西部謙司 フットボール・ラボ

小林祐希と河原創。札幌と鳥栖の「心臓」が競演した8.12の熱戦

ともに攻撃的で、魅力あふれるサッカーを見せる北海道コンサドーレ札幌とサガン鳥栖。ぶれないスタイルを貫く両チームの対戦を、まるで夏の昼空(しかもドーム)を彩る花火のように輝いた2人のキーマンを中心に振り返る。

「リスクを冒せ!」野心的な両チームによる熱戦 

北海道コンサドーレ札幌は49分に浅野雄也のゴールで先制、その後も優勢に進めますが、終盤に盛り返したサガン鳥栖は河原創の今季初得点で1-1のドローとなりました。

気がつけば両チームとも安定の「中位力」。ただし、実際はどちらも安定路線とは真逆のリスキーなスタイルです。それだけに危険な魅力のある2チームの対決はオープンな攻め合いになるかと予想されましたが、そうなったのは70分以降でした。また、そこが試合のターニングポイントだったかと思います。

札幌は70分に小林祐希をスパチョークに交代しています。先制した後、小林は存在感を発揮していました。パスをつないで鳥栖を走らせ、攻撃をペースダウンしながらゲームをコントロールしていました。正直、「代えちゃうんだ」と思いましたよ。そしたら案の定と申しますか、途端にゲームがオープンになって打ち合いの様相に。鳥栖が息を吹き返して河原の同点弾につながりました。

小林の交代は疲労を考慮したのか、それともミハイロ・ペトロヴィッチ監督がゲームのコントロールよりも2点目を奪うことを重視したのかはわかりませんが、結果論とはいえこの交代で流れは変わりました。

今回は両チームのキーマンである小林、河原を中心に試合を振り返ってみます。

鳥栖を窮地に陥れた小林の存在と小林にはない武器を持っていた河原 

序盤は鳥栖が優勢でした。8分に岩崎悠人、16分に富樫敬真に決定機がありました。しかし20分あたりで札幌のペースに変わっています。

(残り 1681文字/全文: 2428文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