社長になったプロサッカー選手「同じチャンスは二度と来ない」黒﨑優香選手(アルナ・ビョルナール)
黒﨑優香選手はプロサッカー選手です。藤枝順心高校を卒業後、アメリカに留学。NCAA ディビジョン1(1部)のオクラハマ大学で10番を背負いプレー。大学4年生在学中にオーストリア女子1部リーグのヴァッカー・インスブルックに移籍。ここで活躍し、現在は、ノルウェー女子1部リーグのアルナ・ビョルナールでプレーしています。そして、女子サッカーを通して中高生年代のアメリカ留学をサポートする留学会社を起業されました。
社名は株式会社ユウカ考務店。スタートした事業は「YK Sports Agency」。本気で日本からアメリカの大学に女子サッカー留学したい学生をサポートしていきます。
黒﨑優香選手から「日本全国でサッカーをしている中学、高校生の皆さんへ」。
日本では、現役女子サッカー選手の起業は珍しいことです。ノルウェーでのプレー、そして、黒崎さんが、なぜ、このようなチャレンジをしようと思ったのかをお聞きしました。
—ノルウェーでのプレーでは、少し言葉の問題があるみたいですね。
黒崎—ノルウェー語にはブークモールとニーノシュクという2種類の標準語があり、ドイツ語のように喉から出す発音みたいなものみたいなものもあります。日本語にはない音なので難しいです。選手もコーチも英語を喋れます。ただ、ミーティングの最初に英語で喋っていたはずが、途中でノルウェー語を挟むと、その後はいつの間にか全部ノルウェー語でミーティングが進んでしまうことがあります。ですから、そういうときは、ミーティング後に、英語で内容を教えてもらうことになります。
リアルタイムでミーテイングの内容を理解できない不都合があるので、自分が、もう少しノルウェー語を勉強しないといけないですね。
—ノルウェー女子1部リーグのレベルはどうですか?
黒崎—全体的にはオーストリア女子1部リーグよりもレベルが高い感じがします。オーストリア女子1部リーグにもダントツでレベルの高いチームがありますが、ノルウェー女子1部リーグはトップ4くらいまでのレベルが特に高く、面白いサッカーをしています。スウェーデンやデンマークの選手も多くプレーしています。フィジカルの強さに加えて縦に速く技術の高いサッカーをしています。
移籍先に関して、もちろん英語圏の国は言葉が通じるからプレーしやすいというのはあるのですが、あまり「この国」と決めて行動しないです。どうやったら自分はステップアップできるのかを考えます。自分は、オーストリア女子1部リーグでプレーしたからノルウェー女子1部リーグのチームからオファーをもらえたと思います。自分のようなプレーヤーは、上のレベルのリーグのチームに加入するには、チームのステップアップが必要です。代表歴がないと、いきなり上のレベルのリーグでプレーすることができません。ノルウェー女子1部リーグで活躍すれば、今度は、次の道が開けるかもしれません。
サッカーを通して何をできるのか?
黒崎—女子の現役プレーヤーで起業している選手は少ないので、日本では驚いた人が多いかもしれません。でも、自分のことを知っている人からは「ようやくだね」と言っていただいています。大学2年生の頃から「こういうことをやりたい」と、起業の話をしていました。アメリカでは、起業しているプロサッカー選手は多いです。普段から、それを見ているので「何かをしたい」と思っている選手が多いはずです。それが日本との大きな違いです。
例えば、大学4年生だったときに、自分の同期が将来についての会話をしたら、ほとんどの人が「まだわからない」もしくは「たぶん、なでしこリーグのチームに行くと思う」と答えました。そこで自分が「なでしこリーグのチームへ行って何の仕事をするの?」と質問すると「多分、スポンサーの会社だよ」と答えが返ってきました。スポンサーの会社は色々あると思いますが「それは自分のやりたい仕事なの?」と私は疑問に思ってしまいました。WEリーグが始まる前は、それが日本の女子サッカーの普通だったのだと思います。
—アメリカの環境が、黒崎さんに大きな影響を与えたようですね。
黒崎—アメリカはチャレンジすることがウェルカムな国です。そういう国に、自分がいたことが大きかったです。日本では「サッカー選手ならサッカーだけに集中したほうがいい」といった古い考えがありますが、アメリカはむしろ、「サッカーを通して何をできるか」というのを考えていると思います。大学でも、入院している子どもを元気づけるために病院に行ったり、幼稚園に子どもの読み聞かせに行ったりなどのボランティア活動をしました。誰かのために選手が活動するのは当たり前のことなのです。
女子サッカー留学という選択肢を簡単に諦めないでほしい
黒崎—自分は「絶対留学をすべき」だと行っているわけではありません。でも、自分は「留学という選択肢を日本に伝えたい」です。日本人選手はアメリカの大学でも十分にプレーできると思います。自分は4年間、NCAA ディビジョン1(1部)でプレーして、凄く良い経験をできたと思っています。経験した人からしか伝えられないものが沢山あると思うので、留学会社を起業しました。
—NCAA ディビジョン1(1部)のようなトップを目指す人だけが対象ではなく、色々なレベルの学校への女子サッカー留学を目指すことができる留学会社だと聞いています。いかがですか?
黒崎—NWSLに行きたい人はNCAA ディビジョン1(1部)に女子サッカー留学した方が可能性は広がると思います。
今は「サッカーをずば抜けて上手くないとアメリカに女子サッカー留学できない」と思い込んでいる人が多いです。
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