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女子サッカーの美しい瞬間 ビジュアルレポート 栗島朱里2アシスト 涙のボランチ・スタメン復帰 三菱重工浦和レッズレディースは皇后杯準々決勝へ

皇后杯 JFA 第44回全日本女子サッカー選手権大会の4回戦が2022年12月17日、18日に開催されました。18日に2試合の会場となったカンセキスタジアムとちぎは日差しが降り注ぐと同時に粉雪が舞うコンデイションとなりました。ディフェンディングチャンピオンの三菱重工浦和レッズレディースは第一試合に登場。AC長野パルセイロ・レディースと対戦し3−1で危なげなく勝利。連覇に向けて好スタートを切りました。選手の表情を捉えた44枚の写真で、試合の模様をお届けます。

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塩越柚歩選手(浦和)

連覇を狙う三菱重工浦和レッズレディース

皇后杯 JFA 第44回全日本女子サッカー選手権大会にはWEリーグから11、なでしこリーグ1部から12および高校の女子サッカー部を含む9地域協会から選出された合計48チームが参加。ノックアウト方式で優勝を争うカップ戦です。三菱重工浦和レッズレディースは第41回、42回大会の2大会連続で準優勝し、3度目の正直となる前回の第43回大会で初優勝を達成しました。

今大会では、この週末に開催された4回戦からWEリーグのチームが登場。2023年1月15日(日)に開催される準々決勝からは試合がN H KB Sで放送されます。※当初「全試合」と記載していました。準々決勝の放送は2試合です。申し訳ありません。お詫びして訂正いたします。

https://www.jfa.jp/match/empressscup_2022/tv.html

三菱重工浦和レッズレディースのサポーター

三菱重工浦和レッズレディースとAC長野パルセイロ・レディースの対戦は2022年10月23日(日)の2022−23 YogiboWEリーグ開幕戦以来。そのときは3−2の激戦を三菱重工浦和レッズレディースが制しています。今回はU-20日本女子代表でセンターバックのコンビを組んだ石川璃音選手(浦和)と長江伊吹選手(AC長野)が対決することでも注目を集めました。

石川璃音選手(浦和)

田代監督にとって誤算だった三菱重工浦和レッズレディースのスタメン

雪辱に燃えるAC長野パルセイロ・レディースの田代久美子監督は、三菱重工浦和レッズレディースの清家貴子選手を抑えることが試合の鍵になると考え、いつもと違う布陣を念入りに準備しました。しかし清家選手は出場せず、AC長野パルセイロ・レディースはポジションどりに混乱が生じた立ち上がり5分、18分に失点を重ねてしまいます。

AC長野パルセイロ・レディースのサポーター

AC長野パルセイロ・レディースは、前半アディショナルタイムに左サイドでつないで、ゴール近くでグラウンダーのサイドチェンジ。これを奥津礼菜選手が思い切りよく蹴り込んだところで前半終了となりました。奥津選手によると左で組み立て右で決めるのは狙い通りの形だったそうです。

「早い時間に2失点してプランが崩れてしいましたが、ポジションをいつも通りに戻してからは攻撃のリズムが出て前半終了間際に1点を取り返すことができて良かったです。」

奥津礼菜選手(AC長野)

ただし、前半のAC長野パルセイロ・レディースのシュートはこの1本のみ。後半のシュートも1本しかありませんでした。AC長野パルセイロ・レディースの持ち味はコンパクトな守備陣形と激しく上下動するディフェンスラインでボールを奪い転じる速攻。しかし、この試合では三菱重工浦和レッズレディースの予想外の布陣に苦しみました。ボールを保持すると植村祥子選手、菅澤優衣香選手、猶本光選手、島田芽依選手の4人が最前線に並びます。AC長野パルセイロ・レディースの4人のディフェンスラインに4人の攻撃的選手が同数で圧力をかけ、かわるがわるに裏への抜け出しを試みるため、フラットなラインディフェンスは崩れ上下動が思うようにいきません。そして一対一でも三菱重工浦和レッズレディースの選手たちが強さを見せつけました。

「ボールロストが多すぎました。早いプレッシャーの中でも慌てずにプレーするテクニック、身体の強さ、判断は継続してやっていかなければいけないと思います。選手個人個人が(一対一の能力を)上げていかなければいけない。身体のぶつかり合いで負けていたところも多々見られたので、選手自身が感じながらやっていくことが大事だと思います。」

田代監督は悔しそうに試合を振り返りました。

田代久美子監督(AC長野)

皆が待っていた栗島のスタメン復帰

このような、思い切った攻撃的布陣を導入できた理由の一つは栗島朱里選手の先発出場です。ボランチのスペシャリストである栗島選手は2020プレナスなでしこリーグ優勝の立役者ですが2021年10月14日に右膝前十字靭帯を損傷。長期欠場となっていました。懸命なリハビリに努め、ついに2022−23 YogiboWEリーグ開幕戦の途中出場でピッチに帰ってきました。その試合からサイドバックとして時間を限定して途中出場してきましたが、この日は本職のボランチで久々の先発出場を果たしたのです。そして守備の安定のみならず、2点目と3点目で2つのアシスト。見事な復活を遂げました。特に2点目の直後には多くのチームメイトがキャプテンマークを巻いた栗島選手の周りに集まり、これ以上ないくらいの笑顔で祝福しました。

栗島朱里選手(浦和)

試合後の取材で栗島選手のアシストについて質問された楠瀬直木監督は「みんな待っていた……。」そこまで話したところで、涙が言葉を遮ってしまいます。「本当に辛い一年だったと思う……。」声を振り絞るように続けました。「やっと帰ってきたと思う。」

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