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日本プロサッカー選手会(JPFA)女子支部の役割 目指すこと 元女子サッカー選手・松田典子さんに聞く

FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023で話題となった女子サッカー選手と選手会(労働組合)の関係

WE DIALOGが開催され日本の女子サッカーが良い方向に

2023年11月27日に、日本の女子プロサッカーは新たな一歩を踏み出しました。日本プロサッカー選手会(JPFA)吉田麻也会長や女子支部に所属する選手の代表者と、WEリーグ・日本サッカー協会(JFA)のメンバーとが直接コミュニケーションをとるWE DIALOGが初めて開催されたのです。

WEリーグ 業務執行理事の小林美由紀さんは、その感想を話しました。

「日本の女子サッカーの発展のため、いろいろと協議をしていこうということで、今回、初めて開催されました。カレンダーのこと、肖像権の取り扱い等、さまざまな項目について活発なディスカッションを行い、終始、良い雰囲気でした。JPFA の会長である吉田麻也さんにはロサンゼルスからオンラインで参加していただきました。」

吉田選手によると、JFA、Jリーグ、JクラブとJPFAの話し合い(労使協議会)とはちょっと雰囲気が違う良い話し合いだったとのこと。リーグと選手、双方の考えと現状を理解し、日本の女子サッカーが良い方向に進んでいることを確認できる会議となりました。

JPFAに女子プロサッカー選手が入会し女子支部を設置

JPFAは1996年に設立されました。日本サッカー界の未来のため、豊かなサッカー文化の普及および振興に寄与するとともに、相互扶助の精神に基づき、プロサッカー選手の社会的、経済的地位の向上を目的としています。日本国内のサッカークラブに所属するプロサッカー選手(一部の外国籍選手を含む)と海外のサッカークラブに所属する日本人プロサッカー選手によって構成されています。

JPFAは国際プロサッカー選手会(FIFPRO)に加盟している

2021年のWEリーグ創設に伴い、JPFA はWEリーグ選手などを会員とする女子支部を設置。現在は支部長を石淵萌実選手(アルビレックス新潟レディース)が務めます。2023年に有吉佐織選手(大宮アルディージャVENTUS)が日本プロサッカー選手会(JPFA)の役員に就任しました。女子選手としては初めてのこととなります。

サッカーはグローバルなスポーツです。そのため、JPFAは国際プロサッカー選手会(FIFPRO)に加盟し、世界各国の選手会と連携しています。FIFPROは、 FIFAから、国際サッカーにおける選手の利益を代表する唯一の組織として承認された団体で、全世界約7万人のサッカー選手を代理し、選手の権利や地位向上等に関する活動を行っています。

浦和レッズレディースOGの松田典子さんがJPFAの女子担当

JPFAの女子担当は松田典子さんです。名前を聞いて選手時代の姿を思い出した方は、かなりのサッカー通です。2005年から2010年まで浦和レッズレディース(当時)でプレー。モックなでしこリーグ2006で新人賞を獲得。ユニバーシアード日本女子代表選手としても活躍しました(ユニバーシアード日本女子代表のチームメイトには筏井りさ選手、北原佳奈選手、大滝麻未選手ら)。引退後、フォトエージェンシーに勤務していた松田さんは、WEリーグ発足のタイミングでJPFAに関わることになりました。元女子サッカー選手としての経験とビジネスの現場の経験を活かして女子サッカー選手を支えます。

今回は、松田さんに日本の女子サッカー選手の現在地とJPFAの活動、そしてFIFPROが関わる世界の女子サッカー界の動きとの連動について、お話をお聞きしました。

プロサッカー選手が会員の対象 選手のために活動するJPFA

粘り強く地道な活動を続けてきた松田さん

松田当初は私とJPFA事務局のメンバーが定期的にWEリーグとコミュニケーションをとってきました。実は、小林理事とは、私が浦和レッズレディースでプレーしながら早稲田大学に通っていたときからのお付き合いなので、今、こうしてお互い別の組織の立場になっても話しやすい関係です。いつも、和やかな雰囲気で会議をさせていただいています。

このお仕事は、スムーズにコミュニケーションをとれることが大事ですね。

松田 試合会場に足を運び、クラブの強化担当と顔を合わせ、関係性を築くことを常に心がけています。日本サッカー協会とも同様です。 WEリーグの登録選手は約300人です。そのうち約2/3がプロ契約選手です。アマチュア契約の選手はJPFAの会員ではないのですが、アマチュア契約の選手のご相談ごともお聞きしています。

JPFA女子担当 松田典子さん

松田 WE DIALOGをやっと開催することができました。選手の代表者と、WEリーグ・日本サッカー協会(JFA)のメンバーとが直接コミュニケーションをとる初めての話し合いの機会です。会話のキャッチボールを生むことを心がけて進行しました。

ここに至るまで2シーズンを費やしました。当初の私の仕事は、選手に「選手会とは何か?」を説明するところから始まりました。存在意義、何をしている組織なのか、選手にとって何がプラスになるのかを伝えるところに苦労しましたね。

NWSLの事例紹介も含め具体的な話し合いが行われたWE DIALOG

—WEリーグから、カレンダーのこと、肖像権の取り扱いのことをWE DIALOGで話し合ったという話がありました。差し障りのないところまで教えてください。

松田 要望を出させていただいたいのはカレンダーの件です。なでしこジャパン(日本女子代表)の試合日程や女子ACL2024プレ大会、FIFA U-20女子ワールドカップの開催もあり、カレンダーの調整には大変な努力をされていることも理解していますが、プレーヤーズファーストの面からの要望を伝えさせていただきました。

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