WE Love 女子サッカーマガジン

WEリーグ初 なでしこリーグとの同日同会場開催 植木理子選手の猛烈スライディングから決勝点 女子サッカーの日はアツい一日に

攻守の入れ替わりが激しい第二試合でした。88分、長い距離を走り真っ直ぐに自陣に戻ってきた植木理子選手が猛然とスライディング。ボールを奪うと木下桃香選手がドリブル。左サイドを走る途中出場の北村菜々美選手がフリーとなりスルーパスを受けシュート。グラウンダーの弾道が逆サイドのゴールポストに当たり内側にボールが転がり込む、その瞬間にバックスタンドの歓声が揃いました。熱戦に蹴りをつける劇的な決勝戦が場内のボルテージをワンランク引き上げ、日テレ・東京ヴェルディベレーザがアルビレックス新潟レディースを3−2で退けました。

力強さがワンランク上だった藤野あおば選手 写真提供:WEリーグ TOP画像も

味の素フィールド西が丘で女子サッカー二試合を開催

会場の味の素フィールド西が丘は女子サッカーの聖地と言える場所。数々の名勝負を繰り広げてきました。このスタジアムの特徴の一つにサッカー好きが集まるという点があります。特定のチームを応援しているわけではなくサッカーが好きだからふらりとスタンドに現れる人が多いスタジアムです。

緑(東京NB)と青(S世田谷)が混在する第一試合のスタンド

この日は、東京の二大女子サッカーチームが共催。なでしこリーグとWEリーグの合計2試合に加え、さまざまなアクティビティを用意した『女子サッカーの日』を催しました。第一試合は15時キックオフ。スフィーダ世田谷FCが愛媛FCレディースを迎え撃ちました。

サポーターの垣根を越えた交流も見られた

スフィーダ世田谷FCにとっては連覇を目指す今シーズンですが勝ちきれない試合が多く、現在は首位を勝ち点差10で追っています。やや秋の風が混じるものの気温は33.1度。快晴というコンディションです。

試合開始早々の2分にディフェンスラインの裏に抜け出した愛媛FCレディースの今蔵綾乃選手がスフィーダ世田谷FCのゴールキーパー・石野妃芽佳選手と交錯。決定機阻止になるかどうか際どいシーンでしたが主審の示したカードは黄色。おそらく、ドリブルがやや外に向いていたからだと推察しますが、スフィーダ世田谷FCは肝を冷やしました。この後も、今蔵選手を中心に愛媛FCレディースはスフィーダ世田谷FCゴールを再三脅かします。試合を通して愛媛FCレディースのオフサイドは10回。もし、このうち一つでもオンサイドであったら、試合の結果は違ったものになっていたかもしれません。スフィーダ世田谷FCはラインを下げすぎずに応戦しました。

大活躍したS世田谷の長﨑茜選手(中央左)と三本紗矢香選手(中央右)

労を惜し無ことなく走り、倒れても立ち上がり続ける不屈の戦い

直後の7分にはスフィーダ世田谷FCが右でつないで中央にパス。シュートコースが空いた瞬間に長﨑茜選手が左足で蹴り込んだシュートがゴールネットを揺らし同点に追いつきました。各選手が労を惜しまず走り、パスコースを生み出しながら前進。31分に金子ゆい選手のロングシュートで逆転。61分にはダイナミックなカウンターからエースの大竹麻友選手が抜け出して得点。終わってみれば30の大差となりました。選手たちは喜びを爆発させましたが、大竹選手の表情には疲労が色濃く溢れ、9月とはいえ、暑さの中での戦いの厳しさがストレートに伝わってきました。球際のフィジカルコンタクトは激しく何度も選手が倒れ、そして、すぐに立ち上がってまた相手に挑む、休むことなき戦いでした。

「我々の目標は皇后杯でWEリーグをやっつけること」というスフィーダ世田谷FCの神川明彦監督は、この日の取り組みの意義を話しました。

「今、日本はあらゆるスポーツに人気があるので、女子サッカーのファン層をしっかりと獲得していかなければいけないと思います。私もなでしこジャパンの活躍に心躍ったので、その火を消してほしくないです。」

神川明彦監督

その言葉を裏付けるように、第二試合の終了後、バックスタンドのファミリーゾーンの最前列には女の子たちが集まり、盛んに憧れの選手たちへ黄色い声援を飛ばしました。植木理子選手、藤野あおば選手、田中桃子選手に熱い視線が注がれます。

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