小さい頃に描いていたアイドルへの「憧れ」今は「包み込んであげたい」 WEリーグ「推し活」座談会から解った同性を推す女性の心地よい関係
「推し活」は人生を豊かにしてくれます。パナソニックが2022年4月に行った調査(20〜50代の現在推し活をしている女性500名が回答)によると「推し活」女性の9割超が「人生が変わった」と実感しているそうです。
普段の「推し活」の活動内容の1位は「公式S N Sのチェック」。S N Sが「推し活」へ大きな影響を及ぼしていることが感じられます。では、推しの感情とは一体どのようなものなのでしょうか。私たちは、WEリーグのファン・サポーターによる「推し活」について、あまり知らないのではないでしょうか。
同性を推す女性のファン・サポーターのインサイト
WEリーグの試合会場に、同性を推す女性のファン・サポーターが増えています。例えば、NACK5スタジアム大宮で開催されるWEリーグの試合前、ゴール裏スタンドではスタンボー華選手のアクションに黄色い歓声が上がります。
何が彼女たちを魅了するのでしょうか。WE Love 女子サッカーマガジンは、再び「推し活」について考えます。同性の選手を推す女性のファン・サポーター4名によるリモート座談会を開催しました。WEリーグとアイドルの「推し活」を比較しながら同性を推す喜びがどこにあるのかを探りました。年齢、属性、居住地もバラバラな4人の女性のお話に耳を傾けてみてください。
りさばやし—#女子サカマガ のツイッター中の人をやっています。新潟県に住んでいるのでアルビレックス新潟レディースを推しているのですが、選手の推しは三菱重工浦和レッズレディースの塩越柚歩選手です。どんなポジションにも適応でき、ロングシュートも魅力です。もちろん、ビジュアルも重視です(笑)。インスタグラムの投稿のビジュアルが素晴らしくて、いつも感激しています。
めぐ—広島に住んでいる私の推しは増矢理花選手と川島はるな選手です。J F Aアカデミー福島の先輩後輩コンビです。サンフレッチェ広島レジーナが誕生するときに加入してくれました。そのときから絶対に推そうと思いました。川島選手は完全にビジュアルから推そうと思いました。増矢選手は2021−22 YogiboWEリーグの開幕戦で1アシスト1ゴールでした。
ちさと—大宮アルディージャVENTUSサポーターのちさとです。スタンボー華選手と乗松瑠華選手が好きです。スタンボー華選手はモデルさんのような「完璧なビジュアル」。かっこよくもあり可愛くもあります。シュートストップは止めるまでのモーションですらかっこいいです。乗松選手はキャプテンでプレーに責任感が表れていています。あとはマッチョなところが好きです。
ちさと—乗松選手の今年のプロフィールの「最近笑った出来事」の欄に「VENTUSのサポーターがE−1選手権にネギを持ってきたこと」と書いてありました。私が持っていったので、書いてもらい、さらに好きになりました。あとは、AC長野パルセイロ・レディースの大久保舞選手を応援しています。大久保選手にも、完璧にビジュアルから入りました。
—EAFF E―1サッカー選手権で、カシマスタジアムの記者席にいた私は「ゴール裏にネギを持ったサポーターがいる」のを見て、何が起きているのか理解できませんでした(笑)。
ちさと—乗松選手がネギを好きだからですね。
たけこ—推しは大久保舞選手です。去年、WEリーグが始まる前にカウントダウンでいろいろな選手の似顔絵を描いてツイートしていました。「今日は誰の似顔絵を描こうか」と思ってAC長野パルセイロ・レディースの選手名鑑を開いたら、完全に、あのビジュアルにやられました。まだ、WEリーグは1試合しか観戦していないので知識は浅いです。
ちさと—大久保選手は、自分のファンのことを大事にしてくれます。大久保選手が拡散してくれたので、私も、たけこさんが描かれた似顔絵をツイッターで見ることができました。だから、たけこさんのことも、大久保選手は、すぐに覚えてくれると思います。
たけこ—えっ!?本当ですか?そういうところも良いですね。
ちさと—WEリーガーさんは、すぐに覚えてくださるので、推していて嬉しいことがたくさんありますね。
めぐ—スタジアムでタオルを広げると手を振ってくださいます。S N Sのコメントを見て、いいねをくださったり返信してくださったたりすることもありますね。
ちさと—ファンの多い塩越選手、仲田歩夢選手も、一人一人のファンをとても大事にしていると思います。
距離が近い、でも尊すぎて困る
りさばやし—WEリーグのチームのトレーニングマッチがありました。私は運営のお手伝いをしていましたが、すぐ近くに選手がいると緊張してしまいます。近すぎて困りました(笑)。照れちゃいます。
たけこ—「尊い」から近づけなくなるって感じがしませんか?
