WE Love 女子サッカーマガジン

これは知らなかった 開幕!FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023に臨むなでしこジャパン(日本女子代表)の記録 最多得点者は?退場者数は?丸山桂里奈さんの持つ記録は?

FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023が開幕します。前売りチケットの販売は好調で、今回も史上最大規模を上回るのではないかと期待されています。なでしこジャパン(日本女子代表)は国内外の所属チームから集まった精鋭23人がグループステージを戦うニュージーランドに乗り込みました。冬の南半球でアツい戦いを繰り広げます。

なでしこジャパン(日本女子代表) 11位(9大会連続9度目)
7/22(土)ザンビア女子代表 81位(初出場)  ワイカトスタジアム(ハミルトン)
7/26(水)コスタリカ女子代表 37位(2大会ぶり2度目)  ダニーデン スタジアム(ダニーデン)
7/31(月)スペイン女子代表 7位(3大会連続3度目)  ウエリントン・リージョナル・スタジアム(ウエリントン)

※ランキングは2022年12月9日現在

Photo by Ke Twitter→@ke780kx5 instagram→@ke_photo410

開幕戦は開催国のニュージーランド女子代表がノルウェー女子代表を迎え撃ちます。そして、この試合の審判を担当するのは日本のトリオ。山下良美さん(主審)、坊薗真琴さん(副審)、手代木直美さん(副審)です。開幕戦を日本のトリオが担当するのはFIFAワールドカップブラジル2014以来です。

左から手代木直美さん(副審)、山下良美さん(主審)、坊薗真琴さん(副審)

過去に優勝したチームは4つしかありません。アメリカ女子代表(4回)、ドイツ女子代表(2回)、ノルウェー女子代表(1回)、そしてなでしこジャパン(日本女子代表)です。ただし、今大会は躍進が著しい欧州主要国が躍進するのではないかとみられています。過去に決勝戦に進出したことがないイングランド女子代表、スペイン女子代表の躍進が期待されています。並いる強豪がひしめき合う大会でなでしこジャパン(日本女子代表)は頂点に手が届くのでしょうか。

今回のWE Love 女子サッカーマガジンは、中継を見る前に知っておきたいFIFA女子ワールドカップとなでしこジャパン(日本女子代表)の歩みを記録から振り返ります。

Photo by Ke Twitter→@ke780kx5 instagram→@ke_photo410

第一回大会は中国で開催されたFIFA女子ワールドカップ

なでしこジャパン(日本女子代表)の戦績は優勝1回、準優勝1回。14勝15敗4分け(P K戦は分け扱い)です。通算勝利数と得点数で上から8番目。通算敗戦数は試合数が多いこともあって全参加チームの中で2番目に多いです。では、歩みを振り返りましょう。

FIFA女子ワールドカップは1991年にF I F A女子世界選手権として始まりました。開催国は中国。アメリカ女子代表がノルウェー女子代表を2−1で下し優勝を果たしています。イングランドF Aと西ドイツサッカー連盟は1969年まで、そして、スペインサッカー連盟が1980年まで女子サッカーを禁止していたことを考えると、驚くべきスピードで公式な世界一決定戦が開催されたことになります(それまでに非公式な世界大会はいくつも開催された)。

遠藤純選手 Photo by Ke Twitter→@ke780kx5 instagram→@ke_photo410

日本の女子サッカーは1989年にLリーグ(現・なでしこリーグ)がスタートし全国レベルで逸材の発掘が進みました。各チームで活躍する18選手が集結し史上初の大会に臨みました。

1 鈴木政江(日興證券女子サッカー部ドリームレディース)
2 本田美登里(読売サッカークラブ女子ベレーザ)
3 渡邊由美(天台F C
4 加治真弓(田崎神戸レディース)
5 山口小百合(鈴与清水F Cラブリーレディース)
6 高萩陽子(新光精工F Cクレール)
7 大部由美(日興證券女子サッカー部ドリームレディース)
8 松田理子(プリマハムF Cくノ一)
9 野田朱美(読売サッカークラブ女子ベレーザ)
10 高倉麻子(読売サッカークラブ女子ベレーザ)
11 木岡二葉(鈴与清水F Cラブリーレディース)
12 坂田恵(日産F Cレディース)
13 黒田今日子(プリマハムF Cくノ一)
14 半田悦子(鈴与清水F Cラブリーレディース)
15 長峯かおり(F Cすすきのレディース)
16 手塚貴子(読売サッカークラブ女子ベレーザ)
17 水間百合子(浦和本太レディースF C
18 内山環(田崎神戸F Cレディース)
※長峯かおりさんは新光精工F Cクレールを退部しA S Dレッジャーナに移籍する間にF Cすすきのレディースに所属。天台F Cは1991年からフジタ天台SCマーキュリーとしてLリーグへ参加。浦和本太レディースF Cは廃部になった日産F Cレディースと入れ替わり1994年にLリーグへ参加。浦和本太レディースF Cから1998年に派生した浦和レイナス(後にさいたまレイナス)を引き継ぎ三菱重工浦和レッズレディースが誕生します。

