西部謙司 フットボール・ラボ

自滅したのはサガン鳥栖。パスワークで浦和を上回るも見せてしまった“隙”

今週の鳥栖ラボは浦和戦。ミスで自滅したとも言える一戦ですが、なぜミスが連発したのか。鳥栖の今季の課題がそのまま出たとも言えそうな戦いを振り返ります。

持ち味のビルドアップのミスで敗れる 

32節の浦和レッズ戦は1-2。40分に大久保智明の素晴らしいドリブル突破からキャスパー・ユンカーが決めて浦和が先制。さらに50分、自陣での原田亘のパスをカットした小泉佳穂がそのまま持ち込んでゴール、浦和が2点差とします。

鳥栖の1点は62分の宮代大聖。ファン・ソッコのロングパス1本で裏へ抜け出し、絶妙のコントロール&ターンでマークを外してゴールしました。しかし、その後は攻めながら決定機はなかなか作れずそのまま終了となっております。

ビルドアップでは鳥栖、カウンターで浦和という、それぞれのアドバンテージがある中で、鳥栖が上回っているはずのビルドップでミスが出て負けたというまとめ方になるでしょうか。浦和の2点目がまさにそれでしたが、それ以外にも自陣でミスパスを引っかけられるケースが目立っていました。ミスはミスなのですが、どうしてそうなったかについて考えてみたいと思います。

パスワークで上回りながら見せてしまった隙 

試合全体での鳥栖のボールポゼッションは62%でした。上回っているけれども圧倒はしていないという微妙な数字がなんとなく実状を表しているかもしれません。

ボールの運び方はいろいろですが、鳥栖の特徴の1つとして「ロンド」の上手さがあります。プレスに来る相手を囲むようにポジションをとり、いわゆる「鳥かご」にして外していきます。そのときにスピードを上げすぎない、パスを出した方向へ動くというポイントがあり、そこも含めて鳥栖は上手いチームです。

そのへんを考慮したのか、浦和はあまりボールホルダーに寄せていきませんでした。

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