サッカー番長 杉山茂樹が行く

モロッコ代表監督を解任されたハリルホジッチと森保監督。サッカー監督らしいのはどちらか

写真:Shigeki SUGIYAMA
 サッカー監督は、あらゆる競技の監督の中で最も解任されやすい職種と言っていいだろう。ヴィッセル神戸、清水エスパルス、鹿島アントラーズ、ジュビロ磐田、ガンバ大阪。今季ここまで監督の首をすげ替えたクラブはJ1リーグで5つ。神戸は2人も代えている。ここからシーズン終盤に向け、まだ増える可能性がある。アビスパ福岡、北海道コンサドーレ札幌、京都サンガ、湘南ベルマーレなど降格候補の中で、今季まだ解任劇が起きていないクラブには、とりわけ焦臭さを覚える。
 
 昨季は9つのクラブに及んだ。昨季のJ1は20チームでの戦いだったので20分の9。45%という交代確率にサッカー競技の本質を見る気がする。
 
 しかし、少なくともメディアはそれに対する備えができていない。監督交代が稀な他の競技と同じような目でサッカーと向き合おうとしている。いつ起きても不思議はない、ありがちな話という前提に立てていない。意図的に立とうとしていないと言うべきだろう。
 
 監督采配やその戦術について、極力触れようとしないのだ。放映権を持つDAZN、2週間に1試合程度の割合で中継しているNHKBSを見れば一目瞭然。監督予備軍と言うべく解説者は、評論の対象をほぼ選手に限定しようとする。傍らに座る実況も同様。監督に焦点を当てようとしない。皆でそこから目を背けようとする。だが、それでも監督のクビは、どの競技より高い確率で飛ぶ。不自然さは増す。
 
 監督交代を掘り下げるほどサッカーの本質は浮き彫りになる。サッカーの教科書には欠かせないテーマだと言える。サッカーとは何かを学ぶにはもってこいの要素が詰まっているのだ。
 

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