監督は鈴木保さんです。日産F C(現・横浜F・マリノス)で加茂周監督のもとアシスタントコーチを務め名門チームの基礎を築いた指導者です。女子サッカー界に転じてからは日本女子サッカーの発展期を支えた名監督で、日産F Cレディース、日興證券女子サッカー部ドリームレディースの監督を務めた時期もあります。特に、日興證券女子サッカー部ドリームレディースではLリーグ(現・なでしこリーグ)三連覇を達成しています。今でも、なでしこリーグの試合会場に顔を見せることがあります。アシスタントコーチは宮内聡さん。元日本代表のミッドフィルダーで、現在はちふれASエルフェン埼玉の取締役会長です。

全敗から始まったなでしこジャパン(日本女子代表)の挑戦

中国で開催された初めての大会は平均入場者数が約2万人の大入り。日本から観戦に行ったサポーターが、すでに完売していたためチケットを購入できないというアクシデントも発生しました。試合結果は無得点の3連敗。ブラジル女子代表に0−1、スウェーデン女子代表に0−8、アメリカ女子代表に0−3で敗れました。

世界の壁を感じる初挑戦となりましたが初出場は意義あるものでした。なぜなら、なでしこジャパン(日本女子代表)はその後もA F Cの地区予選を突破し、第一回の中国大会から今回のオーストラリア&ニュージーランド大会まで全ての本大会に出場しているからです。全ての本大会に出場しているのはなでしこジャパン(日本女子代表)、アメリカ女子代表、ドイツ女子代表、ノルウェー女子代表、スウェーデン女子代表、ブラジル女子代表、ナイジェリア女子代表の7チームだけです。

優勝まで要した年月は20年間 

FIFA女子ワールドカップ初得点は4年後のスウェーデン大会のブラジル女子代表戦。野田朱美さん(現・オルカ鴨川FC監督)が2得点しています。2−1で初勝利を味わう歴史的試合となりました。なでしこジャパン(日本女子代表)は1991年の中国大会での無得点3連敗から4年後のスウェーデン大会で早くも準々決勝進出を果たし、20年後のドイツ大会で世界を制します。

チャイニーズ・タイペイ女子代表に敗れ始まったなでしこジャパン(日本女子代表)の歴史

では、ここで、さらに以前に目を向け、初めての国際試合を振り返ってみましょう。なでしこジャパン(日本女子代表)最初の試合は1981年6月7日。香港で行われた第4回アジア女子選手権のチャイニーズ・タイペイ女子代表戦でした。WEリーグの最初のシーズンにちふれASエルフェン埼玉の監督を務めることになる半田悦子さんと、今、ウズベキスタン女子代表を率いてパリ五輪出場を目指す本田美登里さんが先発出場しています。チャイニーズ・タイペイ女子代表は当時の強豪チーム。健闘したものの0−1と破れています。初勝利は6月13日のインドネシア女子代表戦。15分に先制すると、これを逃げ切り1−0で勝利しました。得点者は半田悦子さん。本田美登里さんは18人の大会優秀選手に選ばれました。

日本国内での初陣は神戸で開催

日本国内での初陣はポートピア81国際女子サッカー。イタリア女子代表、デンマーク女子代表、イングランド女子代表の3チームが来日しました。会場は神戸市立中央球技場。今のノエビアスタジアム神戸です。ポートピア81とは、神戸市のポートアイランドを会場として1981年3月20日から9月15日まで開催された地方博覧会です。その関連イベントとして大会は開催されました。ポートピア81は神戸市の歴史を語る上で欠くことのできない博覧会です。現在、ポートアイランドにあるU C Cコーヒー博物館の建物は、ポートピア81にU C Cが出展した際のパビリオン「U C Cコーヒー館」として建設されたものです。

