なでしこジャパン帰国 女子サッカー国立最終決戦は4バックにも5バックにも対応できる トレーニング後の取材から第1戦の苦戦を検証
スカウティングとの食い違いは?なぜ脅威を与えられなかったのか?なでしこジャパン(日本女子代表)第2戦に向けて修正点と自信
朝鮮民主主義人民共和国(DPR KOREA)女子代表との第1戦はスコアレスドローに終わりました。なでしこジャパン(日本女子代表)は2024年2月26日にサウジアラビアから帰国。16時30分から高円宮記念JFA夢フィールドでトレーニングを行いました。報道陣に公開されたのは冒頭のみ。詳細は分かりません。長旅の後ということもあり身体をほぐす動作を念入りに行うことから始まりました。トレーニング全体の時間は長くなく、非公開となってからの時間は、主にボールを使ったコンディション調整に充てたと思われます。しかし、それだけではなかったようです。
鍵を握るアンカーポジションの推進力
「第1戦ではシュートが少なかったので、増やすために今日のトレーニングの中で修正するシーンがありました。」
トレーニング後の取材で、谷川萌々子選手(FCローゼンゴート)が、ほんの少しだけヒントを与えてくれました。第1戦が無得点だったなでしこジャパン(日本女子代表)。当たり前のことですが得点しなければ勝利することができません。
熊谷紗希選手(ASローマ)に代わり、69分からアンカーポジションへ投入された谷川選手は、相手の裏を突くロングボールを織り交ぜチームを前進させました。劣勢だった試合展開を挽回した非凡な才能は、改めてDPR KOREA女子代表に強く印象づけられたはずです。ファン・サポーターからも特に注目が集まります。
「自分の良さである展開力をもっと出していきたいです。また、チャンスがあればどんどんゴールを狙っていきたいです。」
ミドルシュートは谷川選手の大きな武器です。
強風の中で行われたトレーニング
清水梨紗選手(ウェストハム・ユナイテッド)は第1戦の直前にロンドンからサウジアラビアに入りました。久しぶりの帰国となります。
「今日、移動してきて、すぐに練習でしたが、良いトレーニングができたと思います。あまり(最近の)日本の気候を知らないですが、試合のときに風が吹くコンディションになるかもしれないということを、今日、知りました。いろいろな準備をしなければいけないと思います。」
勝ったチームがパリ行きを決定する大一番へ
ここからは、選手の声から試合前日、当日に何が起きていたのかを検証します。そして、第2戦をどのように戦えば勝利できるのか、パリへの道を探ります。
女子オリンピック サッカートーナメント パリ 2024最終予選・第2戦(ホーム)は東京・国立競技場で開催。28日18時30分キックオフです。
2016年の苦い経験を熊谷選手が話した第1戦前日のミーティング
熊谷選手は第1戦の前日にミーテインングで過去の予選の話をしました。2016年2月に大阪で行われた女子サッカー アジア最終予選(リオデジャネイロオリンピック2016)のことです。この予選で、なでしこジャパン(日本女子代表)は敗退し出場権を失ってしまいました。佐々木則夫監督は退任。その後、チームは一気に世代交代が進みました。
「リオ五輪を逃したとき、長くやってきたチームが解散になりました。私自身、今、この最高の仲間たちと長くプレーしたいという強い気持ちがあり、それがモチベーションになっています。そういう意味でも、本当に勝つしかないと思っています。」
千葉玲海菜選手(アイントラハト・フランクフルト)は熊谷選手の話を聞き、パリへ行くことの重要性を再認識しました。
「自分たちのために勝つ必要もあるけれど、今後の日本サッカーのために絶対に負けられないという責任もあるということをすごく感じました。」
第1戦は時計の針が進むと「負けないことが重要な試合」に
中嶋淑乃選手(サンフレッチェ広島レジーナ)は第19回アジア競技大会(2022/杭州)決勝でDPR KOREA女子代表と対戦経験がありますが、DPR KOREA女子代表は、その試合と違うフォーメーションにしてきたということもあり「あの日本戦からすごく改善してきている思う」と話しました。中嶋選手は、あまり持ち味のドリブル突破を披露できませんでした。「自分的にちょっと消極的だった」と振り返ります。負けることだけは避けたかった、そして、簡単にゲームが動かない難しさがありました。
勝ちたかったが思い描いた通りのプレーをできなかった理由
結果的にはDPR KOREA女子代表の猛攻を受け、辛くも引き分けに持ち込みましたが、もともとは「勝ちに行く試合だった」ということも選手のコメントから明らかになりました。しかし、予定通りに運ばないのが対戦相手のいるスポーツです。
試合が始まり予想外だった5バックへの対応に迫られる
これまで、DPR KOREA女子代表は4−4−2のフォーメーションで戦ってきていたので、なでしこジャパン(日本女子代表)は4−4−2対策のトレーニングを徹底的に行ってきました。しかし、実際のDPR KOREA女子代表の布陣は2トップではなく1トップで最終ラインに5人が並ぶ5−4−1。やや引き気味で最終ラインと中盤の守備を厚くしてきました。
最終ラインを5枚に変更してくる可能性も排除していなかったことを熊谷選手は明かしていますが、技術も強度も高い相手です。難しい戦いとなりました。
右サイドバックの清水選手は「フォーメーションは予想と違いましたが、おおまかにはスカウティングそのままのやり方でした」と話します。ただ、DPR KOREA女子代表のやり方は徹底されており「統一感を感じた」攻守に先手を取られてしまいました。清水選手はいくつかの課題を挙げています。
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