WE Love 女子サッカーマガジン

上位4チームと11人の注目女子サッカー選手 2023−24 WEリーグ ウィンターブレイクまでの競技面を振り返る(前篇) 

アルビレックス新潟レディースの躍進、三菱重工浦和レッズレディースの苦闘、INAC神戸レオネッサの安定、日テレ・東京ヴェルディベレーザの挑戦 

熱戦の続いた2023−24 WEリーグは第7節を終えてウィンターブレイクに入りました。第8節は3月2日(土)、3日(日)、4日(月)、5日(火)に開催予定。 第8節以降の対戦カードは2月2日(金)17時に発表される予定です。 

女子サッカーの選手交代と選手層 2023−24 WEリーグ ウィンターブレイクまでの競技面を振り返る(後篇) 

WE Love 女子サッカーマガジンはウィンターブレイクを利用して、2023−24 WEリーグの開幕からここまでの競技面を振り返ります。「上位4チームの状況」「11人の注目選手」「選手交代」の三項目から見ていきます。 

首位でウィンターブレイクを迎えたINAC神戸レオネッサ 写真提供:WEリーグ  TOP画像も

勝ち数が負け数を上回った4チーム 

ウィンターブレイク前を無敗の首位で折り返したのはINAC神戸レオネッサ。上位4チームは勝ち数が負け数を上回りました。それぞれの第7節までを振り返ってみましょう。 

新スタイルへ移行途中 4位 日テレ・東京ヴェルディベレーザ  

日テレ・東京ヴェルディベレーザは監督に松田岳夫さんを招聘しました。「勝ち切ること」を目指し新スタイルに挑戦中です。監督交代の理由の一つに「リスクマネジメントが不十分なことから生まれた無駄な失点を減らす」がありました。細かなパスを交換した中央突破やディフェンスラインの外でボールを回す際にボールを奪われ、カウンターから失点をすることを問題視したからです。

今シーズン、ここまでの失点は7。12チームの中で3番目に少ない失点数です。ただし、1試合あたりの平均失点で捉えると、22−23シーズンより微減ですが21ー22シーズンよりも微増しています。つまり、まだ狙い通りの結果が出ておらず、新スタイルが完成していないことがわかります。得点数はリーグ1位で爆発力があります。しかし、INAC神戸レオネッサやちふれASエルフェン埼玉のような、5枚の最終ラインでスペースを埋める守備の攻略方法は明確になっていない印象です。 

ウィンターブレイク中に発表された関浩二さんのヘッドコーチ就任で、チームに変化が生まれるでしょうか。

レギュラー争いが熾烈だがチーム一丸となって戦う日テレ・東京ヴェルディベレーザ 写真提供:WEリーグ

堅守で旋風を巻き起こす 3位 アルビレックス新潟レディース 

橋川和晃監督就任1年目のアルビレックス新潟レディースは、2023−24 WEリーグカップの準優勝が偶然ではないと証明する大躍進です。過去2シーズンはスタートダッシュに失敗しましたが、ここまで順調に勝ち点を重ねています。特に驚くのが守備の固さ。第7節までで3試合を無失点に抑えています。攻撃面では、長く得点源だった道上彩花選手が怪我で離脱したのにも関わらず、選手は自信を持ってプレーしています。

アルビレックス新潟レディース 代表取締役社長 山本英明さんは「僕が大切にしたいのは、女子サッカーならではの『和』のようなものです。」とWE Love 女子サッカーマガジンの取材で答えました。チームワークは抜群。園田瑞貴選手と杉田亜未選手が積極的にパスを受けることで上尾野辺めぐみ選手の負担が大幅に軽減されました。石田千尋選手の迫力ある守備も効いています。WEリーグの発表した個人スタッツを見ると、アルビレックス新潟レディースの選手の名前が、なかなか見つかりません。まさに、「個」よりもチームの「和」で急浮上したチームです。 そして、その「和」の中心にいるのが川澄奈穂美選手です。

サポーターと一体になってアイシテルニイガタを叫び戦うアルビレックス新潟レディース 写真提供:WEリーグ

状態が悪いなりに勝ってきた 2位 三菱重工浦和レッズレディース 

なでしこジャパン(日本女子代表)に選出された選手が多く、開幕前は、なかなか全メンバーが揃ったトレーニングをすることができませんでした。さらには、2023年11月6日から12日までタイで集中開催された AFC Women's Club Championship 2023(ACL2024プレ大会)に参加したこともあり、コンディションを崩す選手が続出しました。それでも、この順位につけているのはさすがです。

ところが、驚くことに安藤梢選手はコンディション良好で全試合スタメン出場の大活躍。第7節ではWEリーグの最年長得点記録を更新。41歳182日で得点しています。これは、男女を通じて日本のプロサッカー1部リーグの最年長得点記録でもあります(J1の記録はジーコ選手の41歳3ヶ月12日)。ちなみに、グーグルで「安藤梢 最年長得点」と検索すると「最年長31歳の安藤が3年2か月ぶりゴールで存在感アピール」という2013年7月20日の記事(東アジアカップ)がトップに表示されます。もはや、その見出しの表現は冗談のようです。安藤選手は、常に絶大な存在感を放っています。逆に、若い世代からは角田楓佳選手が台頭してきました。安藤選手を頂点に、幅広い年齢の選手が共存している、このチームの良さは今シーズンも継続しています。 

苦戦しながらも勝ち点を積み上げてきた三菱重工浦和レッズレディース 写真提供:WEリーグ

活発なコミュニケーションで首位を堅持 1位 INAC神戸レオネッサ 

第7節の試合後、ここまでの戦いをジョルディ フェロン監督が振り返りました。 

「非常にチームが好調ですから、休みに入ってしまうのは残念だと思います。シーズンが終わったときに首位でいれば良いのですが、(開幕から)短い期間で、こうして結果を出せていることから、チームでやってきた方向性は間違っていないと感じ自信を持っています。どのチームも上位とポイント争いをしています。WEリーグは力が拮抗したリーグだと感じています。」 

ジョルディ フェロン監督とINAC神戸レオネッサの選手たち 写真提供:WEリーグ

思えば、2023−24 WEリーグカップは大宮アルディージャVENTUSとAC長野パルセイロ・レディースに大敗。グループBの5位に沈みました。ピッチ上では一部の選手と、就任直後のジョルディ フェロン監督の大きな声が虚しく響いていました。そのため、リーグ開幕前は、今シーズンのINAC神戸レオネッサを不安視する声がありました。 

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