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中村憲剛さんが語る女子サッカー発展の鍵 ディズニー、Jリーグクラブのスクール開設、なでしこジャパン

JFAロールモデルコーチで川崎フロンターレ Frontale Relations Organizerの中村憲剛さんと女子サッカーの接点は古く、始まりは小学校2年生のときでした。2つ上の先輩に澤穂希さんがいたのです。

「『すごい選手がいる』と正直思いました。『日本の女子は、こんなにレベルが高いのか』と……澤さんだからすごかったのですが(笑)。男子の中でもエースでした。強くて早くて上手かったので、バロンドール受賞に合点がいきます(笑)。」

中村さんは二人の娘さんがサッカーを始めたので、最近は女子チームのプレーを見守る時間が増えました。

「つい先日も父親として娘の試合を見にいきました。いろいろな子たちが一つの勝利に向かって頑張る姿を見ると感情移入してしまいますね。そういう関係が至る所に増えればと思います。」

そんな、中村さん、安藤梢選手(浦和)、髙田春奈さん(WEリーグチェア)、佐々木則夫さん(JFA女子委員長)が登壇したJFA女子サッカーデー2023 オンライントークイベントが2023年3月8日に開催されました。今回は、このトークイベントの後半に相当する日本サッカー協会の普及活動についてお伝えします。

このトークショーでは女子サッカーの普及の鍵として3つの話題がありました。

1 JFAファミリーサッカーフェスティバル“First Touch“
2 Jリーグクラブに新たな女子サッカースクール開設
3 FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023

髙田春奈さん(WEリーグチェア)、中村憲剛さん(JFAロールモデルコーチ/川崎フロンターレ Frontale Relations Organizer)、安藤梢選手(浦和)、佐々木則夫さん(JFA女子委員長)

強豪国に遠く及ばない日本の女子サッカーの登録選手数

日本サッカー協会は3 8 日をJFA 女子サッカーデーと定め、これを皮切りに、今年も広く女子サッカーの普及活動に取り組みます。JFA 女子サッカーデーは国際女性デーと同日に設定されています。「世界でいちばんフェアな国になろう」をスローガンに、誰もがフェアに輝ける社会、夢に向かってチャレンジできる社会を、スポーツ、サッカーの力で実現していこうという取り組みです。

日本サッカー協会の女子登録選手数は2019年度、2020年度の2年度連続で減少していましたが、2021年度は2万8005人と、再び増加に転じました。しかし、まだ2013年度の3万243人には及びません。アメリカの女子サッカーの競技人口は200万人を超えているといわれていますから、世界の強豪と戦うなでしこジャパン(日本女子代表)は「少数精鋭」といえるかもしれません。

日本サッカー協会 女子委員長の佐々木則夫さんはJFA 女子サッカーデーについて、このようなコメントを発表しました。

「2023 年は F I F A 女子ワールドカップイヤーです。これまでも多くの方々の熱量と共に女性を含む誰しもがサッカーを楽しめ、輝ける場所を創出することに取り組んでまいりましたが、今年はよりその環境づくりを促進できる年だと位置づけています。なでしこジャパン (日本女子代表)がワールドカップの舞台で一人でも多くの方の心を揺さぶる戦いをお見せすることで、WE リーグやなでしこリーグなど、あらゆるカテゴリーの試合会場に足を運ぶ方が増え、そしてより多くの子どもたちが夢を持ってボールを追いかけてくれることと思います。そんな景色を創り出すべく、代表チームからグラスルーツまで、私たちは支援してまいります。」

佐々木則夫さん(JFA女子委員長)

日本の女子サッカーの普及には「女性は10代でスポーツやめちゃう問題」等、さまざまな課題があり、それらはまだ解決していませんが、若年層に関しては、良い兆しが見えてきています。 

2023年度は拡大展開するJFAファミリーサッカーフェスティバル“First Touch“

中村さんの次女は昨年末からサッカーを始めたそうです。きっかけは日本サッカー協会の主催するサッカーフェスティバルでした。

「ボールに触れる機会を増やしたいですよね。今の日本は学校で蹴っちゃいけない、公園でもボールを蹴れない……スクールやクラブでなければボールを蹴ることができない環境になってきています。少しでも、サッカーに触れてくれることで、裾野を広げる非常に大きな効果があると思います。なぜならば、サッカーをやらないと言っていた小学校一年生の下の娘がサッカーを12月に始めたからです。」

中村さんが娘さんにサッカーとディズニープリンセスの世界観を楽しむイベント・JFAファミリーサッカーフェスティバル“First Touch“の話をしたところ、サッカーをやる気になったのだそうです。

中村憲剛さん(JFAロールモデルコーチ/川崎フロンターレ Frontale Relations Organizer)、安藤梢選手(浦和)

JFAファミリーサッカーフェスティバル“First Touch“は、ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社とJFAが取り組む女子サッカー応援プロジェクト「JFA Magical Field Inspired by Disney」によるプログラム。日本サッカー協会(JFA)と開催地の都道府県サッカー協会が主催するファミリーサッカーフェスティバルです。小学校1年生~3年生のサッカー未経験、初心者の子どもたちとその保護者を対象としています。佐々木委員長によると、大変な反響だとのことです。

「本当に応募が多いです。非常に人気があるので全国で展開することを計画しています。ディズニーさんの企画が素晴らしく、夢の世界でピッチをイメージしていただいています。参加した子どもたちはサッカーとディズニーを両方楽しめます。」

2022年度は7 会場(大阪府、鳥取県、長崎県、千葉県、青森県、 石川県、京都府)と10月1日に開催された WE リーグカップ決勝会場での小規模会場の合計 8 会場で開催されました。延べ 1千470 名が参加し、うち約85%をサッカー未経験者、初心者が占めました。サッカーを始める、素晴らしいきっかけとなりました。

2023年度のJFAファミリーサッカーフェスティバル“First Touch“は全国32会場で開催することになりました。そのうち11会場を“Premiumとし、大型映像装置のあるスタジアム・アリーナで開催します。これによりディズニープリンセスの世界観をよりいっそう楽しめるほか、会場によりプロジェクトのキャプテンである澤穂希さんが来場し、 参加者が夢へと踏み出す一歩を後押しします。

Jリーグクラブに新たな女子サッカースクール開設の動き

川崎フロンターレは、スクール生を対象とした15歳以下の女子チーム「川崎フロンターレS Sガールズ」の活動を2023年4月より始めます。Jリーグの強豪クラブが新たに女子サッカーのスクールを開設することに、中村さんは大きな期待をしています。

「男子と同じ現象が起こると思います。男子はJリーグができて、アカデミーができました。そして、街クラブができて、いろいろな子どもたちが、いろいろなチームに行けるようになりました。それが、今度は女子でも起きると思います。サッカーをやる場所が増える意味で非常に大きいです。レベルの向上でも競技人口を増やす意味でも大事だと思います。」

WEリーグチェアの髙田春奈さんは普及の「面」の拡大に期待しています。

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