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競った試合だが0−1で惜敗 なでしこジャパンがデンマークで得た経験と積み残した課題

78分にロングボールを蹴り込まれ、南萌華選手(ローマ)が相手と競り合いながら戻り、なんとかヘディングで逃れました。強すぎるボールではなかったのですが、ゴールライン近くにはゴールキーパーがおらず、無情にもボールはゴールマウスに吸い込まれていきました。この失点により、なでしこジャパン(日本女子代表)は0−1でデンマーク女子代表に敗れました。負けたくない気持ちが強く現れたこの試合で、FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023のメンバー選考前の全ての試合を終えたことになります。

試合会場となったオーデンセは、有名な童話作家アンデルセン生誕の地として知られるデンマーク第三の都市です。首都コペンハーゲンから特急列車で約1時間30分の距離にあります。オーデンセ市のあるフューン島は、北緯約55度で、日本の最北端、宗谷岬より北に位置します。この日の気温は低く、FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023本番の冬の気候に近いシミュレーションとなりました。なでしこジャパン(日本女子代表)は、後半に入りパス回しで相手守備陣を走らせますがデンマーク代表選手の運動量は最後まで落ちることがありませんでした。

童話に出てきそうなオーデンセの街並み

主導権を握るまでに時間を要した前半

 試合全体を振り返れば、デンマーク女子代表は2023年4月7日に行われたスウェーデン女子代表戦のような迫力ある攻撃をなでしこジャパン(日本女子代表)に披露することができませんでした。ポゼッションはほぼ互角でシュート数は双方ともに9本。枠内シュートはデンマーク女子代表が1本、なでしこジャパン(日本女子代表)が3本。なでしこジャパン(日本女子代表)が遠藤純選手(エンジェル・シティ)、浜野まいか選手(ハンマルビー)のシュートであと少しの場面を作ったのに対して、デンマーク女子代表が日本のゴールを脅かしたシーンはセットプレー以外にはありませんでした。なでしこジャパン(日本女子代表)は、デンマーク女子代表の攻撃を上手く凌いで試合をしたといえます。しかし、立ち上がりにコーナーキックからフリーでシュートを放たれ3つのピンチを招く等、前半は、なかなか主導権を握るに至りませんでした。試合後の会見で序盤の戦いについて質問すると池田太監督は、このように答えました。

「ピッチの中で選手がお互いに声をかけた部分もあったので、まず、選手がどういう修正をするのかというところで私は少し我慢した部分もありました。時間的なことで言えば、もちろん失点してからでは遅いので、もっと早く修正した方が良い。修正スピードはもっと上げていきたいっていきたいと感じています。」

特に前半は、ビルドアップをすることができず、最終ラインから縦に蹴り込むプレーが多かったように感じます。その点については、試合終了直後では、まだ分析ができておらず評価や対策について語るのは難しそうです。「相手のプレッシャーをどのように感じたかを選手とちょっと協議するべきことだと思っています」と、池田監督は慎重にコメントしました。ただ、試合前の監督からの指示を、選手が忠実に遂行しようと考えての選択であった面もあるようです。

「相手のディフェンスの背後を突いていこうというプランがありましたので、(ピッチ上の選手は)いろいろなトライをしていたのだと思っています。もちろんワールドカップではゲームへの入りが重要になってくると思いますし、準備していたプランと相手が実際にやってくるプレーが違うこともあるので、まずは受身にならずに自分たちの積極的なプレーから入っていくことをやっていければと思っています。」

変更が必要なアディショナルタイムの戦い方

どうしても1点が欲しいアディショナルタイムに、なでしこジャパン(日本女子代表)は後ろからの浮き球の放り込みを繰り返しました。これは、従来のなでしこの戦い方ではありませんし、得点の可能性が低い攻撃方法にも感じた場面です。これについても池田監督は言及しています。

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