優勝に向け「自分たちで判断できるチーム」になってきた レッズは安藤梢選手を引退させない 猶本光選手と清家貴子選手がかけた言葉
三菱重工浦和レッズレディースが「チャンピオンにふさわしい、自分たちで判断できるチームに近づいてきた」成長の意味と理由
三菱重工浦和レッズレディースが止まりません。連勝記録を10に伸ばしました。皇后杯 JFA第45回全日本女子サッカー選手権大会は2024年1月27日に行われた決勝で惜しくも敗れましたが(PK戦)、その後、一度も負けていません。2023−24 WEリーグの優勝を争うINAC神戸レオネッサに1−1で引き分けた第8節(3月3日)以降は、ずべて勝利しています。
前線にも最終ラインにも進化を感じるサンフレッチェ広島レジーナ戦の圧勝
2024年4月27日に浦和駒場スタジアムで行われた2023−24 WEリーグ 第17節は、その意味が伝わる試合となりました。サンフレッチェ広島レジーナに2−0で勝利しました。試合後の選手コメントから、振り返ります。そして、選手の絆の強さも感じます。試合前に行われた猶本光選手と安藤梢選手のトークショーでの発言も引用しながら、三菱重工浦和レッズレディースの成長理由を探ります。
トークショーで語られた安藤梢選手の引退阻止
今シーズンはハードなスケジュールの影響もあり怪我人が続出しています。特に、大きな衝撃を受けたのは猶本光選手と安藤梢の大怪我。二人とも、同じ試合で左膝前十字靭帯を損傷し、全治8〜10ヶ月と発表されました。1月20日に行われた皇后杯 JFA第45回全日本女子サッカー選手権大会準決勝の出来事です。
二人は揃ってトークショーに登場。猶本選手が、怪我をした直後のロッカールームでのエピソードを明かしました。
「アイシングをしようと思いロッカールームに戻ると(安藤)姉さんもロッカールームに戻ってきました。『(私は)たぶん前十字(靭帯損傷)だよ』と言いました。すると姉(ねぇ)も「私もかもしれない」と言いました。『まさか引退しないよね?』というと、姉(ねぇ)が『えー……。』みたいに言ってきたので『姉(ねぇ)が引退するなら、こっちだって引退してやる!』と言いました。」
神様に「サッカーやめろと言われたのかな?」と思っていた安藤選手
安藤選手は、猶本選手に胸中を見透かされていました。
「前十字(靭帯損傷)かもしれない。引退かもしれないと、実は思っていました。神様に『サッカーやめろと言われたのかな?』と思っていました……そうじゃないと、一生やっている感じだったので。」
後輩たちに引退を阻止され勇気づけられている
筑波大学の後輩でもある猶本選手は、安藤選手を引退させるわけにはいかないと思っていました。そして、そう思ったのは猶本選手だけではありません。筑波大学では猶本選手の後輩に当たる清家貴子選手には、こう言われたそうです。
「梢さん、これで引退したらカッコ悪いっすよ。」
清家選手は過去に膝前十字靭帯の怪我を三度しています。栗島朱里選手、長船加奈選手も同じ怪我を乗り越えました。
「頼もしく元気にプレーしている姿を見て、すごく勇気づけられますね。」
今、安藤選手はピッチで戦う選手から勇気をもらい、猶本選手と一緒に、リハビリを行っています。
大黒柱不在で、清家貴子選手に劇的な変化
三菱重工浦和レッズレディースは中心選手を怪我で欠いても、戦力が落ちた感じを受けません。なぜなのでしょう。
甘えのような気持ちがなくなるとプレーが変わる
清家選手は第20節・アルビレックス新潟レディース戦の後に、このように話しました。
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