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ジュビロ磐田は女子サッカーにどのように関わるのか 本田美登里さん、静岡SSUボニータと静岡女子サッカーの過去・未来 

なでしこリーグ1部・静岡SSUボニータがジュビロ磐田と目指すこと 

2024年3月9日、女子サッカー界に衝撃のニュースが駆け抜けました。2月末で契約を満了した元ウズベキスタン女子代表監督の本田美登里さんがジュビロ女子サッカースーパーバイザーに就任したのです。ニュースリリースの発信元はジュビロ磐田です。そして、今シーズンの本田さんはジュビロ磐田からの出向で静岡SSUボニータの監督として指揮をとります。 

ジュビロ磐田は女子サッカーとどのように関わっていくのでしょうか。これまで、どのように関わってきたのでしょうか。ジュビロ磐田と静岡SSUボニータの関係から静岡県の女子サッカーの未来を考えます。 

女子サッカー界の先頭を走り続けてきた本田美登里さん 

本田美登里さんは女子サッカーの開拓者です。道なき道を進み、本田さんの歩みの後に新たな道が生まれます。本田さんは、今回のジュビロ女子サッカースーパーバイザー就任について「3年後くらいに、また後輩が一番綺麗な道を歩いていくという絵が見えます」と笑いながら話します。 

清水第八スポーツクラブの10番で初代なでしこジャパン(日本女子代表)のメンバー 

本田さんは、清水第八スポーツクラブの選手として皇后杯 JFA全日本女子サッカー選手権大会(当時・全日本女子サッカー選手権大会)は第2回大会から4連覇。日テレ・東京ヴェルディベレーザ(当時・読売サッカークラブ女子ベレーザ)に移籍し、なでしこリーグ(当時・日本女子サッカーリーグ)の第1回からプレー。第2回から3連覇。1981年6月7日には史上初のなでしこジャパン(日本女子代表)メンバーとしてスタメン出場。FIFA女子ワールドカップの第1回大会(中国)にも出場しました。 

本田美登里さん

岡山湯郷Belleを立ち上げ宮間あやさんを育てた 

指導者としては女性初の日本サッカー協会公認S級コーチ資格取得が有名です。岡山湯郷Belleには立ち上げから関わり1部リーグの強豪チームにまで鍛え、宮間あやさんら素晴らしい選手を輩出しています。AC長野パルセイロ・レディースの監督に就任すると初のなでしこリーグ昇格を果たし、2016年シーズン、2017年シーズンは1部リーグの入場者数1位となる人気チームに大きく育てました。 

ウズベキスタン女子代表監督として、史上初の女子オリンピック サッカートーナメント パリ 2024最終予選進出にまで導きましたが、惜しくも本大会出場は逃しました。ウズベキスタンサッカー協会から契約延長のオファーがありましたが3月5日に帰国しています。帰国決定の際には選手からも「行かないでくれ」という声が上がったそうです。 

今シーズンから静岡SSUボニータの監督に復帰 

今シーズンの静岡SSUボニータは開幕をヤマハスタジアムで迎え、昨シーズンの王者・オルカ鴨川FCと対戦。1−1で引き分ける、まずまずのスタートを切りました。スタンドには1千244人のファン・サポーターが集まり早くも期待の高まりを感じさせました。 

大きな可能性を秘めた静岡SSUボニータの選手たち

2024年3月23日、本田さんはニッパツ三ツ沢球技場にいました。2024プレナスなでしこリーグ1部、第2節の対戦相手はニッパツ横浜FCシーガルズです。 

本田さんが合流して間もない静岡SSUボニータと昨シーズンから路線を継続するニッパツ横浜FCシーガルズでは、チームの完成度に大きな差がありました。試合後に本田さんに話を聞きました。 

「期待されている分、反省しながら早めに選手たちをブラッシュアップしていきたいと思います。目先の試合が大事だという部分も十分に感じてはいるのですが、ヤマハスタジアム、磐田に、毎回、お客さんがたくさん来てくれる試合をできるチームを作っていきたいと思います。」 

本田美登里さん

日本の女子サッカーをリードしてきた静岡県  

現在、静岡県にはWEリーグ参入チームがありません。しかし、本田さんが清水第八スポーツクラブで活躍した当時、日本の女子サッカーの中心地は間違えなく静岡県・清水でした。史上初のなでしこジャパン(日本女子代表)のスタメンには8人の清水第八スポーツクラブ所属選手が名を連ねました。その清水第八スポーツクラブ(現・清水第八プレアデス)は、現在、東海リーグ2部に低迷しています。 

近年の静岡県の女子サッカーといえば、なんといっても高校女子サッカーです。藤枝順心高校は第32回全日本高等学校女子サッカー選手権大会を優勝。7回の全国制覇は最多記録です。 

本田美登里さん

2022年に静岡SSUボニータとパートナーシップを締結したジュビロ磐田 

ジュビロ磐田は、磐田市に加えて浜松市など県西部の7つの市と町をホームタウンにしています。重複するエリアで活動する静岡SSUボニータとWIN  WINになる関係をどうしたら構築できるかを模索しています。2022年10月1日に、ジュビロ磐田は、サッカーのすそ野拡大・磐田市を中心とした地域スポーツ振興の実現を願い静岡SSUボニータとパートナーシップを締結しました。今回の本田さんとの契約は、その延長線上にあります。 

ジュビロ磐田に関わることが決め手となりオファーを受けた本田さん 

監督にも世代交代が必要だと考えていた本田さんは「静岡SSUボニータの監督だけのオファーだったら受諾しなかった」と明かしました。 

「(藤田)俊哉から、どうだろうと連絡をもらいました。自分自身がジュビロ磐田にも関われるのであれば自分の持っている財産を還元できると思って引き受けました。 

女子のサッカーをジュビロから発信していくことは、親御さん世代にとって影響力が大きい。観客動員も含め、やれることがあるのではないかと思います。」 

本田さんが次に拓くのは磐田市を拠点にした静岡県の女子サッカー復興です。 

続いてきたジュビロ磐田と静岡SSUボニータの関係 

静岡SSUボニータは少しばかり複雑な歴史を歩んできたチームです。そして、ジュビロ磐田との関わりは2022年のパートナーシップが起点ではありません。今一度確認しておきましょう。 

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