「1%でも勝つ可能性を追究した結論だ」に対する異論
ハリルホジッチ解任記者会見。田嶋会長は、会見場のひな壇に1人で座り、およそ50分間、記者が質問している間を除き、ほぼ喋りっぱなしの状態だった。しかし、苦しい立場であるにもかかわらず、言葉に窮した場面は一度もなし。質問者の半分嫌みな問いかけに、逆切れすることも、高圧的になることもなく、低姿勢ではあるけれど饒舌に話し続けた。少なくとも、質問者との1対1の局面で齟齬をきたすことはなかった。
一方で、説得力のある言葉は聞かれなかった。サッカー観を触発してくれるような言い回しもなかった。質問を巧にかわし、逃げ切ったという印象だ。
「1%でも勝つ可能性を追究した結論だ」
田嶋会長がいくつか発した、ともすると官僚的な答弁の中で、これが一番印象に残った一言だ。この会見のキーワードと言ってもいい。しかし、その肝心の言葉が、僕には魅力的な訴求力の高い言葉には聞こえなかった。
必死さをアピールしたかったのだろうが、1%と言われても、サッカーの試合で1%が具体的に何を指すのか判然としない。逆に気合い重視の精神主義的な、計画性の低い台詞に聞こえてしまう。
こうした究極の選択を強いられたとき、こちらの耳に、どこからともなく聞こえてくるのが、その昔、クライフから直に聞かされた一言だ。
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