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三谷沙也加選手(AC長野パルセイロ・レディース)の 笑顔が美しいわけ #女子サカ旅

 SNSを更新するだけで「『昔の写真も載せちゃった』なでしこ三谷沙也加、『弾丸ランチ』2ショットに反響」「モデル系女子サッカー選手!? なでしこコンビ、魅惑の「ポージング」ショットに反響」という見出しの記事がYahoo!ニュースに掲載される選手がいます。AC長野パルセイロ・レディースでプレーする三谷沙也加選手です。三谷沙也加選手のSNSには美しい笑顔の写真が並んでします。今回は、三谷沙也加選手のキャリアと笑顔の秘密を探ります。旅の思い出は後半でご紹介します。

三谷沙也加選手のツイッターに掲載された写真

 2019シーズンまで1部を戦いの舞台としてきたAC長野パルセイロ・レディースは、今シーズン、プレナスなでしこリーグ2部で戦っています。2部に降格したとはいえ、AC長野パルセイロ・レディースは日本の女子サッカークラブの中で特に人気の高いクラブです。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)対策の影響で各クラブが思い通りの集客をできない中で、AC長野パルセイロ・レディースは、2020シーズンもプレナスなでしこリーグ1部の上位と遜色ない集客をしています。2020プレナスなでしこリーグ2部 第10節では1,108人のファン・サポーターを集めました。

 三谷沙也加選手にご自身のキャリアについて質問すると、やはり怪我のお話からでした。それまで年代別の日本代表選手に選出される等、前途洋洋にプレーされていた三谷沙也加選手を、前十字靭帯断裂という大きなアクシデントが襲ったのは、作陽高等学校を卒業目前、浦和レッズ・レディースに加入する前の秋でした。

 三谷怪我をしたのが928日で練習試合に復帰したのが次の年の11月1日。1年と1カ月間は長かったです。復帰後も「こんなに自由にプレーできないんだ。自分、変わっちゃったな。」って感じて、自分が描いていた未来とは違ってしまいましたね。前十字靭帯を切ってしまったことで身体のバランスが崩れ、私は、その後も筋肉系の怪我をすることが多くなってしまいました。

怪我を克服しAC長野パルセイロ・レディースで活躍

 幸い、怪我の治療中にもかかわらず、浦和レッズ・レディースに加入。そのシーズンの選手名鑑を見ると「好きな言葉・座右の銘」に、このように書かれています。

「苦しみ無くして成果なし」

その言葉は、2018シーズンにAC長野パルセイロ・レディースへ移籍した後「苦しみ無くして楽なし」と変化し、今も選手名鑑に記されています。移籍直後の記者会見では「これまで怪我で思う様なプレーが出来なかったのでここで活躍したい」「怪我無く1年間通して試合に出て」と怪我に関するコメントが続きました。2019シーズンの途中から、コンディションも整い右のワイドなポジションを確保。2020シーズンでは1試合を除いて先発出場を続けています(第10節まで)。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)対策で大幅に開幕が遅れた2020シーズンについて質問すると、三谷沙也加選手からこんな答えが返ってきました。

「怪我をしていた大久保舞選手、中村恵実選手がコンディションを上げられる時間を作れたのは良かったです。」

三谷沙也加選手は、今、コンスタントに試合に出場することで何を感じているのでしょうか。多くのファン・サポーターから注目を集める長野から、何を発信しようとしているのでしょうか。Yahoo!ニュースに掲載される程の魅力は、どこから生まれているのでしょうか。お話をうかがいました。

 「相手を見てサッカーをすること」に気づいてから楽しくなった

今シーズンのプレーはいかがですか?

三谷昨シーズンは降格ということもあり苦しんだ一年だったと思います。今シーズンは自分にとって大きなシーズンです。いろいろな思いがあります。選手会長を努めさせてもらって責任もあります。池ヶ谷夏美キャプテンに続いて、みんなを引っ張って行かなければならない。最初は自分のプレーもガチガチでしたが、試合を重ねるごとに落ち着いて周りを見てプレーできるようになり、自分の良さを出せるようになりました。

2020プレナスなでしこリーグ2部 第6節 FC十文字戦 67分 三谷選手の得点

 今シーズンはいろいろな選手がバイタルエリア(DFMFの間のスペース)に顔を出してパスを繋いでいる。チャレンジのある縦パスを入れるサッカーをしている感じがします。今シーズンのサッカーについてはどう思いますか?

