2022.05.20

なぜ大阪府で「農業×女子サッカー」＋オーガニックカフェを展開するのか？関西女子サッカーリーグ２部に参戦したステラマリス

2022年05月20日 8時00分　
カテゴリ：インタビュー • 指導者インタビュー • 選手インタビュー
タグ : INAC神戸レオネッサ • 女子サッカー

今シーズンの関西女子サッカーリーグ２部には、新たに５チームが参戦しました。

・ＭＩＯびわこ滋賀レディース(滋賀県)
・ステラマリス(大阪府)
・ｂｅｉｌｌｅｖａｉｒｅ西宮(兵庫県)
・ＫＹＯＴＯ　ＴＡＮＧＯ　ＱＵＥＥＮＳ(京都府)
・帝塚山学院大学(大阪府)

特に女子サッカー関係者から注目が集まるのはＭＩＯびわこ滋賀レディース、ＫＹＯＴＯ　ＴＡＮＧＯ　ＱＵＥＥＮＳ、ステラマリスの３チームです。今回は、その中からステラマリスをご紹介します。ステラマリスの監督を務める江副良治さんとキャプテンの大平理恵（おおだいらりえ）選手は、以前に #女子サカマガにご登場いただきました。当時、2人は「農業×女子サッカー」で注目を集めているＦＣ越後妻有のメンバーでした。

江副良治監督　提供：ステラマリス

ステラマリスの運営母体は特定非営利活動法人ＦＣ岸和田。大阪府岸和田市にある、総合型地域スポーツクラブです。サッカー、フットサル、ダンス、ヨーガ、テニス等の各団体が活動しています。２０２２年春から女子のトップチームとしてステラマリスが発足しました。

さらには、ステラマリスの立ち上げに合わせて、クラブの専用グランド『いずみＳＰＯＲＴＳＶＩＬＬＡＧＥ』のすぐ近くに『ＣａｆｅＬａＣｏｌｌｉｎａ (ラコリーナ＝里山)』をオープン。ステラマリスの選手１名が店長として勤務しています。地域の皆さんの憩いの場であると同時に様々な方々にクラブを知っていただく接点になっています。ステラマリスは選手による農業も行っていて、畑で収穫した有機野菜をカフェで提供しています。

ＣａｆｅＬａＣｏｌｌｉｎａ　提供：ステラマリス

同じく、今シーズンから関西女子サッカーリーグ２部に参入したＫＹＯＴＯ　ＴＡＮＧＯ　ＱＵＥＥＮＳの吉野有香さんは、ステラマリスに、このようにエールを送ります。

「ステラマリスさん、また練習試合してください！！一緒に関西の女子サッカーを変えていきましょう。」

ＫＹＯＴＯ　ＴＡＮＧＯ　ＱＵＥＥＮＳ　吉野有香さん

みんなで女子サッカーを続けたい

ステラマリスは、一度プレーを中断していた選手の復帰を支援しています。保育士の仕事をしているミッドフィルダーの寺田尚子選手は妊娠でプレーを中断。出産後に、もう一度サッカーをしたいと思っていました。お子さんが５歳になって、ご自宅の近くで活動するステラマリスレディースで復帰することになりました。

「サッカーが好きです。もっともっと走りたい。岩清水梓さん（日テレ・東京ヴェルディベレーザ）に負けていられないです。仕事も子育ても一生懸命にやって、ピッチでは得点したいです。」

寺田尚子選手　提供：ステラマリス

小林未唯選手はゴールキーパーです。前に出てプレーすることが得意です。東京都出身ですが大学進学で関西に転居しました。大学のサッカー部に所属していたのですが退部してしまいました。

「サッカーが嫌いで退部したわけではなかったので、ステラマリスでプレーすることにしました。楽しくやれそうです。」

小林未唯選手　提供：ステラマリス

監督の江副さんは「こんなチームですが面白いと思った方がいらっしゃったら、ぜひ、ご一報ください」と言います。では、ステラマリスとＦＣ岸和田は、何がそこまで面白いのでしょうか。今回は江副さんと大平選手に、お話をお聞きしました。

提供：ステラマリス

「アマチュア以上プロ未満」が合言葉

江副—女子サッカー選手の置かれている環境を良い方向に変えていきたいと考えています。地域のクラブはWEリーグクラブとは予算規模が全く違いますが、ステラマリスで、今までのアマチュアクラブよりも良い環境でサッカーをしてほしいと思います。具体的には、人工芝グラウンドを所有しているという点です。また、午前中にトレーニングをしてトレーニング後に食事を提供しています。サポートしてくださる企業も増えており、栄養補助剤の提供にも取り組んでいきたいと考えています。カフェもその一環です。

大平—関西女子サッカーリーグに参入しているチームでも自前のグラウンドを持っていないところが多いと聞いています。人工芝でナイター設備もあるグラウンドでトレーニングできるのは良い環境だと思います。

私は、最初のうちはカフェの店長代理もしていました。お客さんが女子サッカーに興味を持って話しかけてくれることもあり面白いです。以前にプレーしていた越後妻有では、私たちが生活しているだけで周囲からの注目を集めていました。若者が住んでいない地域だったからです。岸和田には、若者がいるのが当たり前。黙っていては注目を集めることができません。カフェや農業の活動を通して、注目を集めていきたいと思っています。