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FIFA女子ワールドカップの前と後 吉田紗季選手が体感しているニュージーランド生活と英語と女子サッカー

女子サッカーを通して知った南半球、日本と反対の常識も

吉田紗季選手をリモート取材すると、その言葉と表情から毎日の充実ぶりが感じられます。

「ニュージーランドに来て良かったです。海外から日本を客観視すると日本の良いところも悪いところも見えてくる。それが、海外で生活し経験できる最大のメリットだと感じます。

『自分の当たり前が当たり前じゃない』ということを知りました。日本では試合前に試合のことしか考えない。どうしたら上手くできるかを考える。それを当たり前だと思ってきました。でも、こちらは全く違います。日本で当たり前のことをしていたらチームメイトから『元気出しなよ』と言われる。だから、自分の中にある許容範囲が広がったと感じますね。」

2022年シーズンにリーグ優勝したイースタン・サバーブスAFC 提供:株式会社ネイティブキャンプ

大卒と同時に海外移籍しリーグ優勝した充実ストーリー 

イースタン・サバーブスAFCの中心選手として2022年シーズンからプレー

吉田選手は山梨大学を卒業後、2022年からニュージーランド最大の都市・オークランドで生活しています。所属チームはイースタン・サバーブスAFC。加入一年目の2022年シーズンにニュージーランド・フットボールチャンピオンシップ(1部リーグ)を優勝しました。

ニュージーランドはFIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023の開催地。大会前と大会後で女子サッカーを巡る環境は変わったのでしょうか。吉田選手は、どのようにニュージーランドでの選手生活を楽しんでいるのでしょうか。

華やかな装いで盛り上がる吉田紗季選手のチームメイト 提供:吉田紗季選手

自然も人も大きなニュージーランド

吉田「何か新しいものを手に入れたい、経験したい」と思い海外へ行くことを考えました。山梨大学は監督が寛容で多くの先輩方がオーストラリアやアメリカでプレーしているので、もしかすると、他の人よりちょっと海外でのプレーを近くに感じていたのかもしれません。ニュージーランドは安全。自然豊かなところが良いです。

ニュージーランドでのプレーはいかがですか

吉田選手の体格が明らかに違います。背が高いし横幅も大きい人が多いです。しかも動けるし足が速いというのがニュージーランドのプレーヤーの強みです。体格の差を埋めるために、まずジムに行って筋力トレーニングを始めました。そして、日本でプレーしていったときと違い、身体をぶつけられないように工夫する必要性も感じましたね。

山梨県とは全く違う大自然を感じている 提供:吉田紗季選手

送付したプレー動画が評価され途中加入へ 

シーズン途中で加入し、その年に優勝されましたね。

吉田とても良い経験をできました。嬉しかったです。最初のシーズンで優勝したからこそ「ここでもう一年やりたい」という思いになり、今もニュージーランドで生活しています。チームへの感謝、監督への感謝がすごく大きく、恩返しをしたい気持ちも大きいですね。 

途中加入の難しさはありましたか? 

吉田監督から「なるべく早く来てほしい」と言ってもらいました。当時はコロナ禍の真っ最中でした。普通は現地で練習参加をしてから、チームが獲得意思を伝えると思うのですが、私の場合は、日本で制作したプレー動画を送ったところ「ぜひ入ってくれ、なるべく早く来てほしい」という返答をもらうことができ、先に加入が決まりました。決まってから練習に参加したという順序です。

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予想外に苦戦した英語力を救ってくれたオンライン英会話

復習だけでなんとかなるだろうと言う考えは甘かった

吉田大学4年生になり、ニュージーランドに行くこと決めたときから、過去に学校で習った単語、文法について復習していました。自分の中では、かなり勉強していたつもりなのですが、初めてチームの練習に参加したときに「How are you」という、とてもシンプルな会話ですら聞き取れませんでした。

スタートから「あれ?」おかしいなという感じだったのですね。

吉田そうですね。そこで、まずはチームメイトの顔と名前をしっかり覚えることから始めました。顔写真をプリントアウトして、チームメイトに名前を書いてもらい、顔と名前を一致させる。それが、英語でのコミュニケーションの第一歩です。

あとは監督が試合前等に戦術説明するために投影するスライドを事前に送ってもらい、自分で日本語に訳して理解することも始めました。まずは環境に慣れることが必要でした。4ヶ月くらいしてから、もう一度、英語の勉強をしっかりと始めることになりました。

英語に触れる時間を増やすことで上達へ

吉田いくつもオンライン英会話を試してみました。その中で、ネイティブキャンプというオンライン英会話の先生がとても優しかった。もう、これは運命というか、良かったと思い、そのまま始めました。

ネイティブキャンプでオンライン英会話のレッスンを受ける吉田紗季選手 提供:吉田紗季選手

海外に渡ってから日本の企業のオンライン英会話でレッスンを受けるには、また別の勇気が必要だと思いますが、よく決断されましたね。

吉田チームメイトとコミュニケーションを取りたいけれど取れないという切実な悩みがあったので、とりあえず英語に触れる時間を増やそうと思いました。どうしても一人で部屋にいると休んでしまう。誰かと話すことが必要だと思いオンライン英会話を始める決断をしました。

「海外に行けば自然と英会話をできるようになる」とよく聞きますが、普通に喋っているだけでは、自分の求めてる習得スピードに追いつかなかったのでしょうか?

吉田その通りですね。「自分でやらないとどうにもならない」というのが正直な感想ですね。一番モチベーションが上がるのはチームメイトが褒めてくれたとき。自分では上達を実感しにくいのですが、ネイティブキャンプでオンライン英会話を始めた後に日常会話の中で「良くなっているね」と言ってもらえました。嬉しかったです。

チームメイトにも支えられたところもありますね。

吉田本当にチームメイトは優しい。監督も優しい。そして、ニュージーランドのお国柄もあると思います。ダイバーシティが当たり前で、いろいろな国から来た人が住んでいる移民の国です。だから、いろいろな国訛りの英語を聞くのも慣れているし、喋れない人と接することにも慣れいてる人が多いです。

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