そのハイプレス、危険につき。「ハイプレスしない」4強が揃ったW杯はJリーグにも影響を与えるか?
ワールドカップのベスト4にハイプレスしないチームが勝ち残ったのは偶然なのか? 昨季はハイプレスのチームが上位を席巻したJリーグもこの潮流に乗るのか否か。ワールドカップの傾向からJリーグの趨勢を占っていく。
ハイプレスしないベスト4が揃ったワールドカップ。フランスに似たセレッソ大阪、名古屋グランパス、アビスパ福岡が有利になる?
カタールワールドカップ決勝はアルゼンチン対フランスとなりました。クロアチアとモロッコが3位決定戦に回ります。
ノックアウトステージに入ると、やはりグループリーグとは少し変化がみられました。ハイプレス志向が減退しています。逆にハイプレスで仕留めにいったチームはことごとく返り討ちという印象です。
準々決勝でクロアチアに敗れたブラジルは、たぶん今大会最強のチームだったと思います。ネイマールとロドリゴが揃えば中から崩せて、外からえぐれるウイングも複数持っていました。ボール保持もカウンターもできて、ハイプレスも引いて守ることもできる。戦術的に弱点のないチームでした。ところが、クロアチアに勝ち切れませんでした。
ブラジルはいつもどおりのハイプレスを仕掛けていました。切り替えの速さと強度に驚いた方も多かったと思います。しかし、クロアチア戦ではこれが裏目に出ていました。クロアチアのパスワークやドリブルでプレスを外され、そのまま攻め込まれてしまう場面が何度かありました。PK負けなので敗因ではないのですが、やはりこのぐらいのステージになるとハイプレスは裏目に出やすいと再確認できました。
モロッコに敗れたポルトガルもこれでしたね。ハイプレスがことごとく外されていました。奪えそうなんですよ。ところが奪えそうで奪えない。マグレブ(北西アフリカ)は対人のテクニックに昔から定評があります。ポルトガルも欧州ではテクニックがあることで知られていますが、それを上回るものがありました。
逆にモロッコはハイプレスをしないチームでした。ミドルゾーンに4-1-4-1のブロックを構えていて、自分たちの迎撃ゾーンに入ってくるまでは奪いに行きません。そのため相手の保持率が上がりますが、モロッコのブロックにはなかなか侵入できず、攻め込んでいるのでハイプレスしようとするとスルリとかわされてカウンターを食らう。何といいますか、とてもよく出来たチームでしたね。
結局、ベスト4はいずれもハイプレスしないチームが残りました。クロアチアは前から行く場合もありましたが、フランスとモロッコは明確にミドルゾーンのブロックでしたし、アルゼンチンも引き込み型でした。
中堅国のサッカーで勝ち上がる“ずるい”フランス
翻って2022年のJ1では、ハイプレスのチームの台頭が目立っていました。
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