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聖火リレーのフォーメーションから考えるなでしこジャパン 1−1−2−1−2−1−2−1−2−2−1 そして東京オリンピックへ 【石井和裕の #女子サカマガ PKど真ん中】

2021年3月25日、ついに、東京2020オリンピック聖火リレーのグランドスタートが開催されました。第一走者はFIFA女子ワールドカップ2011ドイツ大会の優勝メンバー(多くメンバーはロンドンオリンピックにも出場して銀メダルを獲得した)。前日の3月24日に、第一走者としてトーチを持って走ると報じられていた澤穂希さんの辞退が判明。しかし、このようなことは「もしかすると」と関係者が懸念し対応策を準備していたことです。第一走者はメンバーが隊列を組んで走る形式だったので、大きな混乱はありませんでした。全国から注目を集め、FIFA女子ワールドカップ2011ドイツ大会の優勝メンバーが見事に聖火リレーをスタートしました。そのフォーメーションは「1−1−2−1−2−1−2−1−2−2−1」でした(詳しくは、後ほど書かせていただきます)。第一走者の先頭で聖火のトーチを右手に持ち、歴史に名を刻んだのは日テレ・東京ヴェルディベレーザの岩清水梓選手でした。今回は聖火リレーから見えるなでしこジャパンについてについてPKど真ん中に蹴り込んでみようと思います。

前回は沖縄、今回は福島がスタート地点

1964年、戦後復興を世界にアピールした前回の東京オリンピックでは、聖火リレーを米軍占領下の沖縄からスタートしました。第一走者は、琉球大教育学部4年で、体育教師を目指していた宮城勇さん。盛大な聖火歓迎式典が挙行され「沖縄があたかも日本に『復帰』したかのような喜びにわきかえった」と報道されました。沖縄が返還されたのは、それから8年後の1972年です。

東日本大震災からの復興を世界にアピールする今回の東京オリンピックは、大きな被害を受けた福島県のJヴィレッジからスタートしました。同じく大きな被害を受けた岩手県出身の岩清水梓選手が第一走者を務めたことに大きな意味があります。岩清水梓選手は、決勝戦アディショナルタイムに迎えた失点必至の大ピンチを、身を挺して跳ね返し、優勝の立役者となった偉大な選手です。東日本大震災から10年が経ちました。東日本大震災で壊滅的な被害を受けた東北地方は、なかなか終わることがない、長いアディショナルタイムに入ったままです。

Jヴィレッジ 提供:一般社団法人東北観光推進機構

上尾野辺めぐみ選手(アルビレックス新潟レディース)のコメント

「(久々のJヴィレッジのピッチは)どんな感じかなと思っていたが、きれいに元通りになっていてびっくりしたし、すごく走りやすかった。(聖火のトーチを持ってみて)こういった貴重な場で、神聖なトーチの重みを感じた。(久々に当時のW杯優勝メンバーと再会して)みんな変わってなくて、すごくいい時間を過ごせた。すごく楽しかった。『あのときみんなで戦えて良かったな』と、改めて思った。(東京五輪に期待することは)ウイルス禍などで、日本が難しい状況の中で、選手の方々には、国民の皆さんに元気を与えられるような活躍を期待したい。」 

誰が「なでしこジャパン」なのか

この報道等を見ると、誰が「なでしこジャパン」なのか、やや不安になります。テレビ各局、新聞各社の報道には興味深いものがありました。では、各局、各社の見出しから紹介していきましょう。

・「国立へ希望の光を」 聖火リレー第1走者のなでしこジャパン(毎日新聞)

・東京2020オリンピック聖火リレーがスタート 第一走者は「なでしこジャパン」(テレビ朝日)

・「なでしこ」聖地で聖火リレー“感無量だ” 佐々木則夫 元監督(NHK)

・「足の裏が熱くなった」聖火第1走者のなでしこジャパン(朝日新聞)

・「なでしこ」希望の大輪咲かせた 聖火リレー、復興象徴の地に(福島民友新聞)

文字数を少なく収めようと考えた、各局・各社は「なでしこ」や「なでしこジャパン」という単語を使用して報じました。中には、今回のメンバーに現役選手を含むことを無視して、全員を総称して「元選手」と報じたメディアもあります。「なでしこジャパン」と聞くと、自動的にFIFA女子ワールドカップ2011ドイツ大会の優勝メンバーを思い起こす人も多いようです。

実は、熱心な女子サッカーファンを除けば、最近のなでしこジャパンメンバーを「見慣れない」人も多く、サッカーメディアにおいても「誰がなでしこジャパン(の常連メンバー)だと見られているのか」の定義が難しくなっています。あなたは、現役のなでしこジャパンメンバーを何人思い出せますか? FIFA女子ワールドカップ2011ドイツ大会の優勝メンバーを何人思い出せますか? その人数が、なでしこジャパンの現在地を示しているかもしれません。

なでしこジャパン(日本女子代表)候補 トレーニングキャンプは鹿児島県で開催中です。聖火リレーのテレビ中継を移動のバスの中で見たそうです。選手の目に、どのように聖火リレーは映ったのでしょうか。

三宅史織選手(INAC神戸レオネッサ)のコメント

「(聖火リレーの第一走者に選ばれたことは)なでしこジャパンがFIFA女子ワールドカップで優勝、オリンピックで2位になった戦績がすごくて、改めて結果を残すことの大事さを感じました。(聖火リレーがJリーグビレッジでスタートすることについて)日本にとっても福島にとっても良いスタートを切れたと思います。」

三浦成美選手(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)のコメント

「バスの中でワイワイしながら中継を見ました。聖火リレーの第一走者になっている先輩と関われていることが嬉しいです。2011年に優勝し、結果を残し、10年経っても聖火リレーの第一走者になれるくらいインパクトが残っています。当時の選手は全員が有名です。自分たちも、あのような選手になれたら嬉しいです。」

塩越柚歩選手(三菱重工浦和レッドダイヤモンズレディース)のコメント

「(聖火リレーの第一走者は)本当にすごい仕事です。結果を残した方だけが出られる場所です。自分たちも、今回のオリンピックで結果を残して、今後に繋げていけたらと思います。」

東京オリンピックの優勝を目指し国際親善試合で腕試し

2つの国際親善試合が予定されています。なでしこジャパン(日本女子代表)はパラグアイ女子代表(4月8日ユアテックスタジアム仙台)、 パナマ女子代表(4月11日国立競技場)と対戦します。2月14日(日)~26日(金)のSheBelieves Cup米国遠征が中止となったため、なでしこジャパンは1年以上も実践の場から遠ざかっています。高倉麻子監督がチーム作りの途中経過を確認する大切な試合となりそうです。選手の皆さんとっては、本大会のメンバー入りに向けて絶好のアピールの場となります。

 

さて、話を各局、各社の報道に戻します。本文で、どのように紹介しているのでしょうか?特徴的な表現を抽出してみました。

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