WE Love 女子サッカーマガジン

2022−23 WEリーグカップから見えるジェフユナイテッド市原・千葉レディースの前進力 そして、海浜幕張エリアとジェフの夢 #女子サカ旅 

昨シーズンまでの守堅い守備に、得点を奪うためのアグレッシブなアクションを加えたジェフユナイテッド市原・千葉レディースは、悲願のリーグタイトルに手が届く存在になるかもしれない……そんな予感をさせる試合となりました。 8月22日にフクダ電子アリーナで開催された2022−23 WEリーグカップ第2節でジェフユナイテッド市原・千葉レディースが素晴らしいパフォーマンスを発揮したのです。

昨シーズンのジェフユナイテッド市原・千葉レディースは引いて5人が最終ラインを作り守り切る印象が強いチームでした。しかし、今シーズンは違います。自陣で待たず、高い位置から相手ボールにチャレンジする、ゴールキーパーがボールを保持しているときに両センターバックを厳しくマークしパスの選択肢を塞ぐ……日テレ・東京ヴェルディベレーザ陣内でボールを奪い、素早くスルーパスをディフェンスラインの裏に走る千葉玲海菜選手に送り、何度も決定的なチャンスを作りました。特に躍動したのは左サイドでのプレーでした。 

年代別代表に招集された経験を持つ蓮輪真琴選手がウイングバックでプレー。的確な状況判断とボールを前に運ぶ力を見せ、身長170cmの体格を生かした競り合いの強さを発揮しました。3バックの左を受け持つテクニックに優れたディフェンダー・市瀬千里選手との左サイドの縦関係のコンビネーションは冴え渡り、何度も日テレ・東京ヴェルディベレーザの選手たちを脅かしました。  

千葉玲海菜選手をワイドな位置で起用も 

さらに、70分からは猿澤真治監督が、ワントップで先発出場していた千葉選手を蓮輪選手の前に置く布陣にも挑戦。これは、千葉選手をワントップの位置に置くと「千葉選手が力があるだけに攻撃が一辺倒になりやすくなる」という監督の考えによるもので、この先、一年間のシーズンを見据えて攻撃のバリエーションを増やすことが狙い。あえて、この試合でトライしたようです。2022−23 WEリーグカップはタイトルマッチですが、10月から始まる2022−23 YogiboWEリーグの前哨戦の役割もあります。千葉選手と蓮輪選手は筑波大学時代のチームメイト。市瀬ー千葉ー蓮輪の強力な左サイドが、疲れの見える日テレ・東京ヴェルディベレーザを蹂躙し、中央で待つ大滝麻未選手にラストパスを供給し大きな可能性を感じさせました。 

岩清水梓選手と宇津木瑠美選手が支える日テレ・東京ヴェルディベレーザ 

一方の日テレ・東京ヴェルディベレーザはU-20年代の主力選手を欠き、さらには、昨シーズンまで主将を務めてきた清水梨紗選手が、この試合の直前にイングランドのウエストハム・ユナイテッドへ完全移籍するためチームを離れたことによりベストとはいえないメンバー。 

西川彩華選手が右サイドバックに入りました。ベンチの控え選手は5人だけ。試合経験の浅い選手も含まれ、全体的に急造感を拭えない陣容となりました。 

エースの植木理子選手が、前線で孤立するシーンが目立ちます。試合は、終始、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースが支配して進みました。三浦成美選手、木下桃香選手をはじめ、日テレ・東京ヴェルディベレーザの選手たちが得意とする素早いパス交換が鳴りを潜めたのは、帰国直後のコンディションの悪さも理由ですが、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースが縦のみならず横へのパス選択も許さない一対一のタイトな守備を敢行したことが原因であることは間違ありません。 

そんな劣勢の展開でも失点を食い止め、後半に効果的な攻撃の起点となったのは2人のベテラン選手。岩清水梓選手と宇津木瑠美選手でした。厳しいプレッシャーの中でも「太々しい」風格を感じさせるプレーが日テレ・東京ヴェルディベレーザを救いました。 

「あとはとどめを指すだけだよ」というアドバイスがジェフユナイテッド市原・千葉レディースのベンチからピッチ上の選手に届きましたが最後まで得点は生まれず、スコアレスドローで試合は終わりました。 

試合を終えた猿澤監督は、このように話しています。 

「シーズン序盤で、これだけアグレッシブにサッカーをやれていることは大きな収穫です。選手が入れ替わりながらパフォーマンスを出してくれたので、その意味で収穫は大きいと思います。」 

これから、試合を重ね、両チームがどのように成長していくのか楽しみです。 

蘇我駅

京葉線の#女子サカ旅 再び 

この試合は18時キックオフのナイトゲームで行われました。会場はフクダ電子アリーナ。筆者はスタジアムに向かう途中に、蘇我行きの京葉線を海浜幕張駅で途中下車し、三井アウトレットパーク幕張で大量の買い物をしてしまいました。そして、もう一ヶ所……気持ちの良い空間で残暑を逃れ、昼のひと時を過ごし、この地域とジェフユナイテッド市原・千葉との関係を思い出しました。そのきっかけは川を見たからです。記事の後半では、海浜幕張エリアと千葉Lの #女子サカ旅 について、綴ります。 

三井アウトレットパーク幕張

人気の街並み海浜幕張でパイを味わう 

海浜幕張は「ARUHI presents 本当に住みやすい街大賞2022」の第5位に入賞した人気の住宅地です。三井アウトレットパーク幕張の向こう側には、パステルカラーに彩られた、個性的な造形のマンションが立ち並びます。 

海浜幕張エリアの街並み

京葉線の北側・幕張ベイパークは、少し遅れて開発が進むエリアです。緑あふれる公園の向こうでタワーマンションが建築中。また新たな街が生まれつつあります。そんな緑に囲まれた一角にPIE & COFFEE mamenakanoがあります。美味しいパイとコーヒーを味わえる人気のコーヒースタンドです。建物の中央にPODスペースがあります。筆者はキッシュを食べながら、大きなガラスの扉越しに、差し込む夏の日差しを眺め、海浜幕張エリアとジェフの歴史を思い浮かべました。 

PIE & COFFEE mamenakano

海浜幕張エリアで育った代表選手たち 

日頃、東京の下町エリアで過ごすことが多いと、海浜幕張で生活するファミリーやカップルの若さに驚きます。海浜幕張は、1989年の幕張メッセ開業から始まり、今でも育ち盛りの街です。そして、多くの代表選手たちが海浜幕張エリアから巣立っていきました。

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