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P K戦は運でもくじ引きでもない!? P K戦で世界一に輝いたなでしこジャパン(日本女子代表)に学ぶ「リラックス」と監督の責任【石井和裕の #女子サカマガ PKど真ん中】

FIFAワールドカップ カタール2022のラウンド16はP K戦で決着。日本代表は敗れ、惜しくも史上初のベスト8進出を達成することはできませんでした。激戦は世界中から賞賛を受けています。そして翌日、スペイン代表もP K戦で敗退しました。ルイス・エンリケ監督は「PKキッカーの最初の3人は私がチョイスした。ピッチでの最高のスペシャリストだと思ったからだ。以降は誰が蹴っても自由だった。」とコメントし自らの責任を強調しました。

「1000本蹴る」練習をしても決まらない

P K戦は70%以上の確率で決まるとされています。しかし、選び抜かれたスペシャリストでも、いくら練習を積み重ねても失敗します。なぜなのでしょうか。

ルイス・エンリケ監督は試合前日の記者会見で質問に答え、代表選手たちに所属チームで「1年間でPKを1000本蹴る」練習を指示していたとコメントしています。この質問はU E F A欧州選手権スペイン2020(ユーロ)でのP K失敗が元になっています。スペイン代表は同大会のグループステージでモラタ選手がP Kを失敗。これはスペイン代表史上ワーストとなる5連続PK失敗(2020年11月14日のスイス代表戦以来)でした。さらに、準決勝をP K戦で敗退しているのです。スペイン代表にとってP K戦は乗り越えられない壁でした。

2022年12月6日の報道で日本代表のPKキッカーは「立候補制」だったことがわかりました。しかし、自ら手を挙げる選手が現れず、約5秒の間を置いてから南野拓実(モナコ)が名乗り出たことが分かっています。とてつもなく大きな重圧がかかったかもしれません。ペナルティ・マークに向かう南野選手の表情はこわばって見えました。

P K戦にリラックスしたムードを作った佐々木則夫さん

P K 戦の結果は運だ」と言う人がいます。FIFA女子ワールドカップ ドイツ2011の優勝メンバーである永里優季選手(シカゴ・レッドスターズ)は、それを否定的に考えツイートしています。

なでしこジャパン(日本女子代表)は、日本サッカー史において、最も重要なP K戦を経験しています。FIFA女子ワールドカップ ドイツ2011の決勝戦です。勝てば初の世界一となるP K戦を振り返ってみましょう。筆者は、メインスタンド前列、P K戦が行われたゴールのほぼ横の座席で観戦していました。

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