WE Love 女子サッカーマガジン

川澄奈穂美選手が思いを語る  女子サッカーチーム立ち上げ、遠征にも活用可能 JFAがプラットフォーマーとなる「JFAクラウドファンディング」がスタート

日本のサッカーの未来のため、宮本恒靖さんと「JFAクラウドファンディングアンバサダー」からのメッセージ 

日本サッカー協会(JFA)が新規事業を立ち上げました。注目すべきは、そのスキームとポジションです。日本サッカー協会がプロジェクトのクラウドファンディングを実施するのではなく「日本サッカー協会がサッカーに特化したクラウドファンディングプラットフォームを立ち上げ運営する」のです。これにより、日本中のサッカーファミリーがクラウドファンディングをスタートしやすくなります。 

2023年12月6日に「JFAクラウドファンディング(https://jfa.camp-fire.jp/)」に関する記者会見が行われ日本サッカー協会専務理事の宮本恒靖さんと株式会社CAMPFIREの取締役執行役員CEOを務める中島真さんが登壇。新規事業立ち上げの経緯や、事業の目指す将来像を話しました。 

「JFAクラウドファンディングアンバサダー」の播戸竜二さん(元プロサッカー選手、JFAアスリート委員会委員)、川澄奈穂美選手(アルビレックス新潟レディース、JFA アスリート委員会委員)、那須大亮さん(元プロサッカー選手、Youtuber)

女子サッカーの普及・発展に活用できる「JFAクラウドファンディング」 

日本サッカー協会は「47 都道府県サッカー協会や各種連盟、関連団体、チーム・スクール、サッカー関連事業者(イベント・施設)、あるいは選手・指導者・審判員といった個人等にクラウドファンディングの場を提供する」と説明しています。 

サッカーへの強い思いを語る株式会社CAMPFIRE 取締役執行役員CEO 中島真さん 「JFAクラウドファンディング」は日本サッカー協会と株式会社CAMPFIREの「JFAサポーター契約」に基づく事業

クラウドファンディングは広く日本に普及し、たくさんのプロジェクトが立ち上がっています。例えば、CAMPFIREのサイトで「女子サッカー」を検索すると220件のプロジェクトが見つかりました(2023年12月6日)。 

サッカーファミリーに3つのメリット 

たくさんのクラウドファンディングサービスを提供する企業が存在しますが、それらではなく「JFAクラウドファンディング」を利用すると、サッカーファミリーにはどのようなメリットがあるのでしょうか。日本サッカー協会は、以下の3つのメリットがあるとしています。 

<起案者のメリット> 

①お得にクラウドファンディングを実施できる 
通常手数料 17%のところ 15%(手数料10%+決済手数料5%)に割引 

②サッカー専用の無料セミナーがあり、初めてでも安心して始められる 
サッカー活動に関わる人向けの専用の2 種類の無料セミナーを定期的に開催。サッカーのプロジェクトに関するノノウハウや情報を提供。
・ページ作成ワークショップ編
・オンライン質問相談会編 

③サッカーに関心がある人が集まる JFA公式サイトに掲載できる 
地域、クラブ、部活動、選手、保護者など、サッカーに関わる個人・団体の夢と挑戦を応援する人が集まる。 

日本サッカー協会 専務理事 宮本恒靖さん

チームの立ち上げ資金や遠征資金の調達に(宮本恒靖専務理事) 

宮本さんは、WE Love 女子サッカーマガジンの質問に答え、女子サッカーにおける 「JFAクラウドファンディング」の活用方法の例を話しました。 

「U-15のチーム立ち上げにクラウドファンディングを活用するのがキーだと思います。U-12のチームを持っている人はU-15のチームを立ち上げられると思います。でもゼロからチームを立ち上げることは大変。(『JFAクラウドファンディング』の利用で)『ノウハウを学ぶ講習を開催するための支援をしてください』といった方法もあると思います。谷川選手や古賀選手のような若い選手がどんどん活躍しています。彼女たちみたいな選手を輩出するための海外遠征の支援をしていただくこともありがたいです。」 

宮本さんは、かなり具体的な活用方法を提示しました。そして、同日にブラジル遠征から帰国した古賀塔子選手(JFAアカデミー福島)と谷川萌々子選手(JFAアカデミー福島)の名前が出たことに筆者は驚きました。 

※日本サッカー協会は会長の田嶋幸三さんが2024年3月で任期満了となるため、次期会長の選考に注目が集まっています。会長選挙において規定の推薦人を集め正式に投票対象となった立候補者は宮本さんのみ。これまで、あまり女子サッカーとの接点が目立たなかった宮本さんが、女子サッカーについて、どのような取り組みをしていく考えなのか、WE Love 女子サッカーマガジンは、これからも注目していきます。 

少女たちにサッカーをできる環境を(川澄奈穂美選手) 

「JFAクラウドファンディングアンバサダー」の川澄奈穂美選手(アルビレックス新潟レディース、JFA アスリート委員会委員)は、所属チームのトレーニングを終えて記者会見に駆けつけました。この新事業と過去の自らの経験が、実は近いものなのではないかと思っていました。 

「少女たちがサッカーをできる環境を整えたいです。女子のチームは少ないです。女子には小学校から中学校に上がったときにプレーできるチームがない問題があります。『チームがあれば続けようと思っていた』という声を大人になってからよく聞きました。あのとき、チームがあれば女子サッカーのプレー人口は増えたのかもしれないと思います。」 

播戸竜二さん(元プロサッカー選手、JFAアスリート委員会委員)、川澄奈穂美選手(アルビレックス新潟レディース、JFA アスリート委員会委員)、那須大亮さん(元プロサッカー選手、Youtuber)

川澄選手も宮本さんと同じように、「JFAクラウドファンディング」がU-15の女子サッカーチーム立ち上げに役立つと考えています。そして、1998年に起きた、あの出来事を振り返りました。  

「私の地元には中学生がプレーできる女子チームがありませんでした。小学校のときにプレーしていたチームが良い成績を残していたので、選手がバラバラになってしまうのは勿体無いと考えて、大人たちが中学生のプレーできる女子チームを作ってくれました。今、思えば、大人たちの協力とやる気がなければ絶対にできなかったことだと思います。お金もかかったと思います。私は、良い大人に恵まれたのだと思っています。 

おそらく、そうやってお金を出してくれる大人に恵まれた子どもたちばかりではないと思います。そうした課題をクラウドファンディングを通じて、いろいろな方に知っていただいて応援してくれる大人が増えればサッカーを続けられる少女たちが増えると思います。 

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