三谷相手の間を突きながらボールを回すサッカーです。相手をわざと、こちらに寄せて(局面を)狭くしておいてサイドチェンジする。相手の裏をかくことを常に練習しています。一つ一つ意味のある練習メニューを監督に用意してもらって、考えながらやるサッカーになってきました。練習で「相手を見てサッカーをすること」に気づいてから楽しくなったし、見ている人にも楽しんでもらえるサッカーになってきていると思います。練習中に(常に考えながら)やっているから試合でも自然に出来ているのだと思います。

2020シーズンのAC長野パルセイロ・レディース(2020プレナスなでしこリーグ2部)は、ちふれASエルフェン埼玉戦で開幕しました。なでしこジャパン経験者4名を擁し、選手間の距離を広めにとりながら流動的なポジションでパスサッカーを展開するちふれASエルフェン埼玉にゲームを支配され、放ったシュートは5本だけ。スコアは0-1ですが完敗でした。

ちふれASエルフェン埼玉とは第9節で再び対戦。6分に先制を許すも16分に中村恵実選手、83分に藤田理子選手の得点で逆転勝利しています。

三谷守りしかできなかった第1節と第9節を見比べてもらうと、自分たちの攻撃の種類だったりバランスだったり違っています。折り返し(全18節のうち半分の9節を消化)までの積み重ねで逆転できたのかなと思います。

(第3節まで無得点で第4節スフィーダ世田谷FC戦の)中村恵実選手の今シーズンチーム初得点までは、ゴールまでが遠く感じました。みんなが考えすぎたのと自信が足りなかったのだと思います。自分が年上として、迷っている選手に声をかけさせてもらったりしてきました。攻撃はゴール前にまでボールを運ぶこともなかなか出来なくて「どうやって点をとるのかな?」と感じるチーム状態だった思いますが、試合を重ねるごとに「あ、なんか出来てきたな」って自信がついてきました。チーム初得点が生まれてからは波に乗れて、得点を奪えています(3得点F日体大、5得点十文字V、0得点大和S、3得点バニーズ、2得点ちふれ)。ちふれASエルフェン埼玉戦では逆転勝ちが出来るまでになって、(良いチームになってきたと)評価して良いかなと思います。みんなで階段を上がって結果がついてきたと思います。

2020プレナスなでしこリーグ2部 第4節 2020シーズンチーム初得点(中村恵実選手)の歓喜

男女のチームがあるのはAC長野パルセイロの強み

三谷上位との勝ち点差が少ないので勝って(上位に食らいついて)いきたいです。アウェイゲームは4勝1分けで良い結果なのですが、ホームゲームで勝利できていないです(2020925日現在)。ホームゲームだからこその後押しをプラス出来れば勝てる試合が続くと思います。長野Uスタジアムに来てくださった方が、現地の緊張感、声、表情を味わって「感動した」と言ってくださる試合をしたいです。ネット配信でも多くの方に見ていただける環境を大切にしながらプレーしていきたいです。AC長野パルセイロ・レディースの良さを知っていただき、試合が面白ければ男子も見ていただきたいですし、逆に「AC長野パルセイロは良いクラブだからAC長野パルセイロ・レディースも見てみよう」と感じてもらえると嬉しいです。男女のチームがあるのはAC長野パルセイロの強みです。近隣の方には、一度、長野Uスタジアムに来て見ていただきたいです。
※その後、ホームゲームの日体大FIELDS横浜戦、FC十文字VENTUS戦で連勝。

「自分が一緒に写るように意識しています。」

このインタビューの直後、2020920日に開催されたホームゲームの翌日に、三谷沙也加選手は、ボランティア、サポーター、スタッフへ感謝のメッセージをツイートされました。三谷沙也加選手のツイート回数は多くはありません。しかし、相手に伝わるタイミングでメッセージを発信されているように感じます。どのようなタイミングで、どのような発信を心がけているのでしょうか。そして、美しい写真は、どのように撮影されているのでしょうか。

三谷たくさん投稿したいという気持ちはありますけれど、日々のトレーニング後の身体のケアだったり、食事だったり、サッカー選手としてのコンディション調整に充てる時間を大切にしているので、投稿の数は多くないかもしれません。私自身としては「伝えたいことを伝えたいタイミングで投稿すること」を大切にしています。

写真を選ぶ際に、どのようなことを大切にされますか?

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