【なでしこジャパン談義】これでいいのか、なでしこジャパン!(その1)熊谷キャプテンは吉田麻也タイプではない
「フットボールチャンネル」に”なでしこジャパン”記事を掲載している舩木渉氏と「なでしこジャパン」を徹底談義。今回はインドでの女子アジアカップに向けたメンバーと現在地、今後の課題について幅広く談義します。
河治
まず女子アジアカップのメンバー23人が発表されて、前回からの変更は二人でした。このことについてはどう言う感想ですか?
舩木
正直、欧州遠征の後の試合がほどんと無かったじゃないですか?
河治
無かったですね。
舩木
そう言う意味で最近いい選手というのがあんまり分からないんですよ。
河治
たぶん、それは監督の池田太さんもそうだろうね。メンバーをわざわざ入れ替えるに足る評価材料が少ない。
舩木
そうなんですよ。だから替えられなかったというのはもちろんあると思います。12月のキャンプが飛んだというのもあるので、新しいメンバーを入れられなかったことに関しては理解はできるかなと。
河治
はい。
舩木
確かに替わるとしたら、キーパーで山下杏也加選手のところか、ベレーザの小林里歌子選手は順当かなと、パフォーマンスを観ていたら。この中で替わるとしたらそこかなと思っていました。
河治
そうだよね。だからまあ、すでに池田太さんが1回は選んだことのある選手たちの中でってどうしてもなるかな。
舩木
今回に関してはそうですね。
河治
しかもアジアの大会ではあるし、手駒というか、すでに手元にある選手をベースに、個で何かできる遠藤純を加えたというところかな。
舩木
まあワールドカップに出るという意味で言えば、共同開催国のオーストラリアを言え上位6つに入ればいいので、決勝トーナメントに行ければ、ほぼほぼ決まる。
河治
ほぼほぼ決まるよね。
舩木
その可能性が高いというのもあり、そんなに冒険はしなくて良いのかなと。
河治
はい。
舩木
ただ、このチームは僕2試合オランダに現地で観ていてもそうですし、練習を観ていても思うのはもうちょっと経験とリーダーシップのある選手が欲しいかなって。
河治
そうなんだよね・・・意外と熊谷選手も力強い言葉はあるけど、そんなに私が私がっていうタイプではない。この前の話を聞いていても、別に年齢が下の選手も呼び捨てでいいとか、あそこでは言うけど、チームでもっと発信してくれたら多分、そういう呼びやすい空気になるのにとか思うでしょ。
舩木
あれは僕の質問も意地悪だったなと思いましたけどね。
河治
まあ、ただ、チームの雰囲気を作って行く吉田麻也みたいなタイプじゃないでしょ。
舩木
そういうタイプじゃないですね。プレーで引っ張って行くっていう。
河治
そうそう。それで、何かあったときに頼りになる。カバーリングとか要所要所を締められるゴールキーパー的なキャプテンという。彼女はセンターバックだけどグイグイ引っ張るより支える系かなと。
舩木
彼女にキャプテンシーが無いとは思わないですし、そういう批判みたいなものは全く無いですけど、本当にそれこそ吉田麻也みたいなキャプテンシーだとか、男子のA代表で言えばそれよりも下の世代の選手たちが一人一人リーダーシップが取れるじゃないですか。今のなでしこを見ると、年齢だけのせいにしちゃいけないですけど、やっぱり20代の半ばから30代前半の選手の割合が少ないですよね。
河治
うん。
舩木
将来を考えたとしても少ないと思うんですよ。それでWEリーグを見ても、その年代の選手って割と早く引退してしまっていたりとか、伸びなかったりして、なでしこジャパンに限らず絶対数が少ないと思うんですよ。
河治
そうだね。
舩木
それなんでだろうと最近考えていたら、やっぱり2011年の女子ワールドカップで優勝した選手たちがかなり特別な世代で、そこから2014年、15年ぐらいまで代表でバリバリ主力でやってたわけじゃないですか。その選手たちが、まだWEリーグデチームの主力を張っている選手が多かったり、アメリカのWEリーグより厳しいかもしれない環境でやっていたりとか、そういう状況ではある。
河治
確かにね。
舩木
その下の世代がごっそり抜けちゃったというか。うまく代表クラスまで伸びずに、代表経験しないままこの年になっちゃったみたいな年齢層なんですよ。例えば遠藤航選手とか中堅リーダー、言ったら中間管理職みたいな選手があまりにも少ない。
河治
そうだよね;現在のなでしこジャパンでも28、29の選手が欲しいなって。女子の年齢がどのぐらい男子とリンクするかは分からないけど、ちょうど”ヤングなでしこ”って言われた2012年のU−20W杯の世代から、柴田華絵とか田中陽子とかいたでしょ。あの世代の中心メンバーが意外と準代表のままここまで来ちゃってて。
舩木
はいはい。
河治
本来だったら少し冒険して彼女たちをまさしく2014、2015ぐらいで使えていたら今頃、今年28になるぐらいの年代でなでしこジャパンの主力を晴れていたのかもしれないなとか。まあ一番は京川舞の怪我が痛かった。彼女はネクスト澤穂希じゃないけど、本当に岩渕真奈にも匹敵するか、下手したらそれ以上の才能だったから。あの年代が思ったほど伸びてこなかったところに、やっろ田中美南、猶本光、それから池田咲紀子もこの年代だけど。
舩木
その3人とも、タイプが違う選手ではありつつも、共通しているのは言葉とか行動でチームを引っ張って行くタイプの選手ではない。自分の道を極めることにストイックな選手たちじゃないですか。それは岩渕真奈にしてもそうですけど。
河治
それはそうだね。