WE Love 女子サッカーマガジン

女子サッカー秋春制 12月・1月集客と日程問題のリアル WEリーグ ウィンターブレイク前後の運営面を振り返る 

年末年始のWEリーグにファン・サポーターは集まったのか?誰が足を運んだのか? 

現在、2023−24 WEリーグはウィンターブレイクに入っています。多くの選手は1月束の間のオフを終え再起動。トレーニングを再開しています。 

アルビレックス新潟レディース、AC長野パルセイロ・レディースは雪を避けてトレーニングキャンプを実施 

第8節の開催日は3月2日(土)、3日(日)、4日(月)、5日(火)に開催予定。 第8節以降の対戦カードは2月2日(金)17時に発表される予定です。ウィンターブレイクの間のトレーニングが、再開後の2023−24 WEリーグの行方を左右することでしょう。 

降雪地域での真冬のトレーニングは困難。アルビレックス新潟レディースは2024年2月7日(水)から14日(水)まで沖縄県南城市の南城市陸上競技場で、2月19日(月)から24日(土)は大阪府泉南市でトレーニングキャンプを実施します。AC長野パルセイロ・レディースは1月24日(火)から2月18日(土)まで静岡県御殿場市でトレーニングキャンプを実施。続いて、1月29日(月)から2月8日(木)はタイでトレーニングキャンプを実施します。両チームとも、トレーニングキャンプの実施にあたってはスポンサー企業から「キャンプ・パートナー」としてサポートを受けています。 

マイナビ仙台レディースはタイでトレーニングキャンプを実施します。期間は2月6日(火)から2月13日(日)まで。その後、仙台市には戻らず、宮崎県延岡市で2月26日(月)までトレーニングキャンプを行います。マイナビ仙台レディースは、ファン・サポーター向けに仙台国際空港1階センタープラザでキャンプ壮行式イベントを実施予定です。 ※2月6日(火)10時45分から11時5分まで。

試合会場のあり方はWEリーグならでは 

今シーズンも、WE Love 女子サッカーマガジンはウィンターブレイクまでのWEリーグを振り返ります。今回は12月と1月に開催された第7節の様子を読者の皆さんにお届けします。全体を通して多く見られたのは、各試合会場を訪れたOG選手や関係者、さらにはレジェンドの歓談シーンです。海外でプレーする選手、海外で指導する監督等が、年末年始の休みの間に帰国し試合会場に現れ、旧交を暖めていました。これはWEリーグらしさを感じる景色です。 

2023年12月30日に2千125人のファン・サポーターを集めたヨドコウ桜スタジアム  写真提供:WEリーグ  TOP画像も

注目の第7節、入場者数は平均1千733人 

まずは、2023−24 WEリーグの入場者数の動向を確認しましょう。過去2シーズンも含め、各節の平均入場者数を一覧にしてみました。注目していただきたいのは冬の12月と1月の数字です。 

WEリーグ 各節の入場者数(3シーズン)

以前から「秋春制のWEリーグは冬の集客に苦戦する」と言われてきましたが、実際の数字を見ると全体の集客が満足な数字ではないという根本の問題はさておき、12月と1月が他の月と比べて落ち込んでいないことがわかります。3シーズンとも似た傾向です。もちろん、自然増ではありません。これには理由があります。どうしても、この時期に入場者数を減らしたくない営業担当者の努力、そして、比較的、気候が安定している地域で試合が開催されていること等です。2023−24 WEリーグも例年通り、年末年始の試合開催日は晴天に恵まれました。 

それに加えて、J1が12月3日に最終節を終えたため、サッカーを見たい人がWEリーグに足を運びやすいということも要因として挙げられるでしょう。年末年始でも、ここに来ればサッカーを見られる、誰かに会えるWEリーグなのです。 

ファン・サポーター、関係者、チームの声で開催されることになった1月のWEリーグ 

思い返してみれば、2021−22シーズンは冬の気候と降雪地域のチーム活動を考慮しウィンターブレイクが長く設定されました。2021年12月4日の第11節を終えると2022年3月5日まで試合がありませんでした。ところが、ファン・サポーターや関係者、それにいくつかのチームから「ウィンターブレイクが長すぎる」という声が挙がり、それに応えて2022ー23シーズンから1月上旬まで試合を行うことになりました。いわば、WEリーグは声に押し切られて12月・1月開催の道に進みました。その結果、降雪地域は厳しい環境を強いられていますが、逆に、試合の開催地域では、実施するまでは全く予想できなかった効果が生まれています。 

