WE Love 女子サッカーマガジン

WEリーグのマスコット 『東京ガールズコレクション(T G C)』デビューや意外な夫婦関係も

サッカーに限らず、あらゆるスポーツイベントの会場でマスコットが大活躍しています。宇都宮徹壱さんは2017年に「なぜ『いい大人』がマスコットに魅了されるのか?https://news.yahoo.co.jp/byline/utsunomiyatetsuichi/20170213-00067625」と書きました。あれから5年が経過し、マスコットの活躍の場は、ますます拡大しています。マーチャンダイズの発想から多様化……かつては、パッケージへのプリントやぬいぐるみ等の販売商品化が主な役割だったマスコットが、スタジアムで会えるアイドルとなり、Jリーグでは新たなカルチャーを創造しています。

例えば、2022年シーズンに横浜F・マリノスがマリノス君の姪っ子であるマリンを投入。スタジアムにはマリンと同じ髪型、髪飾り、スカートの女子サポーターが急増しました。今や、マスコットがサポーターのファッションにまで影響を与えています。WEリーグでも、Jリーグに習い、多くのチームがマスコットを投入。ファン・サポーターを楽しませています。今回の #女子サカマガ は、WEリーグのマスコットについてお伝えします。

マイナビ仙台レディースのマスコット・マイビィ

マイナビ仙台レディースとノジマステラ神奈川相模原のご担当者に取材をさせていただきました。記事の後半でご紹介します。

マスコットとの「近さ」もWEリーグの魅力

「Jリーグマスコットのことばかり考えるブログ」はJリーグマスコットを中心に、プロ野球やBリーグなどのスポーツマスコットの話題まとめなどを取り扱っている人気ブログです。WEリーグのマスコットについて、管理人のだじゅうるさんに注目点を聞いてみました。

「現状のWEリーグのマスコット運用について魅力的なポイントに、2つの『近さ』があります。一つは『観客との近さ』。スタジアム規模や観客数の違いによるものではありますが、Jリーグよりも来場者がマスコットとよりしっかり触れ合える環境といえます。

もう一つは『選手との近さ』。ピッチ上やSNS上などでマスコットと仲良く交流することに抵抗のない選手が、Jリーグよりも多く見られる傾向にあり、その和やかな交流の様子が良い雰囲気を創出していると感じます。」

だじゅうるさんが分析するように、WEリーグ全体の魅力として「ギスギスした対決の雰囲気が薄い緩やかさ」「選手との距離の近さ」が挙げられます。そして、確かに、選手がマスコットと一緒に行動したり、選手がマスコットのアイテムを身につけたりして登場することが目につきます。マスコットがスタジアム内の雰囲気に、より馴染んだ印象を受けるのはそのためです。

試合後の選手とマイビィ

「一方で、マスコットの活動やそれを通じた情報発信に特に精力的なのは、サンフレッチェ広島レジーナ、日テレ・東京ヴェルディベレーザ、大宮アルディージャVENTUSといった、Jリーグと同じマスコットを同じように運用しているクラブに限られているという問題もあります。リーグや各クラブが戦略的に打ち出すべき、WEリーグマスコットならではの『独自の価値』というものは、まだまだ未開拓といえるでしょう。

そういう意味では、昨季にデビューを果たした仙台のマイビィのように、新たなムーブメントの胎動に期待したいところです。」

ももちゃんと南野亜里沙選手(N相模原)

「最後に、もっとも独特なマスコット戦略を取っている浦和について触れておきます。Jリーグの浦和レッズといえば『マスコット(レディアファミリー)にスタジアムで会えない』という硬派?なクラブとして知られていますが、三菱重工浦和レッズレディースではそれを逆手に取って『毎試合必ず、Jリーグでは会えないレディアファミリーの誰かに会える』という運用を続けています。これは熱心なマスコットファンの間でも大いに話題になりました。

浦和というクラブのマスコット観の独特さが伺える部分もありますが、マスコットをクラブにいかに活かすかという意味ではWEリーグの先頭を行く存在と呼べるのかもしれません。」

