西部謙司 フットボール・ラボ

ミドルプレス、してますか? ゴール前への「不法侵入」を防ぐためにJリーグ全チームが備えるべきセキュリティ戦術

2023年のJの戦術的潮流を読むシリーズ『Jの見取り図20235回目。「セコム、してますか?」で一世を風靡した野球界のスーパースターよろしく、ビルドアップの進化著しいJリーグでもゴール前への侵入を防ぐための強固な守備のセキュリティ戦術が求められている。そのカギとなるのは「ミドルプレス」だが、思わぬセキュリティホールも存在するようだ……。

【Jの見取り図2023シリーズ】

■第一回目 ビルドアップが危ない! なぜ今季のJ1はハイプレス有利になったのか?

■第二回目 ドイツを粉砕。日本代表の「進化型ゾーン・ハイプレス」がJリーグを席巻する日

■第三回目 もはや戦術は「欧州>Jリーグ」にあらず。ハイプレスvsビルドアップの攻防がもたらす進化

■第四回目 それでも、ハイプレス続けますか? 幸運を呼ぶ「待ち受け」に変えますか? Jリーグの守備戦術を占う

万全の警備システムだけでは不十分なセキュリティ新時代

ミドルゾーンにブロックを形成して待ち受ける守備は、ハイプレスを主体とするチームにとっても必要な時間帯があるので、ミドルプレスはすべてのチームに必須であると思われます。ローブロックへの移行も容易です。ミドルプレスの強固なチームはそれだけ手堅い試合ができるわけです。

ところが、ミドルプレス主体のチームほど相手のミドルプレスの攻略が得意ではない感じがあります。ミドルプレスで奪えるとショートカウンターを狙えるのでそちらは得意なのですが、じっくり構えられると打開できないケースが多いように思います。

29節のアビスパ福岡vs鹿島アントラーズは、ミドルプレスが固いチーム同士でした。そしてやはりというか何というか結果はスコアレスドロー。

前半は福岡がやや優勢でした。ハイプレスが強力で、鹿島にハーフウェイラインを越えさせない流れを作れています。しかし、鹿島がハイプレスを早々に諦めてミドルプレスにセットし直すと、福岡は攻め込めるかわりに崩せなくなり、ハイプレスも強度が落ちて鹿島にカウンターを食らう流れに。ただ、福岡が素早く帰陣してミドルブロックをセットすると、鹿島もなかなか崩せない。どちらも守備構築はいいのですが、攻め手がいまひとつ。そして互いにノーゴールという、当然の帰結にも思えてしまう結果でした。

守ってばかりの警備員はいらない、駆け付けろ強力サイドアタッカー

ミドルゾーンのブロック守備を攻略するには、

(残り 666文字/全文: 1656文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