サッカーの羅針盤

無料記事【J2うぉっち】[アビスパ福岡]敗戦の中にも光明を示した、城後の起点からのロングスプリント

開幕戦で昇格組のFC琉球に1−3で敗れたアビスパ福岡。スリッピーなピッチの中、全体的にはアビスパがボールを保持して高い位置まで攻め込む時間帯が多くなったが、21本のシュートを放ちながら松田力のヘディングによる1点のみ。GKカルバハルのビッグセーブにも支えられる琉球が粘り強く守られ、セカンドボールや出足の速いカウンターからアビスパのディフェンスは後手を踏まされ、3失点につながった。

アビスパはファビオ・ペッキア監督の初陣を飾れなかったが、組織で前からはめに行くディフェンスとポゼッションから高い位置に人数をかける攻撃、カウンターからでも3、4人が角度をズラしてスプリントしてゴールに迫るという形は見られた中で、そこからゴールを決め切るための出し手と受け手の共有やセカンドボールを相手より早く拾って二次攻撃に結び付ける迫力などがもっと求められて来るはずだ。

そうした中でアビスパの象徴的な選手である城後もゴールという結果を残せなかったが、開幕戦から実に城後らしいプレーで惜しいチャンスを呼び込んだシーンが見られた。15分のシーンだ。

田邉草民のバックパスを受けたGKのセランテスが左足でロングキックを蹴ると、城後が増谷と競りながらヘッドで落とし、西岡大志が処理できなかったボールが左サイドに流れると、拾った木戸が一気に縦に運んだ。

この時点でアビスパはボールホルダーの木戸、中央の石津、右サイドから飛び出してきた松田の3人が琉球のディフェンスと3対3になっていたが、さらに驚異的なロングスプリントで城後が追う西岡より先に入ってきた。

木戸が左足で出したショートクロスに松田がニアで触って軌道を変えが、GKカルバハルが体勢を崩しながらも右足一本で防ぎ、アビスパはゴールならなかった。

結果的に直接フィニッシュに関わらなかった城後だが、ヘッドで起点となった直後の6秒間ほどで50メートルを走ってゴール前に入り込んでくる気迫は目を見張るものがあった。

ボールを保持しながら攻め切る攻撃スタイルをベースにしながらも、こうしたスプリントが攻撃にダイナミズムを注入することが示されたシーンだった。チーム全体で意識してもっとこうしたプレーを増やして行きながら、同時に精度と質も求めていくことが勝機を高めるはずだ。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