なでしこジャパン(日本女子代表)のキーワード「Xボール」がまだ定着しないのはなぜか?あなたは真の「Xボール」をまだ知らない
池田太監督がなでしこジャパン(日本女子代表)の監督に就任し、新しい風が吹き始めています。池田太監督体制の初陣、アイスランド女子代表戦後の記者会見で、成宮唯選手からあまり聞きなれない単語が発せられました。
「『Xボール』という、対角へのボールを意識してやっていました」
池田太監督が指揮するなでしこジャパン(日本女子代表)では「Xボール」の他に「Wワーク」という単語も使用しています。記者会見等で使用されていないが、練習やミーティングで使用されているキーワードが、他にもいくつもあるようです。こうしたキーワードの多用は池田太監督特有のやり方かというと、そういうわけではありません。たとえば、前任の高倉麻子監督は「0秒切り替え」「5秒間プレス」等のキーワードを使用していました。
Xを使えば覚えやすい印象的なキーワードに
「Xボール」とは何なのでしょうか?そして、なぜ、関係者、ファン・サポーターの間で、このキーワードが定着していないのでしょうか。筆者は「Xボール」について調べてみました。
「Xボール」を検索すると、アメリカンフットボールの大会が表示されます。「ジャパンX ボウル」とはアメリカンフットボール日本社会人選手権試合のことです。
(ただし、2021年シーズンからは、社会人日本一決定戦が「ジャパンXボウル」から、アメリカンフットボール日本選手権「ライスボウル」に変更されます。)
類似の単語に「X攻撃」というものもあります。これも覚えやすく、昔から長く使用されています。元祖はスポ根の金字塔『サインはV 』。バレーボールのアタッカー2人が左右から斜めに跳躍して空中で交差する必殺技です。サッカー流に説明すると「ダイアゴナルなフリーランニングでゴール前を横切るプレー」のことです。『サインはV 』に始まって、様々なシーンで「X攻撃」という表現が行われました。変わり種ではバブル期の女性の蕎麦の食べ方。当時はワンレンとよばれるロングヘアーを左から右に流す髪型が大流行。蕎麦を食べるときに利き手の右手で箸を持ち、左手を右側の髪に添える姿は、両手が身体の前でクロスすることから「X攻撃」と呼ばれました。それくらい「X攻撃」は覚えやすい印象的なキーワードだといえます。
さて、話を戻し、なでしこジャパン(日本女子代表)の「Xボール」も覚えやすい響きです。今回のオランダ遠征の最中に選手の囲み取材で初めての発言があり、そのキーワードは次第に報道陣に浸透していきました。ファン・サポーターの間でも、流行に敏感な人は、すでにこの新しいキーワードを使い始めているのかもしれません。
実は「Xボール」の定義は不明瞭
ただ、このキーワードは、あまり記事に登場していません。なでしこジャパン(日本女子代表)を巡る議論に登場することも多くありません。なぜでしょうか。
池田太監督は、こうしたキーワードの導入について、アイスランド女子代表戦の前日記者会見で狙いを説明しました。
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