西部謙司 フットボール・ラボ

なぜJリーグ最高の偽SB・登里享平は日本代表に呼ばれなかったのか? 「日本は崩壊寸前…?」ブラボー招集でふくらむ“邪推”

なぜ長友佑都の招集なのか? 現在の日本代表が置かれた状況を想像するに納得はできるかもしれないが、カタールW杯後のチーム作りの方針には合わないように映る。ブラボー招集は危機を救う一手になるのか崩壊の序曲なのか。

ブラボーの招集は日本代表の状況があまりブラボーでないから? 

北朝鮮戦の日本代表メンバーが発表され、長友佑都が復帰していて少々驚きました。FC東京ではレギュラーで出ているので、ものすごく意外というわけではないのですが、これはあの、盛り上げ要員ですよね。中山雄太の離脱はあるにしても、ここでブラボー長友というのは日本代表のメンタルがある種危機的状況だということでしょうか。

ベテラン招集して一体感をというのは、わりとありがちな手法でもあり、これはこれで納得感はあります。ただ、戦術的にはべつのチョイスもあったかなと。そのへんも含め、今回はJリーグのSB事情について。

横浜FMの定番。川崎の臨機応変。Jリーグ偽SB事情 

テーマは「偽SB」になります。もうね、偽SBという言い方がどうなのかと思うくらいSBの偽化は珍しいものではなくなりました。

おそらくこれの創始者であるペップ・グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティでは、すでに「偽」はSBからCBになっております。ライバルのリバプール、アーセナルもSBは普通に偽。

Jリーグも同様ではありますが、まだそんなに数は多くありません。プレミアも偽採用が常態化しているのは上位陣ですから、そんなに割合は変わらないかもしれませんが。

偽SBのはしりだった横浜F・マリノス。右はお馴染み松原健ですが、左は渡邊泰基が台頭しています。アルビレックス新潟からの新加入。ビルドアップでCB、ボランチとの距離を近づけてボールを確保、相手をそこへ引きつけて擬似カウンターという手法は健在です。横浜FMの場合はウイングが強いので、そこへの供給路を開けるという意味もけっこう重要ですね。

川崎フロンターレは橘田健人がSBのときは偽度が上がります。ほとんどボランチですね。横浜FMほどシステマチックではなく、相手のプレスに対して数的優位を作ってボールを確保したいケースで臨機応変にやっている感じ。右ウイングの家長昭博がボランチの位置まで下りてくることもありますし、SBも偽と決まっているわけではなく人によって度合いも変わってきます。

偽度ダントツの登里享平。日本代表のスタイルを考えても理にかなっている招集はなぜ行われなかったのか? 

セレッソ大阪の左SB登里享平の偽度が高い。ビルドアップのときはアンカーの田中駿汰と並ぶ立ち位置です。これぞ正調・偽SBという趣。

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