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WEリーグ 秋春制は何をもたらしたのか データで見ると人気低迷のスタートはウィンターブレイクよりも少し早い

WEリーグは最初のシーズンを終えました。「理念先行」と並んで話題になったのが「秋春制の功罪」でした。WEリーグが採用する以前から秋春制への反対意見は根強く、特にJリーグでは冬の寒冷地での試合やトレーニングへの配慮が秋春制反対意見の根拠となっていました。日本列島の日本海側は、世界でも有数の豪雪地帯です。

2021−22 YogiboWEリーグは各チームの試合数が20。12月から2月末までをウィンターブレイクとしシーズンを中断したので、真冬の寒冷地で試合をすることはありませんでした。しかし、予想外の問題が噴出。再開後の3月からWEリーグの人気が急速に寒冷化したことが判明。ウィンターブレイクは、一躍、WEリーグの人気低迷の原因の一つとして取り沙汰されました。

欧州からの選手の移籍獲得を念頭に導入された秋春制

そもそも、WEリーグに秋春制はなぜ採用されたのでしょうか。シーズン当初の取材メモを見ると、WEリーグの岡島喜久子チェアは「将来、欧州からもう少し選手を連れてきたい」というWEリーグ事務局の希望を説明していました。欧州からの選手の移籍獲得を念頭に欧州のシーズンに合わせ秋春制のシーズンを設定したことを明かしています。そして、そのウィンターブレイクの期間は、降雪量の多い地域にあたるアルビレックス新潟とAC長野パルセイロ・レディース長野のホームタウンの気候を考慮して設置しました。

しかし、欧州各国の女子サッカー選手のプレー環境が向上しプロ化が進む状況の中、相対的にWEリーグの地位は低下。欧州からの有力選手獲得は実現しませんでした(円安の影響もあったかもしれません)。2021年9月に開幕し、注目を集めていたWEリーグですが、ウィンターブレイクで試合がなくなると情報発信力が低下してしまします。メディア露出が減少。次第に、その熱気は冷めていきました。3月にウィンターブレイクが明けると観客動員の大幅減少が露呈。1試合あたりの観客数が1千人を切る試合が当たり前となりました。ウィンターブレイクがなければ、開幕の熱気を維持、継続、拡大して、もっと人気を定着させることができたのではないか?ウィンターブレイクが長すぎたのではないか?という声が多く上がっています。

来シーズンのWEリーグも秋春制で開催されるため、ウィンターブレイクをどのようにすれば良いのかは、大きな検討課題です。

実はウィンターブレイク前から始まっていた人気低迷

実は、調べてみると、秋春制とウィンターブレイクがWEリーグの人気低迷の直接的な原因だというわけではないことがわかりました。データを見ると、WEリーグの注目度は11月から激減しているのです。

ウィンターブレイクで情報発信力が低下。メディア露出が減少。次第に、その熱気は冷めていったという考察は誤りではありません。しかし、それは注目度低下の決定的な要因ではありません。WEリーグの注目度は、開幕から2ヶ月を経た11月に、すでに大幅に低下していたのです。12月からのウィンターブレイクは、それに追い討ちをかけただけでしかありません。

こうしたデータを見ると、WEリーグの人気低迷の原因を秋春制とウィンターブレイクになすりつけると本質を見失うと感じます。春秋制の議論はプレーヤーズファーストを最優先に、人気低迷の原因は秋春制とウィンターブレイク以外にあるとして線引きして考えた方が良さそうです。

雪に見舞われた新潟市の街並みとデンカビッグスワンスタジアム

降雪量の多い地域のチームは秋春制に負担を強いられた

では、ここからはプレーヤーズファーストの観点で今シーズンのウィンターブレイクについて振り返ってみましょう。WEリーグに参加する11チームの中で、二番目に降雪量の多い地域をホームタウンとしているのはアルビレックス新潟レディースです。北川ひかる選手は1月のトレーニングについて、このように話しています。

「年末年始は実家に帰りました。身体は休ませながらも動かしていました。新潟に戻ってきてからは雪が多くて、なかなかフルピッチで練習することができず、主にフットサルコートでのトレーニングになりました。サッカー自体は思うようにできないので、ステップを踏んで、アジリティーや基礎の練習を多くしました。とにかく、雪の問題はありますね。」

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