WE Love 女子サッカーマガジン

雪辱を果たすWEリーグ3年目 千葉玲海菜選手、大澤春花選手、サンプソン選手、イスマエル オルトゥーニョ カスティージョヘッドコーチ 世界とつながるジェフユナイテッド市原・千葉レディースに躍進の予感

一昨年は大きな飛躍を遂げました。は大きな飛躍を遂げました。2021ー22シーズンのジェフユナイテッド市原・千葉レディースは、リーグ戦4位という過去最高順位、2012年シーズン以来の皇后杯 JFA全日本女子サッカー選手権大会決勝戦進出、さらには、なでしこジャパン(日本女子代表)に選手二名が選出され明るい空気に包まれていました。

二年目の2022−23シーズンは残念な失速。「タイトルを狙うシーズン」と意気込みましたがリーグ開幕前にエースの千葉玲海菜選手とキャプテンの林香奈絵選手が怪我で長期欠場。すっかり歯車が狂ってしまいました。ウインターブレイク前までの戦績は1勝の9位と低迷。WEリーグ初のシーズン途中での監督交代により三上尚子ゼネラルマネージャーが後任の監督に就任し、終盤戦で立て直しました。

2023−24シーズンのジェフユナイテッド市原・千葉レディースは、再び、脚光を浴びています。千葉玲海菜選手とサンプソン選手、二人のFIFA女子ワールドカップ出場選手、そして、第19回アジア競技大会を優勝した大澤春花選手という三人の代表選手を揃えるチームになったのです。

ジャマイカ女子代表・サンプソン選手の加入でパワーアップするセンターライン

ジャマイカ女子代表であるサンプソン選手の獲得は、今オフのWEリーグ最大の大型補強です。しなやかな身のこなしが特徴で、ピッチ上に立つだけで存在感を示します。イングランドW S Lのアーセナルやウエストハムでプレー経験があり、アンダー年代にではイングランド女子代表に召集されていました。イングランドではディフェンダーとして多くの試合に出場しています。FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023ではジャマイカ女子代表としてボランチで全4試合に先発。史上初のノックアウトステージ進出に大きく貢献しています。

ジャマイカ女子代表でもプレーするサンプソン選手

その姿が目立つのはフィールドでだけではありません。筆者がトレーニングの取材に訪れた際は、サンプソン選手のスタイリッシュな私服姿にも目を奪われました。Tシャツは黒に赤・黄・緑のラスタカラー。胸にボブ・マーリーさんが描かれていました。

ボブ・マーリーさんはレゲエミュージックを世界に広めた偉大なミュージシャン。レゲエミュージックのシンボルカラーとして愛されるラスタカラーはジェフユナイテッド市原・千葉のチームカラーと重複するため、サンプソン選手はすでに千葉に馴染んで見えます。イングランドで多くプレーした最終ラインかジャマイカ女子代表でプレーしているボランチか、起用されるポジション、そして、ポジションによっては戦術に伴う岸川奈津希選手との役割分けに注目が集まります。

スペイン流の指導でチームを変えるヘッドコーチ

もう一人の海外からの補強はスタッフです。今シーズンから戦術面を受け持つことになったイスマエル オルトゥーニョ カスティージョヘッドコーチはスペイン出身の若き指導者。型にはめ込みすぎず、教えすぎず、選手の強みを引き出すところに特徴があります。ジェフユナイテッド市原・千葉レディースのプレーは、ピッチを大きく使い素早くパスを回すスタイルに変貌しました。2023−24 WEリーグカップでは、時間帯と対戦相手の出方により4バックと3バックを併用。昨シーズンまでサイドでの起用が多かった蓮輪真琴選手をセンターバックで起用する等、従来のジェフユナイテッド市原・千葉レディースのやり方に囚われすぎない大胆な変革を進めてきました。

イスマエル オルトゥーニョ カスティージョヘッドコーチ

スペインの女子サッカーはFIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023で世界の頂点に立ちました。スペイン流の多彩な攻撃サッカーがWEリーグで披露されるのが楽しみです。

すっかりジェフユナイテッド市原・千葉レディースのトレーニングの定番となった小さなピッチでのミニゲーム

アジアでの経験がチームを強くする

二人の選手が貴重な経験をチームに持ち帰りました。大澤選手と千葉選手は第19回アジア競技大会に参加しただけではなく優勝し、金メダルを持ち帰ったのです。大澤選手は「こんなに重いんだ」と金メダルの価値を首と肩に覚えました。

千葉玲海菜選手(左)と大澤春花選手(右)

第19回アジア競技大会の日本女子代表は最初のミーティングで目標をアジアチャンピオンと定めました。チームとしても個人としても成長して帰国することをチームメイトと誓い合いました。その全てを達成しました。

全国区で一躍脚光を浴びる大澤春花選手 

大澤選手は「初めて一緒にプレーする選手が多かったので、なかなか上手くいかない部分もあって、試合の中でやっていくしかないところがあった」と振り返ります。しかし、大会が進むにつれ、味方との呼吸が合うようになっていきました。それがすごく楽しかったと言います。

大澤春花選手

決勝の北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)女子代表戦は地上波で生中継されました。大澤選手は値千金のヘディングシュートをゴールに叩き込み、全国のファン・サポーターに鮮烈な印象を与えました。大会を通して7得点を記録することができました。

「『地上波ってすごいんだな』というのが率直な感想です。普段はサッカーを見ない友達からも連絡が来ました。一番驚いたのはインスタのフォロワー数がすごく伸びたことです。代表選手が増えるだけで(ジェフユナイテッド市原・千葉レディースの試合を)見てくれる人が増えると思うので、そういう効果は大きいと思います。」

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