りさばやし—尊すぎます。
めぐ—私は、街で選手に会いますよ。でも、プライベートだから近づけませんね。
ちさと—広島すごい(笑)。
りさばやし—プライベートを邪魔しないモラルですよね。
たけこ—もちろん、会いたい気持ちはあるのですが、私も、プライベートで近づくのは無理ですね。推しの選手はサッカーをしているときに輝いていると感じます。昔、アイドルが好きだったのですが、やはり、舞台やライブのときが一番輝いていました。それにサッカー場は公に応援して良い場所だと感じます。
めぐ—プライベートはそっとしておいてあげたい感じがしませんか?「黙ってすれ違いたい」みたいな感じ。
たけこ—声をかけたい気持ちもありますが抑えるって感じかな……。
ちさと—選手とプライベートで会ったことがないから解らないけれど……私が推している選手は向こうから私に話しかけてきそう(笑)。でも、(スタンボー)華ちゃんは、推しのトップ・オブ・ザ・トップなので、会っても私からは話しかけられないかもしれないです。
NACK5スタジアム大宮で大宮アルディージャと鹿島アントラーズの天皇杯の試合があったときに、メインスタンドに大宮アルディージャVENTUSの選手が何人かいらしていました。友人の大宮アルディージャVENTUSのサポーターは話しかけに行っていたのですが、私は行かれなくて「なんか、行かなくてもいいかな」と思ったことはあります。天皇杯はVENTUSが関わっていない場所だからかも。
たけこ—WEリーガーと、そんなに仲良くなれるのですか?
ちさと—距離は近いですよ。
たけこ—その世界に踏み込むべきか、踏み込むべきじゃないか……。ちょっと頑張ってみようかな。
ちさと—自分を少し認知をしてもらうと、距離がめっちゃ近くなると思います。でも、推しを作りすぎると大変ですよ。
めぐ—クラブを超えて複数の推しを作っちゃうと、もう大変ですよね。
時代と共に変化したアイドルとファンとの関係
—身近なところに、サッカー以外の同性推しがいる人はいますか?
めぐ—広島にはPerfumeやS T U48のメンバーを育てたアクターズスクール広島があります。アクターズスクール広島の生徒からアイドルになった子を推している人がいます。
りさばやし—K―P O PのI V EやNiziUの推しがいますね。あとはフィギアスケートの選手を好きな子もいます。フィギアスケートを好きな子には「男子も女子も好き」という人が多いですね。女子サッカーと共通なものを感じますね。私の世代(10代)は、あまり「男性が好き、女性が好き」の区別はないですね。
たけこ—私たちが高校生のときは男性アイドルしか好きになる対象がいなかったです。今の人の「推し活」とは違う気がします。時代が移り変わっている感じがします。
—そう言いながら、たけこさんも同性の選手を推しています。たけこさんも時代と共に変わったということでしょうか?
たけこ—そうだと思います。時代に乗っているのだと思います(笑)。
ちさと—私はモーニング娘。の世代です。「加護ちゃんが好き」「辻ちゃんが好き」と言っていました。その「好き」と、今の女の子の推しはちょっと違うと思います。
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