厳重な防寒対策をせずとも楽しめた年末年始のWEリーグ 写真提供:WEリーグ

3試合を取材した第7節は各地で予想を上回る入りに 

筆者は第7節の3試合を取材しました。いずれもWEリーグの素晴らしさを感じる運営でした。各試合の特徴をご紹介します。 

ちふれASエルフェン埼玉1−0AC長野パルセイロ・レディース 12月30日 熊谷スポーツ文化公園陸上競技場 

気温15.8度。春のような暖かさに誘われて1千122人が来場しました。ちふれASエルフェン埼玉の関係者によると、事前に800人程度の来場を見込んでいましたが、予想以上に当日の来場者が増え1千100人を超えました。特筆すべきは、この試合ではサッカーチーム単位のご招待が行われていないことです。集客に地力がついてきたと感じます。 

観戦だけではない、1日を楽しめるスタジアムになっています。ダイニングルームと呼ばれるスタジアム外のスペースには飲食店(キッチンカー)が13店舗。熊谷スポーツ文化公園で休日を過ごしていた試合のチケットを持たないファミリーも引き寄せられるように列に並んでいたのが印象的です。いつものように場外ステージでは公式チアサポーターのDWL(ドリームワンダーランド)がパフォーマンス。昨シーズンとの違いはステージ脇にDJが加わったこと。選曲や効果音はBリーグの試合会場を意識しているとのことです。 

また、スタジアムDJ・舘谷春香さんによるインスタライブをイベントスケジュールに組み込み、スタジアム外のファンとつないでいるのもちふれASエルフェン埼玉の特徴です。 

エルルンとウィーナが選手をフィールドに迎え入れる 写真提供:WEリーグ

ジェフユナイテッド市原・千葉レディース1−0マイナビ仙台レディース 1月7日 ゼットエーオリプリスタジアム  

気温12.1度。風はやや強かったですが晴天です。入場者数は1千20人。この数字は少なく見えますが、何を隠そう2023−24 WEリーグのジェフユナイテッド市原・千葉レディース開催ホームゲームでは今季最高の入りです。過去3シーズン通算でも、ゼットエーオリプリスタジアム開催7試合の中で2番目に多い入場者数となりました(過去最高は1千200人、過去最低は294人)。フクダ電子アリーナと比べて集客に苦しむゼットエーオリプリスタジアムでは上々の入りです。 

殊勲の大熊環選手(千葉L)がスタンドに拳を突き上げる 写真提供:WEリーグ

チームOGの筏井りさ選手がプレーするバルドラール浦安ラス・ボニータス(フットサル)の選手が来場し、コンコースでイベントを開催しました。お正月らしく選手によるお汁粉販売も実施。この日でチームを去る千葉玲海菜選手も参加したため、ファン・サポーターの列ができました。隣のお弁当売り場にはジャマイカ女子代表のサンプソン選手の姿も。 

そして、もう一つ長い行列ができたのがマスコットとの記念撮影。いつもと違う和服の出立ちが大人気でした。やはり、マスコットの力は偉大です。入場者数以上の盛り上がりを感じました。 

マスコットも新春のご挨拶 写真提供:WEリーグ  TOP画像も

日テレ・東京ヴェルディベレーザ0−1INAC神戸レオネッサ 1月8日 味の素フィールド西が丘 

気温10.7度。3試合の開催日の中で唯一の冬らしい気候でした。この日も快晴。通路を歩くと大物OGと頻繁にすれ違うためドキドキしてしまいます。注目の名門対決を見守るために1千940人のファン・サポーターが集まりました。しかし、決戦とはいえWEリーグです。試合前は両チームのファン・サポーターの交流もあり和やかな雰囲気に包まれていました。 

ゆったりと楽しめるベレーザフードコートが人気

話題となった全国高校サッカー選手権大会決勝との同日開催 

この日は、味の素フィールド西が丘から45分ほどの移動距離にある国立競技場で第102回全国高校サッカー選手権大会決勝が行われていました。なぜ、この日に試合が開催されたのでしょうか。 

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