【特別コラム】PK戦はサッカーにあらず。サッカーで勝てなかったことを議論しよう
もしクロアチアにPK戦で勝っていたら…。勝てば官軍、120分の試合内容に目を向けることはなく、結果だけで評価する人が多く出ていたかもしれない。いま足元を見つめることが、日本が強豪国になっていくためのカギではないだろうか。
「勝てば何でもいい」で本当に強くなれるのか?
1993年にJリーグが開幕したとき、決着がつかなければPK戦で勝負をつけていました。引分けがなかったわけです。しかもずっと週2試合という、なかなか凄い日程でした。
ワールドカップはR16でクロアチアにPK戦で敗れました。日本は4人蹴って1本しか入らず、クロアチアは4人中3人が成功。PK戦のための準備が足りなかったのではないかと批判もあります。
ただ、翌日にスペインがモロッコにPK戦で敗れていて、こちらは1本も決められませんでした。さらにルイス・エンリケ監督が「PKは運ではない」「選手には1000本PKの練習をするように伝えてある」と試合前に発言していたため、周到に準備してもダメなものはダメなんじゃないかというオチがついた感じになっています。
PKは全部が運ではなく、近年はキッカーやGKの情報もかなりありますし、どういう状態の選手がキックを外しやすいとか、ある程度傾向も出てきていて、準備しておくべきことがけっこうあります。ただ、双方複数の選手が蹴るPK戦はやはり運も無関係とは思いません。というか、サッカーは運に左右されるところは少なからずあります。それを最小限に抑えようというのが現代サッカーの方向性としてあり、PK戦はわりと成果が出やすい分野ではあると思います。
ただ、PK戦はPK戦なんですよね。サッカーの一部にはなっちゃってますが、もともとは引き分けたら再試合だったんですよ。決着はサッカーでつけるものであって、サッカーのごく一部でつけるものではないわけです。とはいえ、大会日程もぎりぎりですし、再試合をやる時間がない。くじ引きよりはマシだろうということで始まっています。
そうはいってもPK戦で勝つか負けるかが決まってしまうわけですから軽視するわけにはいきません。しかし不条理感はどうしても残ります。
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