大竹麻友選手(N相模原) 、神谷千菜選手 (東京NB)得点で再注目 WEリーグと連携強化 歴史的転換期の2024プレナスなでしこリーグ
WEリーグとの連携は「サッカーと幸せになる」日本の女子サッカー発展につながるか
プロリーグであるWEリーグの12チームは東は仙台市から西は広島市までにチームが点在します。しかしながら、東海、四国、山陰、九州にはチームがありません。女子サッカー・アマチュア最高峰のなでしこリーグは全国に24チーム(1部・2部)。日本中でプレーする女子サッカー選手たちの憧れの舞台です。街で、職場で、学校で、日常的に女子サッカーの話題を提供していく存在となっています。 1部リーグと2部リーグで平均入場者数の差が75人しかない(2023年シーズン)ところに、その存在感が表れています。

左:小島美玖選手(Aハリマ)、右:常田麻友選手(伊賀FC)、開幕戦で対戦する両チームの選手が握手した
理事長の髙田春奈さんは、開幕会見の冒頭で、身近な存在として地域を盛り上げるなでしこリーグの役割に言及しました。
「なでしこリーグのチームが日本中にあるということは女子サッカーの発展において重要なことだと思っています。」

地域行政との関係が特別に深いヴィアマテラス宮崎は1部初昇格の初戦をスフィーダ世田谷FCと戦う 左:水永 翔馬選手(ヴィアマ)、右:柏原美羽選手(S世田谷)
WEリーグのスタッフが大きく関与した開幕会見
2024年は、長きにわたるなでしこリーグの歴史的転換を感じるシーズンになりそうです。2023年4月に理事長に就任した髙田さんの指揮のもとで迎えるリーグ開幕は初めて。3月11日に開催された開幕記者会見は会場の雰囲気がかなり変わりました。
運営スタッフの多くはWEリーグ所属。WEリーグ理事の松岡けいさん、小林美由紀さんも姿を会場に見せています。日本の女子サッカーは前輪のプロ(WEリーグ)、後輪のアマ(なでしこリーグ)が四輪駆動で前進していきます。

なでしこリーグ 理事長 髙田春奈さん
会見の質疑応答で、その点について聞いてみると、このような答えがありました。
「お互いの職員が一緒にやっていくことは、今年に入って結構やっています。今回はWEリーグの職員も一緒に、なでしこリーグの良さを生かし、より良くしていけるところはどういうところなのかを考えながら準備をしてきました。なでしこリーグには歴史があるので、こうしたイベントの準備をしっかりとしてきており、どちらかというと(WEリーグは)学ばせていただいてきました。」
気になるのは、なでしこリーグで大活躍した2人の選手がWEリーグで得点した影響
なでしこリーグにとっても大きな出来事がWEリーグでありました。2023−24 WEリーグがウィンターブレイクを終えて再開。2023プレナスなでしこリーグ1部得点王の神谷千菜選手(東京NB)は初戦で2得点、2022プレナスなでしこリーグ1部の最優秀選手賞の大竹麻友選手(N相模原)は2試合目で先制点を挙げたのです。昨シーズンまでなでしこリーグで活躍した実力ある選手が、この春から、戦いの舞台をWEリーグに移しました。

朝日インテック・ラブリッジ名古屋から日テレ・東京ヴェルディベレーザに移籍しデビュー戦で2得点した神谷千菜選手
上を目指す選手への朗報となる
ウィンターブレイクに取材した日テレ・東京ヴェルディベレーザの関係者は「『なでしこリーグで活躍すればWEリーグでプレーできる』という道を示すことは、より高いステージでのプレーを夢見る選手たちにとって励みになるのではないか」と話しています。
逆に、なでしこリーグ各チームは逆の立場です。昨シーズンまでの主力選手がWEリーグで活躍することについて、現場の選手や監督は、どのように考えているのでしょうか。開幕記者会見の後に聞いてみました。

神川明彦監督(S世田谷)
大竹選手がプレーしたスフィーダ世田谷FCで監督を務める神川明彦監督は、今回のような適材適所の移籍を歓迎しています。大竹選手の移籍は、ノジマステラ神奈川相模原からの強いリクエストがあり実現しました。エースストライカーが去れば、監督として今後の選手起用に苦心するのは間違ありませんが、それ以上に、なでしこリーグでプレーした選手が高く評価されることは、これまで一緒にプレーしてきた選手やチームスタッフの自信につながると考えています。

スフィーダ世田谷FCユース出身の柏原美羽選手(S世田谷)
世界の頂点を知る大野忍監督(スペ大阪)が感じたWEリーグとなでしこリーグの大きな違い
なでしこジャパン(日本女子代表)世界一メンバーの一人・大野忍さんが監督として初めてリーグ戦に臨みます。指揮するチームはスペランツァ大阪です。今シーズンは大阪府河内長野市を拠点に据えて活動します。かつては高倉麻子さん(上海農商銀行監督)、丸山桂里奈さん(タレント活動中)、海堀あゆみさん( WEリーグコミュニティーオーガナイザー)、成宮唯選手(現・INAC神戸レオネッサ)らがプレーした長い歴史を誇るチームですが、近年は個性を掴みにくいチームカラーでした。それだけに「大野色」をどのように出すのかに注目が集まります。
(残り 2325文字/全文: 4821文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