頑張りたいと思います。」
三菱重工浦和レッズレディースは、次も難敵が相手です。アルビレックス新潟レディースとホームで上位対決です。ジェフユナイテッド市原・千葉レディースは、下位で苦しむサンフレッチェ広島レジーナと3月31日(日)にアウェイで対戦します。
(2024年3月24日 石井和裕)