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<続報>FIFA女子ワールドカップ国内テレビ中継実現のためだけにクラウドファンディングを行いたい 髙田チェア「女子サッカーの盛り上げは自分たち(WEリーグ)の仕事」(無料記事)

FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023の国内テレビ中継(または配信)がいまだに決まっていません。放映権の交渉はF I F Aと放送局や配信事業者との間で行われるものなので、これまで、そこにリーグや協会といった(※ 22:48加筆)第三者が介在することはありませんでした。しかし、2023年6月21日の「理事会後メディアブリーフィング」でWEリーグの髙田チェアは「まだ計画段階というところなのですが時間的に迫っていることもあり」と前置きし、WEリーグが事務局となる「クラウドファンディングのような形」でできることを行っていきたいという第一報を発表しました。

この極めてイレギュラーな取り組み案は、各種のニュース媒体で取り上げられ女子サッカーのファン以外にも大きく拡散しました。その後、どこからも情報が発せられることがなかった「クラウドファンディングのような形」はどのようになったのか、第一報の5日後、6月26日に髙田チェアがメディアの質問に答えました。

プラットフォームを活用するクラウドファンディングで検討を進める

まず、明らかになったのは「クラウドファンディングのような形」と第一報で説明していた手法は、クラウドファンディングのプラットフォームを活用する前提で検討が進んでいるという点です。目標金額や方式(「All-or-Nothing」方式または「All-In」方式等)は明らかになっていません。そして重要なのは、集めたお金の使い道についてです。髙田チェアは、このように話しました。

「お金をいただくのは、あくまでも国内での放送を実現するためです。女子サッカーを盛り上げるプロモーション使えますとか、そういうことは違うと思っているので、それはやらないつもりです。女子サッカーの盛り上げは自分たち(WEリーグ)の仕事だと思っています。」

純粋にFIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023カップの放送実現だけのためにクラウドファンディングを行うという考えを明らかにしました。 

「一番ハッピーなのは、私たちがやらなくても(国内テレビ中継)決まること」

クラウドファンディングのプラットフォームを活用する場合、その準備等に2週間程度の時間を要するのが一般的です。また、集まったお金をどのようにすれば放映権料の支払いに充てることができるのか、さまざまな制約、法律の問題、税制等を考慮する必要があります。そして、放映権の対象をなでしこジャパン(日本女子代表)の試合に限定するのか、全試合とするのかによっても設定する条件が大きく異なります。どのような方法でクラウドファンディングを開始すれば良いのか、限られた時間の中で検討を進めています。

「2週間かかってしまうところをなんとか短縮できないかお話しさせていただいています。極論、開幕をしてしまったとしても、決勝戦までの間に1ヶ月間あるので、途中から中継が実現する可能性も含めて考えていこうとしています。」

とは言え、このクラウドファンディングを実施せずとも国内テレビ中継が実現することがベストなのは間違ありません。ただ、WEリーグはクラウドファンディングのみを検討しており、放映権交渉には関与していないことを重ねて強調しました。

「一番ハッピーなのは、私たちがやらなくても(国内テレビ中継)決まることだと思っていて、その可能性ももちろん捨てていないです。ただ、私たちは、そこには関与しないです。」

髙田チェアは、あらゆる可能性を考え、日本サッカー協会と細かな相談をしながら進めています。

WEリーグはクラブや選手とのつながりが一番ある。発信をWEリーグが全面的にやっていますが、私たちだけではできないところもあるのでJFAの皆さんにもご相談しています。」

2023年6月26日に行われた「WEリーグ、渋谷区連携協定記者会見」でのWEリーグ チェア 髙田春奈さん

放映が決まっていない状況に対して何かしたいというWEリーグの強い思いは伝わりました。あとは、できるだけ早く具体的な方法を決めること、そして、同時進行で準備を進めることです。スタートを切るまでに、どうしても時間を要します。その間で、どのくらいの協力者を集めることができるのか、それが成功の鍵となりそうです。

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髙田チェアの囲み取材を行った「WEリーグ、渋谷区連携協定記者会見」について、WE Love 女子サッカーマガジンは6月27日にお伝えします。

(2023年6月26日 石井和裕)

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