西部謙司 フットボール・ラボ

ドイツを粉砕。日本代表の「進化型ゾーン・ハイプレス」がJリーグを席巻する日【Jの見取り図2023】

前からはめて奪いにいくハイプレスか、後ろで構えてカウンターか。そのどちらでもない方法で、ハイプレスの構造上の欠陥をカバーしているのがドイツを粉砕した日本代表と低迷を脱しつつある柏レイソルだ。次のJのメインストリームになりそうな気配が漂う戦法にフォーカスする。

Jの見取り図➀はこちら

日本代表のゾーン・ハイプレスはJの近未来か?

日本代表が欧州遠征で2連勝しております。ドイツ代表に4-1、トルコ代表に4-2。トルコ戦のほうは内容的にかなり落ちましたが、ドイツ戦は強豪国とも十分戦えそうな力を示せたのではないでしょうか。

今回のテーマがJリーグのハイプレスなのですが、せっかくなので日本代表のハイプレスについても軽く触れておきたいと思います。

日本代表のハイプレスは比較的珍しいゾーンのまま前進するという方法でした。これは第26節で横浜F・マリノスを破った柏レイソルのやり方と同じです。相手の深い位置からのビルドアップに対するプレスは大まかに2種類あり、1つは10個のペアを作るマンマーク。もう1つは後方に数的優位を残すハイプレスです。

マンマークはプレスのかかりが強いメリットがある半面、1人外されると玉突き的にずれていくのと、同数守備なので相手のトップへロングボールを蹴られるとカバーリングが効きにくいというデメリットがあります。(1)

後方で1人を余らせておけばロングボールに対するカバーができるメリットがありますが、当然相手のフィールドプレーヤーが1人フリーになります。なので、そのフリーの相手(だいたいボールと反対サイドのSB)にボールが入らないように追い込みます。(2)

場合によっては中央を強化して1人余らせるので、GKにプレスした場合に逆サイドの2人を放置することもあります。(3)

いずれにしてもビルドアップを行う相手にはマンマークで強いプレスをかけていくのは共通しています。ただ、マンマーク方式はプレスを外されたときは一気に前進されてしまうので、ミドルゾーンの守備ブロック形成はほぼ間に合いません。

日本代表や柏のゾーンによるハイプレスは、そのリスクを軽減できるというメリットがあるわけです。

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