絶滅危惧種を守れ。いまフィーゴのウイングプレーにノスタルジーを抱く理由
GKを除く10のポジションで、右利きの選手が一番やりたくないポジションはどこか。やりにくいポジションと言うべきかもしれない。右利きの選手の絶対数が少なく、同様にスター選手の数が少ないポジションとは。
左サイドバック(SB)ではない。左はむしろ歓迎すべき場所。もちろん右SBでもない。右利きのSBには名手がたくさんいる。それより一列高い場所だ。採用する布陣で分かれる。
4-4-2の右サイドハーフ、4-2-3-1の3の右、4-3-3の右ウイングと、ポジションが上がるにつれ、相手の右SBと1対1の勝負を挑む機会は増える。
右利きが苦手なのは対峙する左SBにフェイントを掛け、逆を取り、縦に抜いて出るサイドを深々とえぐるプレーだ。内へ切れ込む方が難易度は遙かに低い。だが、それでは攻撃は浅くなる。ゴールを逆算した時に不可欠となるマイナスの折り返しは期待できなくなる。理想的なパスルートから外れることになる。もし切れ込んだ後、シンプルにシュートを狙うなら、左利きの方が適任だ。
右利きは右サイドで縦に抜くことをなぜ苦手にするのか。世界的な名手も少ない。右利きの右ウイングでバロンドールを獲得した選手はルイス・フィーゴぐらいだ。
今年のロシアW杯でも、よい右ウイングを発見することはできなかった。エムバッペは右サイドでのプレーは多いものの、サイドアタッカーという感じではないし、ブラジル代表のウィリアンも張り出すプレーを得意にしているようには見えなかった。4-3-3の布陣上で、やりにくそうにプレーしていた。日本代表の原口元気も、チームの都合上で仕方なくという感じで、適性が右ではなく左にあることは明白だった。
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