WE Love 女子サッカーマガジン

WEリーグの現在地 「私たちは、こんなに素敵なことをやっているから一緒に見に行こうよ」と一人一人が言えたら、女子サッカーは変わっていく 髙田春奈チェア

2023年はワールドカップ・イヤーです。女子サッカーにとって飛躍の年となるでしょうか。日本の女子サッカーリーグの頂点にあるWEリーグは少しずつ変化しています。2シーズン目が進むにつれ、スタンドの景色が変わってきました。

髙田春奈さんが二代目のWEリーグチェアに就任してから4ヶ月が経ちました。チェアとしての最初のシーズンのウィンターブレイクを迎えたタイミングで、WE Love 女子サッカーマガジンは髙田チェアへのインタビュー取材の機会をいただきました。髙田チェアは前半戦をどのように振り返るでしょうか。予想以上に成果の兆しを感じたことは?重点的に取り組んでこられたことは?これから取り組んでいきたい課題は?……WEリーグのトップがじっくりと丁寧に語った「WEリーグの現在地」をご覧ください。

マスコットとの触れ合いも。

素晴らしい選手を「輝く場所」に連れていきたい

Jリーグの理事であった髙田さんが、WEリーグのチェアに就任する際に、どのような決意をされたのかをあらためてお聞かせいただけますでしょうか。

髙田自分がチェア就任のお話を受けるかどうかを決める際、開催していた2022−23 WEリーグカップを見にいきました。試合は十分に魅力的で面白く、多様性があり個性的な選手が揃っているのにも関わらず、多くの人に見られていないという状況を変えていくことがリーグの使命だと思いました。素晴らしい選手たちを「輝く場所」に連れていきたいと思いました。

選手たちは「見られる仕事」だと思っています。ですから、お客様がたくさんいる、選手たちを応援してくれる、そして、試合を見て選手たちのプレーに励まされた人たちまでもが幸せな気持ちになる……それがプレーをする選手たちにとっても幸せな関係だと思います。たくさんの人たちとつながることで「輝く場所」が生まれると思います。

お客様を増やすことは重要ですが、単純に増やすことだけでは「輝く場所」が生まれることはありません。V・ファーレン長崎の代表取締役社長をしていたときに、いつも「スタジアムは愛に溢れている空間」だと思っていました。スタジアムの見えないオーラというか空気感が特殊なので、そういう雰囲気に囲まれる世界をWEリーグでも作っていきたいです。

女子サッカー・ファミリーの声を把握し取り組みに活かす。

ウィンターブレイクまでを振り返り、ここまで意識してきたことを教えてください。

髙田選手たちはとても魅力的なので選手の個性を前に押し出していきたいです。2022−23 YogiboWEリーグキックオフカンファレンスや一つ一つの試合の宣伝でも、選手個人をお見せすることを意識してきました。それと併せて、各節で1試合の注目カードをピックアップマッチと設定し、たくさんの人に見ていただけるようにYouTubeで無料配信をするなどして、クラブが積極的な取り組みをしていただけるようにリーグとして支援しています。

各クラブホームゲームを訪ねる髙田春奈さん。

事業面と競技面、可能性を感じる各クラブの取り組み

昨シーズンまでは「プロ化で選手の環境を良くする」「新しいステージを用意する」という、選手向けの取り組みと発信が多かった印象です。今シーズンは、ファン・サポーターにWEリーグの素晴らしさを共有する発信に力点が移ったように感じます。いかがでしょうか?

髙田1シーズン目は「選手へのインプット」や「選手の心持ちを社会に宣言する」といったことをやってきたのだと思います。2シーズン目も、もっとそのようなところをやっていかなければならないという反省がありますが、どちらかというと、選手には試合に集中していただき、より多くの人に見ていただけるようにすることにリーグは力を入れてきました。

前半戦で予想以上に成果の兆しを感じたことがあれば教えてください。

髙田一つは事業面です。Jリーグの各クラブは興行を盛り上げるために様々なイベント等を行なっています。WEリーグでも同様に、例えば、マイナビ仙台レディースはパートナーと積極的に取り組みをしています。私は、12月10日に開催されたジェフユナイテッド市原・千葉レディース戦(第6節)にお邪魔しました。ユアテックスタジアム仙台へのご来場者を対象に「菓匠三全『萩の月』先着1千名様にプレゼント」がありました。菓匠三全の方とお話しすると、マイナビ仙台レディースが菓匠三全の皆さんに「女子チームを応援しよう」と思っていただけるようなアプローチをしていることがわかりました。こうした事業面とプロモーションを結びつける取り組みが具体的な形で出てきていることに、すごく可能性を感じました。

競技面では、翌11日に観戦をした浦和駒場スタジアムで行われた三菱重工浦和レッズレディースとINAC神戸レオネッサの試合はレベルが高いと感じました。「女子サッカーはエキサイティングではない」とお考えの方もいらっしゃると思いますが、このような試合をたくさんの方々に見てほしいと思いました。

事業面と競技面で頑張ってくださるクラブがあると、リーグがWEリーグ全体を盛り上げていかなければと、ますます思います。

髙田チェアが仙台を訪問された際に、かなり多くの地元メディアに登場されていましたね。

髙田仙台だけではなく、広島でもメディアを回らせていただのですが、各クラブを訪問した際に、いろいろな関係先をご案内いただいています。少しでも宣伝につなげたいという気持ちです。それぞれで地域とのつながりを感じることができましたし、どのクラブも多くの取り組みをされていました。東北地方はプロスポーツが盛んなエリアですが、女子サッカーも応援していただける空気を感じました。

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