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「女子サッカー×ファション」 大久保舞選手、三谷沙也加選手、鈴木日奈子選手の写真から読み取る「フットボール・カルチャーは育てていくもの」

フリーペーパー&ウェブマガジンFBI(C)MAG (https://fbicmag.com/にフットボール(サッカー)とファッションをクロスオーバーさせた全3回のスペシャル企画が掲載されました。掲載した写真のモデルは大久保舞選手(AC長野)です。

女子サッカーとファッションを考える

俳優、モデルに限らず、人の目に触れることが多いセレブはスタイリスト等のアドバイスを受けて戦略的にファッションを決めて、自らのスタイルを表現することが多くあります。女子サッカー界も例外に当たらず、各国のトップリーグで活躍するスーパースターは、華やかな装いで晴れの舞台に登場します。比較的身長が高くスマートなバランスの女子サッカー選手が着飾れば、そこには、ピッチとはまた違う眩いばかりの光を浴びる世界が生まれます。

L O E W E (ロエベ) は2020年の秋冬メンズコレクションのイメージキャラクターにミーガン・ラピノー選手を起用しました。パワフルなビジュアルは「行動を起こせ」という強いメッセージを発信しました。

各界のセレブに混じっても、ミーガン・ラピノー選手の輝きは色褪せません。2021年にニューヨークのメトロポリタン美術館で開催された『メットガラ』は大坂なおみさんとビリー・アイリッシュさんが共同ホストとなったことでも話題になりました。この年のパーティーのテーマは美術館で開催される特別展「In America」にちなんだものとなり、ドレスコードは「アメリカの独立(American Independence)」。参加したミーガン・ラピノー選手は星条旗をイメージしたスーツで登場しました。クラッチバッグにはアメリカ合衆国における公式な国家の標語である「I N G O D W E T R U S T (我々は神を信じる)」をもじった「I N G U Y W E T R U S T (我々はゲイを信じる)」というスローガンを飾っています。ファッションは自己表現の有力な手段です。ミーガン・ラピノー選手のステイタス、プロスポーツ選手としてのスタイル、アクティビストとしての一面も、この1枚の写真から感じることができます。

ファッションリーダーでもある人気選手たち

フランスのフットボール専門誌『フランス・フットボール』が発表する女子バロンドールを2年連続で獲得したアレクシア・プテジャス・セグラ選手(F Cバルセロナ女子)の艶やかな装いも常に注目を集めます。特に、各種の権威ある授賞式でのドレスアップした姿は、アレクシア・プテジャス・セグラ選手が女子アスリートのロールモデル(成功者)であることを示します。

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女子バロンドールに初めてノミネートされたトリニティ・ロッドマン選手(ワシントンスピリッツ)のドレスも話題になりました。

日本の男子選手でも、サッカー(フットボール)の枠を超えて日本のリーダーとされてきた三浦知良さん、中田英寿さん、本田圭佑さんは、洗練されたファッションセンスが光り、常に世間から注目を集めてきました。FIFAワールドカップ カタール2023の試合会場でも、三浦和良さん、中田英寿さんの上品なスーツの着こなしが話題となりました。

では、日本の女子サッカー選手はどうでしょう。2022年6月7日に開催された2021−22 WEリーグアウォーズではINAC神戸レオネッサの山下杏也加選手の純白のスーツが話題となりました。INAC神戸レオネッサの成宮唯選手が羽織りにレザーを選んだ着こなしも印象的でした。

個性豊かなWEリーグアウォーズ 六本木で華やかな祭典 選手のドレスアップを「ささゆかチェック」


FBI(C)MAGに登場した鈴木日奈子選手(AC長野) 提供:FBI(C)MAG

ラグジュアリースポーツブランドで装い女子サッカー選手の個性を表現する 

FBI(C)MAGは「F O O T B A L L I S  C U L T U R E」キーワードにした、フリーペーパー&ウェブマガジンです。FBI(C)MAGhttps://fbicmag.com/)は女子サッカー選手をモデルに起用しました。イタリアのラグジュアリースポーツブランドS Y32 by S W E E T Y E A R S(エスワイサーティートゥバイスイートイヤーズ)から生まれたパッラトンダ(「ボールは丸い」という意味の商品群)が衣装を提供し、冒頭にご紹介した大久保選手の写真も、ここで撮影・掲載されました。

https://fbicmag.com/wear-it-together-its-our-game-matchday1/

S Y32は世界的なサッカー選手でイタリアの国民的英雄でもあるクリスチャン・ヴィエリとパオロ・マルディーニの2人のアイデアによって誕生したイタリアンカジュアルブランドS W E E T Y E A R SのスポーツM I Xラインです。

https://www.sy32.jp

この撮影をディレクションしたFBI(C)MAG編集長の太郎館(たろうだち)季道さんは女子サッカー選手とファッションについてどのように考えているのでしょうか。

女子選手とファッションの掛け合わせは絶対に生きる

「欧州にはフットボール・カルチャーが根付いているといわれます。フットボール・カルチャーで僕らが憧れたのは、例えばイタリアでしたら『ストーン・アイランド』やオシャレな革ジャンを着て首にマフラーだけを巻いたおしゃれをした人がスタジアムに試合を見に来ているイメージです。」

FBI(C)MAG編集長の太郎館季道さん 提供:太郎館季道さん

「だから『スポーツ』だけではなく、日本のフットボール・カルチャーの底上げをしたい、仲間を増やしたいと考えていました。僕はファッションの世界で生きてきたので、FBI(C)MAGを立ち上げて、シンプルに『ファッション×フットボール』を見せていきたいと考えていました。スポーツにおいてもマーケティング的な即効性が求められる時代ですが、ファッションはカルチャー(文化的背景)で形成されていることを歴史が物語っています。だから、フットボール・カルチャーは育てていくものだと考えています。

女子サッカー選手のモチベーションは高いと感じています。でも『オラが街の女子選手』と見られることが多く、全体的にコンサバティブなコミュニケーションをしています。彼女たちの思いを伝えるシーンが少ないと感じています。

なでしこジャパンのファン、なでしこリーグのファン、WEリーグのファン、選手のファンは、それぞれが小さな世界に固まっている状況です。女子サッカー全体で横串が刺さらない。これはあまり良いことではありません。でも、何かのきっかけで、それぞれのファンがつながれば大きなパイになる可能性を秘めていると思います。その課題解決を誰がどのようにできると考えているのかは分からないのですが、女子選手とファッションの掛け合わせは絶対に生きると考えていました。」

FBI(C)MAGに登場した三谷沙也加選手(AC長野) 提供:FBI(C)MAG

FBI(C)MAGの写真はプレーの撮影やカタログ撮影と全く異なる手法で撮影されました。もしかすると、見た瞬間はWEリーグの女子サッカー選手だと気づかれないかもしれません。

「賛否が分かれる写真だと思いますが『女子選手ってカッコいい』と感じてもらえる写真にしたかったです。写真を見て『これ、誰なの?』と関心を持ってもらえるようにしたかったのです。」

女子サッカーとファッションがクロスする新しい挑戦

WEリーグは、従来からのサッカーファンとは異なる層にもアプローチしています。そのターゲット層とピッタリと一致するわけではありませんが、太郎館さんは、これまで女子サッカーと接点を持たなかった人に女子サッカー選手の存在をリーチできる可能性を模索しています。ファッションは衣食住の3つの柱の中の一つ。ファッションと関わりのない生活をしている人はほとんど存在しません。FBI(C)MAGが「フットボールとファッションがクロスする受け皿」である強みを活かして発信してみようと考えたのです。

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