西部謙司 フットボール・ラボ

「上昇軍団」に生まれ変わった鹿島アントラーズ。「時代をひっくり返す手応え」が決して強がりとは思えない理由。

試合後の会見で「ここから時代をひっくり返す手応えを感じた」と述べた鹿島の岩政大樹監督。それが決して強がりではないことは試合を分析すればよく理解できる。一方の川崎の停滞感はもはや川崎だけが抱える問題ではなくなっている。今後の勢力図はどうなるのか?

川崎が完成度で上回るも確かな成長曲線を感じさせた鹿島 

川崎フロンターレが序盤の2ゴールを守って勝利し、試合数が並んだ首位の横浜F・マリノスとの差を2ポイントとしています。

このゲームは2つの側面での明暗を感じました。まずは現時点での完成度の明暗ですね。ボールを保持していたのは鹿島でした。しかし、川崎は的確なカウンターアタックで着実にゴールへ迫り、家長昭博のPKと脇坂泰斗のFK15分以内に2-0としています。

もう1つの明暗はチームの成長具合ですね。試合後、鹿島の岩政大樹監督は手ごたえのある表情でした。まるで勝ったチームの監督みたいに。これから成長していこうというチームのスタートとして手ごたえをつかめたということでしょう。一方、川崎は試合巧者ぶりをみせて勝利したとはいえ、チームとしてピークアウトしています。現時点ではまだ差がありますが、右肩上がりに強くなっているかといえばそうではない。いわば頭打ちに近い状態。

川崎のチーム状況は横浜FMも似ていて、J1ではトップ2であることは間違いないのですが、そこまでの成長ぶりに比べると鈍化している。言い方はあれですが、これまでの遺産で優位性を保持している状況ではないかと思います。もちろんトップに立つほど成長率が小さくなるのは仕方のないことではありますが。

この試合は、ある意味で今季のJ1を象徴していた気がします。つまり、トップ2は頭一つ抜きんでているけれども、第二勢力がトップ2を上回る成長率で台頭している。しかし、追い越すところまではいっていない。過渡期という感じでしょうか。

コンセプトが明確だった新生・鹿島。Jの勢力図は大きく変わる? 

岩政監督に交代した鹿島はレネ・ヴァイラー前監督とは違う基準でチーム作りを始めているようにみえました。

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