Jリーグのファン・サポーターには想像しにくいことですが、三菱重工浦和レッズレディースの試合会場の一角ではレディアファミリーと記念撮影をするファン・サポーターの列ができます。ファミリー層が多く和やかな雰囲気です。JリーグとWEリーグの違いを最も象徴しているシーンかもしれません。

マイナビ仙台レディースのマスコット・マイビィ

『東京ガールズコレクション(T G C)』でデビューしたマイナビ仙台レディースのマスコット・マイビィ

だじゅうるさんも注目するマイナビ仙台レディースのマスコット・マイビィは、日本のサッカー界で最も華々しいデビューを飾ったマスコットかもしれません。2021年2月28日に『第32回マイナビ東京ガールズコレクション 2021 S P R I N GS U M M E R』のステージにバーチャルで初登場。その場で名前募集キャンペーン開催が発表されました。『東京ガールズコレクション(T G C)』は「日本のガールズカルチャーを世界へ」をテーマに2005年8月から開催している、史上最大級のファッションフェスタ。若い世代の支持を受けたモデル、タレントが一堂に会し、国内外からの注目が集まります。なぜ、このような晴れの舞台に立つことができたのでしょうか。マイナビ仙台レディースに聞いてみました。

「マイナビ社が『東京ガールズコレクション』の冠タイトルのスポンサー(パートナー)を務めていることが全てのきっかけです。2021年2月にチームが発足した時点から、マスコットキャラクターの重要性は、我々フロントスタッフはもちろん、株式会社マイナビのみなさん(チーム発足時より関わるみなさん)は分かってくださいました。

T G Cを担当(包括)するマイナビ社の担当者より『T G Cでキャラクターの名前を募集する』という提案をいただきました。T G Cでキャラクターの誕生・名前募集(発表)を配信できたことは、普段サッカー(女子サッカー)と接点を持たない若い層に、『マイナビがサッカーチームを運営する』『女子サッカーがプロ化する』など届けるとこができたと思っています。」

武田菜々子選手(マイ仙台)

WEリーグは発足以来、従来からのサッカーファンだけではなく、これまでサッカーとの関わりが薄かった女性、若年の幅広い層へのアプローチを続けています。特にマイナビ仙台レディースは母体が就職・転職・進学情報の提供や人材派遣・人材紹介などを主業務とする株式会社マイナビなので、こうした層の開拓に積極的です。

名前募集キャンペーンには、全国各地から約1千400件の応募がありました。地元・宮城県にお住いの方々はもちろんですが、全国各地からの参加があり、マイナビ仙台レディースの誕生とマスコット誕生が全国的なニュースとなったのは大きな成果だといえるでしょう。

地域貢献活動の顔として大活躍

しかし、マイナビ仙台レディースの活動拠点は宮城県仙台市です。地域での活動はどのようになっているのでしょうか。

「クラブが活動する上での指針にしている『仙台・宮城の方々に愛されるクラブに』のために、マイビィは欠かせない存在です。スタジアム外での地域貢献活動やサッカー教室などのイベントでは、子どもたちの人気の的になっているのは選手たちよりマイビィかもしれません。また、今季より3か年計画で始動した宮城県内の全市町村への『ボール寄贈』については、プレゼンターとして重要な役割を担っています。」

マイビィはマイナビ仙台レディースにとって、クラブマスコットというポジションにとらわれない、かつ、重要なピースとしてクラブを盛り上げてくれる存在になっています。

市瀬菜々選手(マイ仙台)

相思相愛!?母体企業のマスコットとの深い関係

ノジマステラ神奈川相模原のマスコットはももちゃん。ノジマステラ神奈川相模原の応援団長です。地域イベントや街頭でのチラシ配布等、まだ、ノジマステラ神奈川相模原をご存知ない人やお子様が多い場所で特に大人気。地域活動に積極的に参加しています。

ノジマステラ神奈川相模原のマスコット・ももちゃん

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