「思い出せないくらい気持ちがたかぶった試合」「なぜ、あそこに走ったのか覚えていない」 真っ向勝負の上位対決は日テレ・東京ヴェルディベレーザが勝利 #女子サカマガ WEリーグ ピックアップ(無料記事)
一歩及ばなかったアルビレックス新潟レディースも全力を出し切る
2024年5月2日に味の素フィールド西が丘で行われた2023−24 WEリーグ 第18節は2−1で日テレ・東京ヴェルディベレーザが勝利しました。
村松智子選手は日テレ・東京ヴェルディベレーザの最終ラインで奮闘し続けました。激しい競り合いで、ピッチに倒れ込んだのは一度ではありません。判定やフィジカルコンタクトのあり方について声を張り上げることもありました。試合後に試合内容について質問されると「思い出せないくらい気持ちがたかぶった試合」と振り返りました。 前半アディショナルタイムにペナルティエリアの奥深くに侵入し先制点を決めた3バックの一角の坂部幸菜選手は「なぜ、あそこに走ったのか覚えていない」と話しました。
アルビレックス新潟レディースの橋川和晃監督は、最後まで諦めずに相手ゴールへ向かってくれた選手たちの姿勢を高く評価しました。それはスタンドのファン・サポーターにも伝わったはずです。試合時間が進むにつれて、両チームを応援する声援、歌声、歓声は大きくなっていきました。
負けられない緊張の中で真っ向勝負を繰り広げたアルビレックス新潟レディースのディフェンス陣
山谷瑠香選手はアルビレックス新潟レディースの最終ラインで勇敢に戦い続けました。日テレ・東京ヴェルディベレーザの攻撃陣を最後まで苦しめました。
「最後の最後でPKをとられたのは不運だったところもありますが、このような試合で勝ち点1をとれるかどうかが重要だと改めて感じました。
やられたけれど清々しいというか、ここまでやり切ってもやられたので……言い方が良いのかどうかはわかりませんが、本当に次につながるというか、自分たちのレベルも通用した……でも悔しいですね。」
逃げたら自分の成長につながらないハードな戦い
藤野あおば選手は、珍しく、あまり浮かない表情も少し混ぜながら試合後の取材対応をしました。
「(アルビレックス新潟レディースは)すごく守備がコンパクトで、人と人の距離感が近かったり、自分の見えていないところからプレスをかけられたりしました。それはアルビレックス新潟レディースの良さですが、そこにはまってしまったのは、もう自分の力不足だと思います。以前は『上手くいかない』と、よりネガティブな方向に気持ちが傾きやすかったのですが、今日は『とられても良いから、自分のやらなきゃいけないことをやろう』とか『顔を出さなきゃいけないところは顔出そう』とか思いプレーしました。できないから逃げたら自分の成長につながらない。チームメイトが自分のカバーをしてくれたので『自分がやるしかない』という割り切り方はできたと思います。」
88分に藤野選手の蹴るPKで苦しい試合の決着がつきました。その瞬間、スタンドは大歓声に包まれました。
高いインテンシティ……でも。ハードワークだけでは通用しないWEリーグ
試合後の監督会見で、日テレ・東京ヴェルディベレーザの松田岳夫監督は、いつも本音を少し隠します。このような言葉で試合の総括を締めました。
「終了間際にゴールを奪えたことは、ウチにとって非常にプラス要素だったと思っています。後半に、相手が前から来ることをある程度は想定していました。1点で勝てるとは思っていなかったので、貪欲に2点目、3点目を目指していこうという話をしていました。最後まで全員で戦った良いゲームだったと思います。こういうゲームの中で若い選手たちが成長し、女子リーグ全体が発展していく、それを見に来てくれた方にしっかりとアピールしていくことが本当に必要なことだと改めて感じました。」
「良いゲームだった」とはっきり言いました。そこで、本音の確認のために筆者は質問しました。
「今日の試合は、見に来てくれた方に、日本の女子リーグの良いところをアピールできたのでしょうか?」
松田監督は少し表情を崩した後に続けました。
「どうでしょう……質の部分は、これで満足してはいけないと思います。ただ、このゴールデンウィークの連戦は、ハードワークだけでは通用しない。我々はプラスアルファの部分にこだわって、今日のゲームに出していったつもりです。それを感じ取ってもらえれば一番ありがたいです。サッカーはゴールを奪うゲームですので、ゴール前のシーンが多くあればあるほど、皆さんに喜んでもらえると思っています。」
日テレ・東京ヴェルディベレーザとアルビレックス新潟レディースの勝ち点差は2
日テレ・東京ヴェルディベレーザに残された今シーズンの試合はあと4つ。奇跡の逆転優勝に望みをつなぎました。そして、3位のアルビレックス新潟レディースとの勝ち点差を2に縮めました。日テレ・東京ヴェルディベレーザはビッグ3のポジションを守れるか、アルビレックス新潟レディースが牙城を崩すのか、2023−24 WEリーグはプライドのぶつかる最終盤の戦いに突入しています。
(2024年5月2日 石井和裕)
ゴールデンウィークらしくファミリーの来場が多かった味の素フィールド西が丘