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【女子サカの街】スポーツ史を歩んだ駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場 S世田谷4−0大和S

東京オリンピックで金メダルを狙う、なでしこジャパン(日本女子代表)候補 トレーニングキャンプは鹿児島県で開催中です。4月には2つの国際親善試合が予定されています。なでしこジャパン(日本女子代表)はパラグアイ女子代表(4月8日ユアテックスタジアム仙台)、 パナマ女子代表(4月11日国立競技場)と対戦します。

さて、オリンピックイヤー2021年シーズンが幕を開けました。秋春制のWEリーグは9月に開幕しますが、春秋制の2021プレナスなでしこリーグが第1節を迎えれば、それはシーズンの開幕なのです。 2021プレナスなでしこリーグの6つの開幕カードの中から、私はスフィーダ世田谷FCー大和シルフィードの対戦を最初の取材カードに選びました。

スフィーダ世田谷FCは2020プレナスなでしこリーグ部を初優勝。強力なインテンシティを武器に結果を出しました。プレーの強度が特徴です。対戦する大和シルフィードは、大多和亮介社長の強力なリーダーシップで、フロント力からチームの強化を図り、昨シーズンは大躍進を果たしました。どちらも、2021年シーズンからの新しいプレナスなでしこリーグ1部で上位を狙える注目のチームです。

今回、取材カードをこの試合に決めた理由は両クラブの魅力から。ただ、それだけではありません。東京オリンピックイヤー2021年シーズンの開幕カードだから、筆者は東京オリンピックの歴史を辿りたくなったのです。

オリパラのタペストリーが駒沢の街を彩っている

 さて、このコンテンツの紹介が遅れました。「女子サカの街を訪ねて」は、女子サッカーの試合が開催される街について、筆者が綴るコラムです。JFLホンダロックのサポーター・ロック総統の名言に「今そこにあるサッカーを愛せ」があります。このコラムは、その逆です。「愛おしき今そこに女子サッカーのある街」を紹介していきます。もし、その街を、あなたが女子サッカーを通して訪れることになったら、ちょっと気にして歩いてほしい魅力を発掘します。今回は、その第一回です。

あの1964年 アルゼンチンオリンピック代表と激戦の舞台

その名の通り、試合会場の駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場は、1964年のオリンピック東京大会の会場として整備されたスタジアムです。1964年のオリンピック東京大会ではサッカーの予選リーグと準決勝戦1試合の会場になりました。あの有名な逆転勝利のアルゼンチンオリンピック代表戦も、この陸上競技場で行われました。川淵三郎さんのダイビングヘッドは日本サッカー史の名シーンです。女子サッカーでは2004年アテネオリンピック予選のベトナム女子代表戦が有名です。この試合の快勝で、スタートダッシュに成功した日本女子代表は、予選を突破し本大会に出場。「なでしこジャパン」と命名され「なでしこブーム」が到来します。

駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場はリニューアルされ、現在の収容人数は2万人。座席は広くきれいになりましたが、建設当時からの花びらのような美しい屋根はそのままです。設計されたのは村田政真さん。日本で最も美しい外観のスタジアムの一つです。

目の前の広場は、芦原義信さんが設計しています。東京大学教授、日本建築学会会長を務め、1998年に文化勲章を受賞された巨匠です。美しい模様と遮るもののない平面。この広場は日本のモダニズム建築と街並みの美学を研究されてきた芦原義信さんの最高傑作です。この日は、チアリーディングの大会に臨むカラフルな少女たちが、雨上がりで少し輝くモノトーンの広場に色を加えていました。そう、駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場と広場は、そこにスポーツを楽しむ人がいるから成立するデザインなのです。

駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場

陸上競技場の向かいにある体育館があります。こちらも芦原義信さんの設計です。1964年のオリンピック東京大会ではレスリングの試合会場になりました。地下に、東京オリンピックメモリアルギャラリーが設けられています。入場無料の、このギャラリーには、写真、聖火リレーのトーチ、メダル等が展示されており当時の熱狂を少しだけ振り返ることができます。約60年前をレトロな雰囲気で伝えています。

東京オリンピックメモリアルギャラリー 

スポーツ史を歩んだ街

駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場の近く、自由通りにあるSPORTY COFFEE komazawa。スポーツウェアブランド「AKTR (アクター)」との複合店舗です。「Sports を通してコーヒーを」というコンセプトテーマのコーヒースタンドは、スポーツと長い歴史を歩んできた駒沢ならではですね。

SPORTY COFFEE komazawa

 11万人を収容する巨大スタジアムができるはずだった

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