日本女子代表のメンバーは関東、静岡、関西からそれぞれ8名の合計24名が選ばれました(月刊神戸のサッカー1991年8月号に記述)。1981年9月6日に行われたイングランド女子代表との初戦は0−4で敗戦。その後、約40年間にわたって、イングランド女子代表との対戦は苦戦が続いています。なお、この試合の試合開始時の平均年齢は16.4歳。史上最も若いメンバーで臨んだ試合です。高倉麻子さんは15歳でした。14歳262日で初出場し、今も破られることのない最年少出場記録を立てたのは久保恵美子さんです。その後、23歳で引退した久保さんですが、愛娘の畑中美友香選手が選手として活躍しノジマステラ神奈川相模原でWEリーグに出場しています(スペランツァ大阪に移籍)。

1983年11月18日に中国の広州で行われた広州国際女子大会・長春戦の控えメンバーには高倉麻子さん(元なでしこジャパン監督)と岡島喜久子さん(元WEリーグチェア)が名を連ねました(2人とも所属はF.C.ジンナン)。この頃のメンバーが、WEリーグ立ち上げ期の日本の女子サッカーの基礎を築いたといえます。

岡島喜久子さん(元WEリーグチェア)

初めてアジアの外に出た試合は1986年7月19日のイタリア国際女子大会。イタリア女子代表を相手に1−5で敗れています。会場はイェーゾロ(JFAの資料では「ジェソロ」と表記されることが多い)。1得点は高倉麻子さん(所属は読売ベレーザ)。代表初ゴールでした。

その3年後の1989年にLリーグ(日本女子サッカーリーグ:現・なでしこリーグ)が誕生します。

同一チームから10人の選手が出場した試合も

ここからは名選手の足跡を記録から辿っていきましょう。今大会のなでしこジャパン(日本女子代表)メンバーを所属チーム別に見ると三菱重工浦和レッズレディースとINAC神戸レオネッサが最多の4人となっています。では、過去のメンバーと比べたとき、これは多いのでしょうか。

Photo by Ke Twitter→@ke780kx5 instagram→@ke_photo410

同一チーム出場最多試合は2019年11月10日に北九州スタジアムで開催されたM SA Dカップ2019。南アフリカ女子代表戦です。この試合には日テレ・ベレーザの選手が10人出場しています。当時の日テレ・ベレーザの選手で今大会のメンバー入りしているのは山下杏也加選手、清水梨紗選手、長谷川唯選手、植木理子選手、遠藤純選手です。ただし、今も日テレ・東京ヴェルディベレーザに所属しているのは植木理子選手だけです。近年の日本の女子サッカーは移籍が活発化し戦力が分散。一つのチームを軸になでしこジャパン(日本女子代表)を形成することは難しいかもしれません。

次に多いのが1997年6月15日に行われたキリンカップサッカー'97の中国女子代表戦。出場した9人の選手が所属していたのはプリマハムF Cくの一(現・伊賀F Cくノ一三重)でした。

植木理子選手 Photo by Ke Twitter→@ke780kx5 instagram→@ke_photo410

メンバーには三井ともみさん(現・宮本ともみ、なでしこジャパンコーチ)、山郷のぞみさん(現・ちふれASエルフェン埼玉コーチ)が含まれています。三井ともみさんの得点により1−0で勝利しました。会場は長居スタジアムで、入場者数は1万6509人です。伊賀F Cくノ一三重は1976年に設立された歴史あるチームでLリーグ時代は強豪チームとして知られました。1995年に18試合全勝優勝というとんでもない記録を打ち立てており、圧倒的な強さを誇る黄金期でした。

宮本ともみさん(なでしこジャパンコーチ) Photo by Ke Twitter→@ke780kx5 instagram→@ke_photo410

ずば抜けた偉大な記録を残す澤穂希さん

出場試合が多い選手のランキングには世界一メンバーが並びます。澤穂希さんと長くコンビを組み続けた宮間あやさんが2位に入っています。

3位 大野忍 139試合
2位 宮間あや 162試合
1位 澤穂希 205試合

宮間あやさん

澤穂希さんは21年211日にわたってなでしこジャパン(日本女子代表)で出場しており、この出場期間の長さも歴代1位です。今大会のメンバーでは、2022年末までは6位だった熊谷紗希選手(14年253日)が出場を続けると3位の木岡二葉さんを抜いて出場期間の長さで3位に浮上しそうです。なお、2位は、今も三菱重工浦和レッズレディースで活躍する安藤梢選手で15年347日です。

(残り 2307文字/全文: 8323文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