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スウェーデンとは僅差 なでしこジャパン帰国会見 宮澤ひなた選手の去就についての発言も

優勝候補のスウェーデン女子代表との準々決勝を1−2で惜しくも落としたなでしこジャパン(日本女子代表)は足早に帰国しました。試合の翌日、2023年8月12日に羽田空港と成田空港に到着。南半球での冒険は、ひとまず幕を下ろしました。

羽田空港では熊谷紗希選手(ASローマ)、宮澤ひなた選手(マイ仙台)、池田太監督、佐々木則夫女子委員長が取材に対応。FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023を振り返りました。悔しい結果に終わりましたが、丁寧で希望を感じる会見を終えると、筆者は晴れやかな気分になりました。このチームは帰国をもって解散となりましたが、知れば知るほど人の心を動かす素晴らしいチームでした。

熊谷紗希選手

「一緒に戦ってくれてありがとう」それが一番伝えたかったこと 熊谷紗希選手

「最高のチームだったからこそ、やっぱもっとやれたという気持ちもすごくあって……反面、やれることはやったというところもあった。」

主将を務めた熊谷選手は、やや悔しさを感じさせるコメントから会見を始めました。FIFA女子ワールドカップ カナダ2015で準優勝した後は、どちらかというと苦しい日々が多い印象のなでしこジャパン(日本女子代表)でした。熊谷選手は、常にチームの中心選手として戦い続けてきました。チームメイトに厳しい声をかけるときもありました。ただ一人の世界一を知る選手として、この大会をどのように考え、今日まで日々を送ってきたのでしょうか。

「これまで、世界でそこまで結果を出せてこなかった期間が続き、親善試合でもそこまで大きく世界を驚かすようなことはできなかったですが、ワールドカップでは、良い準備をしてきたからこそ出せた結果だと思っています。世界を相手に自分たちがやれるとことが証明できたと思うし、すごく自分たちの自信になった。あとは、やはり最後の勝負どころで勝ちきれなかった……何かが自分たちにはまだ足りないと思います。そこまでの4試合とは違うスウェーデンの強さ速さに少し圧倒された部分もあったと思っています。個々の成長がチームの成長につながると思うので、そこがこれからの自分たちの課題だと思います。

3−4−3を取り組んでから本当にいろいろやられながら、最後の親善試合のパナマ戦で少し自信を掴み臨めたワールドカップでした。ただ、ワールドカップに入って4試合は上手く3−4−3が機能しましたが、スウェーデン戦の前半の中で自分たちが変えられたら……オプションを増やせたらまた違っていたのかなというところは、悔しさと共に自分たちの反省点でもあると思っているので、これからしっかり修正して、やって来る未来に向けてまた取り組んでいきたいと思います。」

スウェーデンの緻密でスピーディーなパスワークは脅威でした。あの劣勢のまま終わってしまった前半の45分間は悔やまれます。ただ、90分間トータルのスタッツを見ると、印象ほど大きな差がついていたとも感じにくい試合でした。得点差は1。ゴールしたかしなかったかは数センチの違い。世界のトップとの差は大きかったのか小さかったのか。熊谷選手は断言しました。

「僅差だったと思います。私たちにも90分の中で追いつくチャンスは確実にあったと思うし、勝負どころと言われてしまえばまだまだだと思っていますが、差を感じたなとか、かなわないなっていう感覚は一切ありません。」

熊谷紗希選手

夢を感じるチームでした。敗れたことで絶望を感じることはなく、女子サッカーの未来を背負う覚悟を持って試合に臨んでいたのにも関わらず、全ての選手の個性が最後まで輝いて見えるチームでした。その理由について質問すると、こんな答えが返ってきました。

「すごく良いチームで戦えました。いろいろな立場があって、(試合に)出ている人、出ていない人がいる中でも、全員がチームのために行動できた。本当に最高のチームだったので、そこが個々にそれぞれ(力を)発揮できた原因だったと思います。」

そんなチームメイトに主将として伝えた言葉は感謝でした。南半球での冒険は終わりましたが、すぐに次の戦いが始まります。なでしこジャパン(日本女子代表)の次の目標はパリ・オリンピック。熊谷選手は、さらにその先に見つめる女子サッカーの未来像を実現するため、これからも戦い続けます。

「『一緒に戦ってくれてありがとう』それが一番伝えたかったことです。自分たちがなでしこジャパンで結果を出すことが、女子サッカーの未来のために絶対につながると思うし、この場所が本当に皆の目指す場所になるように、私たちがもっともっと頑張らなきゃいけないよねっていうことは言いました。」

もっと高いレベルでやりたい 宮澤ひなた選手

宮澤ひなた選手にとって初めてのFIFA女子ワールドカップはどのような大会だったのでしょうか。5得点で得点王争いのトップを走り、世界中から注目される存在になりました。マイナビ仙台レディースで再びプレーするのでしょうか。

「いろいろな方々が見てくださった。だからこそ、もっと結果を出してきたかったという思いもあります。最高の仲間、最高のスタッフ、皆に助けてもらって過ごせた1ヶ月でした。この悔しさを忘れることなく、また、ここから頑張りたいと思います。

皆がいたからとれた5点だと思います。今できることをやるだけと思ってやってきました。得点できたことは嬉しかったですが、これに満足していられないです。レベルが上がるにつれ、1点、2点というところが、すごく重要になってくると感じたので、そういうときこそ得点をとれる選手になりたいです。」 

宮澤ひなた選手

宮澤選手が欧州の有名チームに移籍するのではないかという記事が一部メディアに掲載されました。それについては具体的な明言を避けたものの「高いレベル」への意欲を見せました。以前は「もっと欲を持て」と指摘されることもあった宮澤選手は、おそらく、秘めていた本当の自分を発見できたのではないでしょうか。「どのチームでプレーするのか?」去就についての質問への答えは決意表明にも感じます。

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