西部謙司 フットボール・ラボ

欧州王者シティに大健闘。マリノスが示したJリーグの水準とは?

マンチェスター・シティにとっては、プレシーズンの親善試合とはいえ、マリノスの戦いは欧州王者相手に大きな可能性を示した。そして、巨大資本に支えられたシティとJクラブの差を埋めるヒントも見えてきた。

お互い理にかなっていた大量交代の攻防 

明治安田Jリーグワールドチャレンジ2023 powerd by docomoでマンチェスター・シティと対戦した横浜F・マリノス、3-5で敗れたとはいえ健闘していました。

スタメンはご覧のとおり(図1)。

前半は2点先行しましたが追いつかれて2-2。すると後半からシティはフィールドプレーヤーすべて交代、27分間に2点をとります。そして横浜FMは直後の28分に5人を一挙交代(図2)。

ちなみにマルコス・ジュニオールから榊原慧悟の交代はハーフタイムです。

おそらくどちらも予定どおりの交代だったと思います。ただ、親善試合の戦い方としてけっこう理にかなっていました。

この試合の前提として、オフ明けのシティは準備不足であり、シーズン中の横浜FMとはコンディションに差があるということがあります。なので、シティがハーフタイムに10人を代えました。ペップ・グアルディラ監督の「大事だったのは怪我人を出さないこと」というコメントのとおりです。

一方、横浜FMのほうは先発メンバーを75分近くまで引っ張りました。体力があるということもありますが、例えば10人交代してシティに対抗するのは難しかったかもしれません。こうしてみると横浜FMもかなりの選手層ではあるのですが、さすがにシティには及びませんからね。前半のメンバーである程度続けてから一気に代えることで、シティが10人交代によって帳消しにしたコンディションの差を再びつきつけることができました。誤算はそこまでに2点を失ったことでしょう。交代後は1点を返しています。

ロスタイムにアーリング・ハーランドが5点目を決めて3-5になりましたが、それがなければ1点差。互いに親善試合ならではの大量交代でしたが、どちらもそれを上手く活用していたように思います。

前半はむしろ横浜FMのゲーム。ペップに衝撃を与えたマリノスの選手 

立ち上がりからシティがボールを支配しますが、チャンスを作っていたのはむしろ横浜FMでした。

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