西部謙司 フットボール・ラボ

浦和、マリノスは「レアル・マドリー」にならなくていい。Jのビッグクラブが本当に参考とすべき欧州クラブ

続々とJに帰還する欧州組の選手たち。そこから見える未来とは? また、ビッグクラブの代名詞といえるレアル・マドリーはJの理想とすべきなのか? どうやら別の欧州強豪クラブを参考にしたほうが良さそうだ。

Jリーグ、ドーナツ化の未来は地球の裏側にある 

欧州がオフシーズンの現在、Jリーグに戻って来る選手が何人かいます。前田直輝(ユトレヒト→名古屋グランパス)、安部裕葵(バルセロナ・アトレティック→浦和レッズ)、宮本優太(KMSKディンズ→浦和)、田中聡(コルトリイク→湘南ベルマーレ)。中島翔哉のJ参戦の噂もありますね。

欧州からの帰還組は重要な戦力になっています。ヴィッセル神戸の躍進を支えている大迫勇也、武藤嘉紀、酒井高徳、齊藤未月、山口蛍は欧州経験者ですし、浦和の酒井宏樹、関根貴大もそう。セレッソ大阪の香川真司はボランチにポジションを変えて活躍しています。

欧州へ移籍する選手が増加していますから、欧州から戻って来る選手も増えるのは道理。負傷やピークアウトした場合はべつですが、もともと欧州へ移籍する実力のあった選手ですからJへ戻れば即戦力として活躍が期待されます。

南米のブラジル、アルゼンチンは昔から選手輸出大国ですが、1990年代あたりから一気に加速。トップクラスで働き盛りの選手はほぼ欧州という状態となり、国内リーグの空洞化が起こりました。そんな中、欧州から戻ってきたスター選手の活躍がありました。

リーベルに復帰したエンツォ・フランチェスコリは代表格ですね。リーベルで大活躍した後、フランスとイタリアでプレーして戻ってきたのが33歳のとき。すでにベテランの域でしたが、3年半で前後期4回の優勝をもたらし、1995年には南米最優秀選手賞も獲得しています。ウルグアイ人ですがリーベルのレジェンドとなりました。

フアン・セバスチャン・ベロンがアルゼンチンリーグに戻ったのは31歳。2006年、エスツディアンテスに23年ぶりの優勝をもたらし、200809年と連続で南米最優秀選手賞を受賞しました。

フアン・ロマン・リケルメが古巣のボカ・ジュニオルスに戻ったのは2007年、年齢は29歳とフランチェスコリやベロンより少し若い。国内リーグ2回優勝、リベルタドーレス杯も優勝しています。

ブラジルでもロマーリオ、ロナウド、ロナウジーニョなどが欧州から戻って活躍。Jリーグとカタールでプレーしたエメルソンは2012年のクラブワールドカップではコリンチャンスのエースとして優勝に貢献しました。

十代や二十歳そこそこの若手と、欧州帰還組を含むベテランというチーム編成は、とくにアルゼンチンで定番化していました。これから欧州に出ていく若手にベテランが経験を伝える効果もあったでしょう。欧州からJへの逆輸入は戦力的にかなり重要な動きになってきました。

Jリーグのクラブが参考とすべきは欧州のあの強豪クラブ 

先日、「浦議」に出させていただいた際、「浦和はアジアのレアル・マドリーになれますか?」という質問がありました。結論から言うと「なれません」です。

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